2.ラフ~下描き
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[1] ラフ
イラストのテーマやレイアウト・装丁との兼ね合いなど、ラフの段階で心がけていたことについて解説します。
1.イラストのテーマとレイアウト
現在発売中の『少女公団アパートメント』(c)ms/芳文社(まんがタイムKRコミックス)の2巻表紙が、このメイキングで解説しているイラストです。単行本の表紙ならではの作業についてご紹介します。
先行して行った単行本作業の打ち合わせで、「前巻が春~初夏の爽やかなイメージだったので、今回は秋の穏やかな感じで対比をつけよう!」とざっくりとテーマは決めてありました。
また、続巻なので「前巻と同じフォーマット」というレイアウト上の縛りがあり、それも意識しつつ作業を進めます。今回、イメージを伝えやすくする為に実際の単行本と同じ判型&レイアウトでラフを切りました。
2.ラフを切る
まずはざっくりとラフを切ります。ラフで使うブラシは、準備段階で決めた[ペン]ツール→[カブラペン] です。
カバーイラストの作業では最初に何点か候補を挙げて、その中からどれが良いかを編集さん・デザイナーさんなどと検討します。なので、最低限の雰囲気が伝えられたらOK…くらいの気持ちでザクザクと描いてゆきます。
ラフのチェックが終わり、作品の雰囲気と二巻のテーマである秋っぽさを考慮して、ラフ05が決定稿になりました。ちなみに、決定稿ラフと完成したカバーを比べるとこのようになります。
3.カバー折り返しとサイズについて
横長の構図というのもあって、折り返しまで繋げようという事になり、キャンパスサイズを変更して折り返し部分を描き足しました。
横長の構図&ベランダというシチュエーションを利用して、折り返し部分に少しだけネタを入れることになりました。
表紙部分は主役の四人が紅葉に誘われてベランダに集まってまったりなイメージですが、表紙をめくると、横で紅葉を肴にお酒で酔い酔いなおばさん(こういう設定のキャラなので)…という構図です。
ゆるいネタですが、漫画全体の雰囲気や各々のキャラクターが一枚で表現出来たと思います。
普段印刷用のイラストを描く場合は断ち切りより 3mm程度余裕を持って描きますが、今回のカバーイラストは表紙の他にも雑誌内での広告や他媒体で使用する可能性があったので、それらに耐えられる程度の大きさを考えて余裕をもって大きめに作成しています。最終的なトリミングやレイアウト調整はデザイナーさんに良い感じに配置してもらいました。
4.ラフを詰める
カバーイラストは表紙の「素材」でもあるので、後々デザイナーさんが扱いやすいようフォーマットよりも大きめの画像サイズ&余白をもってキャンパスサイズを決めました。
作成したラフの描画部分を[選択範囲]ツール→[長方形選択]で選択し、[編集]メニュー→[コピー]でコピーします。
[ファイル]メニュー→[新規]で新しいキャンバスを作成します。サイズは幅:4864px 高さ3445pxです。作成したキャンバスに[編集]メニュー→[貼り付け]で先ほどのラフを貼り付けます。
[編集]メニュー→[変形]→[拡大・縮小・回転]でキャンバスにラフを合わせます。
ここで先ほどご説明した折り返しの部分を描き加えます。また、その他の部分ももう少し描き加えます。
これでイラストのラフが決まりました。
[2] 下描き
決定したラフを元に、より具体的な線を起こしていきます。「ラフ」レイヤーの不透明度を15%に下げ、その上に下描き用のレイヤー作成します。キャラの配置や背景を変更したい時に楽なように、ある程度細かくレイヤーを分けておくと後々便利です。
まずはキャラクターの下描きから行います。
次に背景の下描きを描きこんでいきます。
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