提供者 : セルシス    更新日 : 2018/12/05   
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イラストに色を塗っていきます。
[塗りつぶし]ツールと[ペン]ツールを使って、基本となる着色を行います。イラストの部分ごとにレイヤーを分けておくことで、後の工程ではみ出しを気にせずに、彩色できます。

髪の着色

レイヤーを作成し、[塗りつぶし]ツールを使って、髪の色を塗っていきます。

[1]レイヤーの準備
[2]ツールの準備
[3]基本色の着色
[4]影色の着色
[5]塗り残しを塗りつぶす
[6]肌の着色
[7]翼の着色
[8]服の着色

[1]レイヤーの準備

着色のためのレイヤーを作成します。

1. [レイヤー]パレットの[新規ラスターレイヤー]をクリックし、レイヤーを作成します。
作成したレイヤーのレイヤー名をダブルクリックし「髪」と入力します。



2. 主線が見えなくならないように「髪」レイヤーを「線画」レイヤーの下に移動させます。
「髪」レイヤーのレイヤー名部分をクリックし、そのまま「線画」レイヤーの下までドラッグします。



3. [レイヤー]パレットの「細線」レイヤーの左にある[レイヤー表示/非表示]をクリックして、オフにします。
この段階で行うおおまかな色付けでは、細かい部分は必要ないため、「細線」レイヤーを一時的に非表示にします。これにより、[塗りつぶし]ツールを使用したときに、まとまった範囲を一度で塗りつぶせるようになります。



[2]ツールの準備

[塗りつぶし]ツールで、色を塗るための設定をします。

1. [ツール]パレットから[塗りつぶし]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他のレイヤーを参照]を選択します。



2. [ツールプロパティ]パレットの[領域拡縮]のスライダーを「1」に設定します。



POINT

この作例では[領域拡縮]の値が大きすぎると色がはみ出す部分があるため、あらかじめ値を小さく設定しました。[領域拡縮]について詳しくは、『CLIP STUDIO PAINT ツール設定ガイド』→『設定項目一覧』→『塗りつぶし』を参照してください。


3. [ツールプロパティ]パレットの[複数参照]が、オンになっていることを確認します。



POINT

レイヤーの参照先

通常、[塗りつぶし]ツールは、現在選択中のレイヤーの描画内容から塗りつぶす領域を決定します。作例のように線画と色を塗るレイヤーを分けて作業する場合、線画の描画内容は無視されてしまいます。そこで、[ツールプロパティ]パレットの[複数参照]で、他のレイヤーの描画内容を参照できるように設定します。



[塗りつぶし]ツールの[他レイヤーを参照]は、表示しているレイヤーすべてを参照して塗りつぶします。下描きのレイヤーが表示状態になっていると、下描きの線も参照してしまいます。作業が終わって使わないレイヤーは非表示にしておきましょう。




[3]基本色の着色

[塗りつぶし]ツールで、基本の色を塗っていきます。

1. [ウィンドウ]メニューで[カラーサークル]を選択して、[カラーサークル]パレットを表示します。

2. [カラーサークル]パレットで髪色のピンクを選択します。
[カラーセット]パレットにはない色を選択するには、[カラーサークル]パレットを利用します。外側の円(①)で色相を選び、中心の四角い部分(②)で色の明るさや鮮やかさ(明度・彩度)を調節します。



3. [塗りつぶし]ツールで塗りつぶしたい場所をクリックすると、線で囲まれた範囲内がすべて塗りつぶされます。



POINT

塗りつぶしがうまくいかないときは

CLIP STUDIO PAINTの[塗りつぶし]ツールには[隙間閉じ]機能があるので、多少線が途切れていても、領域を認識して塗りつぶせます。塗りつぶしたときに、予定外の場所にまで色が広がってしまった場合、どこかで線が大きく途切れている部分があります。



[編集]メニュー→[取り消し]で、塗りつぶす前の状態に戻して、「線画」レイヤーを選択し、[ペン]ツールなどで線が途切れている部分をつなぎます。線画の修正後に[塗りつぶし]ツールで再度塗りつぶしてみてください。




4. 同様の手順で、髪の毛の他の部分も塗りつぶしていきます。
あとで影色を塗る部分も、基本色で塗りつぶしましょう。
細かい毛束に分かれている部分は、1か所ずつクリックしなくても、ドラッグでまとめて塗りつぶせます。



[4]影色の着色

[塗りつぶし]ツールや[ペン]ツールを使って、髪の毛に影を付けていきます。

1. [カラーサークル]パレットで、少し濃いピンク色を選択します。



2. 影になる部分の毛束をクリックして塗りつぶします。



3. 塗り分けに必要な境界線がない部分を塗るときは、[ペン]ツールで直接塗ってしまうか、境界線を描いてから、[塗りつぶし]ツールで影になる部分を塗りつぶします。



[5]塗り残しを塗りつぶす

髪の毛の先や、線が交差している部分など、細かな部分は[塗りつぶし]ツールだけでは塗りつぶしきれません。こうした塗り残した部分を、[ペン]ツールで塗っていきます。

1. [ツール]パレットから[ペン]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[丸ペン]を選択します。



2. [ペン]ツールのブラシサイズを調整します。
ブラシサイズは、処理する部分の細かさによって適宜調整していきます。



3. [ペン]ツールで隙間が残らないように、細かい部分を着色していきます。



POINT

すでに塗った色と同じ色を取得する

[ペン]ツールなどの描画系ツールを選択中に、キーボードの[Alt]キーを押したままにすると、一時的に[スポイト]ツールに切り替わります。この状態でキャンバスをクリックすると、クリックした部分の色を描画色に取得できるので、修正や塗り足しをする場合、すでに塗った髪の基本色や影色と同じ色を簡単に選択できます。[ツール]パレットで[スポイト]ツールを選択してからクリックしても同様に、色を取得できます。




POINT

細かな塗り残し部分の着色には[塗りつぶし]ツールのサブツール[囲って塗る]を使う方法もあります。[囲って塗る]について、詳しくは『CLIP STUDIO PAINT ツール設定ガイド』→『ツール・サブツールのカテゴリー』→『塗りつぶし(囲って塗る)』を参照してください。


4. 髪の毛の着色が終了しました。



[6]肌の着色

レイヤーを作成し、[塗りつぶし]ツールを使って、肌の色を塗っていきます。

肌の基本色の着色

肌を着色するためのレイヤーを新規作成し、基本となる肌色を塗りつぶします。

1. [レイヤー]パレットで[新規ラスターレイヤー]をクリックします。作成したレイヤーのレイヤー名をダブルクリックし、レイヤー名を「肌」に変更します。



2. [ツール]パレットから[塗りつぶし]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他レイヤーを参照]を選択します。[ツールプロパティ]パレットの[複数参照]がオンになっていることを確認します。

POINT

ここでは髪の着色のときと同じ設定のツールを使用しました。詳しくは『4.基本の着色』→『髪の着色』→『[2]ツールの準備』を参照してください。


3. [カラーサークル]パレットで肌色を選択します。



4. 肌が露出している部分をクリックして塗りつぶします。



5. 細かな塗り残し部分を[ペン]ツールで着色します。
目の回りや耳など、線が多い部分は[ペン]ツールで塗り残しがないように着色します。



6. 肌全体におおまかに色が入りました。



影色の着色(はみ出さずに塗る)

先に塗りつぶしておいた肌色部分の範囲を利用して、肌の影を描画します。

1. [レイヤー]パレットの[透明ピクセルをロック]をクリックします。
透明ピクセルをロック状態のレイヤーには、グレーの鍵と市松模様のアイコンが表示されます。



POINT

[透明ピクセルをロック]とは

レイヤーの透明な部分(透明ピクセル)に何も描けないようにできる機能です。



これを利用すると、肌や髪など、すでに色を塗った描く部分の領域からはみ出さずに、影を描き込めます。


2. [カラーサークル]パレットで肌色よりも少し濃い色を選択します。
少し色相を赤に寄せると、くすんだ影色にならず、肌の血色がよく見えます。



3. [ツール]パレットから[ペン]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[Gペン]を選択します。



4. [ペン]ツールのブラシサイズを調整します。
[ツールプロパティ]で調整するか、[ブラシサイズ]からサイズを選択します。線画を描くときよりもブラシサイズを少し太めに設定すると、平坦な着色にも利用できます。



5. 首のまわりや袖、髪の毛から落ちる影などを描画します。



6. 影の範囲を大きく描きすぎた部分は、[ペン]ツールで肌の基本色を塗って修正します。
[消しゴム]ツールを使用すると、先に塗った肌色の範囲も消えてしまうので、今回は使用しません。

7. 目のまわりの影は暗い印象にならないように、[カラーサークル]パレットで、肌の影よりも少し明るい肌色になるように調整して着色します。



肌にグラデーションを入れる

肌の柔らかさを表現するために、[エアブラシ]ツールでグラデーションを付けます。

1. [ツール]パレットから[エアブラシ]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[柔らか]を選択します。



2. [エアブラシ]ツールのブラシサイズを、大きめに調整します。



3. [カラーサークル]パレットで、目のまわりに塗った肌色を選択します。



4. ブラシ周辺部のぼかしを利用して、弱めの筆圧で肌にグラデーションを描画します。
大きなサイズのブラシで描画しても、[透明ピクセルをロック]しているので、外にはみ出しません。色が薄いと感じる場合は、同じ場所に何回か塗り重ねます。



5. 肌の着色が終了しました。



[7]翼の着色

新規レイヤーを作成し、[塗りつぶし]ツールや[グラデーション]ツールを使って、翼を塗っていきます。

翼の基本色の着色

翼を着色するためのレイヤーを新規作成し、基本となる色を塗りつぶします。

1. [レイヤー]パレットで[新規ラスターレイヤー]をクリックします。作成したレイヤーのレイヤー名をダブルクリックし、レイヤー名を「翼」に変更します。



2.[ツール]パレットから[塗りつぶし]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他レイヤーを参照]を選択します。
[ツールプロパティ]パレットの[複数参照]にチェックが付いていることを確認します。

POINT

ここでは髪の着色のときと同じ設定のツールを使用しました。詳しくは『4.基本の着色』→『髪の着色』→『[2]ツールの準備』を参照してください。


3. [カラーサークル]パレットで水色を選択します。



4. 羽の部分をクリックして塗りつぶします。



5. [カラーサークル]パレットで青色を選択し、翼の骨格部分や尾、影になる部分にも、それぞれ色を塗りつぶしていきます。



6. 細かな塗り残し部分を[ペン]ツールで着色します。




[グラデーション]ツールによる着彩1

パーツごとに選択範囲を作成し、[グラデーション]ツールを使って、翼にグラデーションをかけていきます。

POINT

[グラデーション]ツールはそのまま使用するとレイヤー全面に描画されますが、あらかじめ選択範囲を作成しておくと、選択した部分のみにグラデーションをかけられます。


1. [ツール]パレットから[自動選択]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他レイヤーを参照]を選択します。



POINT

自動選択ツールについて詳しくは、『CLIP STUDIO PAINT ツール設定ガイド』→『ツール・サブツールのカテゴリー』→『自動選択』を参照してください。


2. 翼の骨格部分をクリックして、グラデーションをかける範囲を選択します。



3. 線画で分断されていて一度に選択できない部分は、[Shift]キーを押しながらクリックして追加選択します。



4. [ツール]パレットから[グラデーション]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[描画色から透明色]を選択します。



[描画色から透明色]の設定では、選択中の描画色から透明へのグラデーションが描画できます。すでに色を塗ってある部分に使用すると、現在の描画色から下地の色へのグラデーションが描画されます。

5. [カラーサークル]パレットから少し薄い青色を選択します。



6. グラデーションの開始位置をクリックし、グラデーションをかけたい方向にドラッグします。



7. グラデーションを作成したら、[選択範囲]メニュー→[選択を解除]で選択範囲を解除します。
コマンドバーや選択範囲ランチャーの[選択を解除]でも同様の操作が行えます。



8. 同様に尾など他の部分も、それぞれパーツごとに選択範囲を作成し、それぞれグラデーションを描画していきます。




[グラデーション]ツールによる着彩2

続けて羽の薄い水色部分にもグラデーションをかけます。

1. [レイヤー]パレットで、「細線」レイヤー左にある[レイヤー表示/非表示]をクリックして、オンにします。



一時的に非表示にしていた細部の線が表示され、細かい範囲指定ができるようになります。



2. [ツール]パレットから[自動選択]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他レイヤーを参照]を選択します。



3. クリックしてグラデーションをかける範囲を選択します。
ひと繋ぎのグラデーションになる部分は、[Shift]キーを押しながらクリックして、追加で選択していきます。



4. [ツール]パレットから[グラデーション]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[描画色から透明色]を選択します。



5. [カラーサークル]パレットで、水色部分よりも少し濃い色を選択します。



6. グラデーションをかける方向にドラッグして、グラデーションを描画します。



7. 同様に羽の他の部分にも、グラデーションを描画していきます。



8. 翼の着色が終了しました。




[8]服の着色

キャラクターの服や髪飾りなど、残ったパーツを塗っていきます。

白地部分の着色(透明領域の表示)

白い背景(用紙)に対して白い描画色を塗る場合、「白を塗った部分」と「実際は透明で白く見えている部分」の見分けがつきにくく、塗り忘れやはみ出しの原因になります。そこで透明部分がわかるように、用紙レイヤーを非表示にして作業します。

1. [レイヤー]パレットの[新規ラスターレイヤー]をクリックし、レイヤーを作成します。作成したレイヤーのレイヤー名をダブルクリックし、レイヤー名を「服1」に変更します。



2. [レイヤー]パレットの「用紙」レイヤーの左にある、[レイヤー表示/非表示]をクリックして、オフにします。



まだどのレイヤーにも色が塗られていない部分が、市松模様で表示されるようになります。



3. [ツール]パレットから[塗りつぶし]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他レイヤーを参照]を選択します。[ツールプロパティ]パレットの[複数参照]がオンになっていることを確認します。

POINT

ここでは髪の着色のときと同じ設定のツールを使用しました。詳しくは『4.基本の着色』→『髪の着色』→『[2]ツールの準備』を参照してください。


4. [カラーサークル]パレットで、やや黄色がかった白を選択します。



5. [塗りつぶし]ツールで服の白地部分をクリックして、塗りつぶしていきます。



6. 影になる部分は、薄い水色で塗りつぶします。



7. 白い部分をすべて着色し終えたら、[レイヤー]パレットの「用紙」レイヤーの左にある、[レイヤー表示/非表示]をクリックして、オンにします。



その他の部分の着色

レイヤーを追加し、服のその他の部分も塗っていきます。

1. [レイヤー]パレットの[新規ラスターレイヤー]をクリックし、レイヤーを作成します。作成したレイヤーのレイヤー名をダブルクリックし、レイヤー名を「服2」に変更します。



2. [ツール]パレットから[塗りつぶし]ツールを選択し、[サブツール]パレットから[他レイヤーを参照]を選択します。[ツールプロパティ]パレットの[複数参照]がオンになっていることを確認します。

POINT

ここでは髪の着色のときと同じ設定のツールを使用しました。詳しくは 『4.基本の着色』→『髪の着色』→『[2]ツールの準備』を参照してください。


3. まとまった範囲を塗りつぶすために、[レイヤー]パレットで「細線」レイヤーを一時的に非表示にします。



4. [カラーサークル]パレットで描画色を選択し、[塗りつぶし]ツールで、ストールにベースとなる色を付けます。



5. 着色が終わったら、[レイヤー]パレットで、再度「細線」レイヤーを表示します。



6. [カラーサークル]パレットで描画色を選択し、[塗りつぶし]ツールで格子模様に色を付けていきます。
ベースに塗った色を基準に、暗い色、明るい色を配色して、格子模様を着色します。



7. ブーツや髪飾りなど、その他の部分も、[カラーサークル]パレットで描画色を選択し、[塗りつぶし]ツールで着色していきます。
髪飾りは奥に行くにつれて暗い色を塗って、立体感が分かるようにします。



8. [ツール]パレットで[ペン]ツールを選択し、塗り残し部分や、[塗りつぶし]ツールでは塗り分けが処理できない部分を、着色していきます。



9. 服に色が入りました。




コメント
senjinkiru 2018/05/24 16:23
凄くいい
バンク 2017/08/12 16:32
すごく細かく、丁寧な説明で初心者の私でも一通りできそうです! ありがとうございます。
パパゲーノ 2017/07/12 23:40
情報の密度がとても濃くてわかりやすい記事でした。 ありがとうございます。
マイトー 2017/07/02 22:52
分かりやすい解説ありがとうございました 解説のおかげで下書き、線画、色塗り通しての作業が一通りできました
FANTAJIAWINGLORD 2017/02/09 17:35
 あやふやに覚えていると間違ってしまいそうなレイヤーの構成順番を、画像を使ってわかりやすくなっていました。  個人的には、グラデを使ったことがあるのですが、変化がうまくいかすにいっていたところがあり、ここにきて全く異なる方法でグラデを付けていたことがわかりました^^;  選択範囲→選択範囲のメニューからグラデと選択していた><