8.背景着彩
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背景の着彩の工程を解説します。背景は、以下のように4つのグループに分けて塗り込んでいきます。
大木と地面の側面/しめ縄/階段の上面/奥の空間
背景は人物と同じように、「ベタとマスクレイヤーを重ねて描く手法」と、厚塗りのように「レイヤーに直接塗り込む手法」を使い分けています。
前者は人口建築物などの「かっちり仕上げたいもの」に向いており、後者は自然物などの「大胆さ・色幅がほしいもの」に向いていると思います。
今回は「レイヤーに直接塗り込む手法」で描いていきます。
[1]ざっくりと色を置く
[2]塗り込み&遠景ぼかし
[3]階段付近描き込み
[4]手前葉っぱ描き込み
[5]背景完成
[1]ざっくりと色を置く
厚塗りの場合は、ブラシ濃度を70~90%にして下地の色を透過させ、スポイトで色をとってさらに混ぜていきます。
使用するブラシは[鉛筆]ツールの[濃い鉛筆]、[筆]ツールの[油彩平筆]、[デコレーション]ツールの[草木]グループの[かすれ紅葉]と[枝葉]などです。
[2]塗り込み&遠景ぼかし
全体的に塗り込んでいきます。
遠近感を出すため、奥の空間は[フィルター]メニュー→[ぼかし]→[ガウスぼかし]をかけます。
上部は強めのぼかしで40、中間は少し弱めたぼかしで22にしています。
また、少し色が重すぎたので、遠近感のスクリーンをエアブラシでぼかし気味にかけつつ[色調補正レイヤー]の[トーンカーブ]でも少し明るさを強くしています。
[3]階段付近描き込み
階段付近を描き込み、エフェクトをかけます。
■背景のレイヤー構成
①描き足し/②ぼかし/③光の拡散1
④光の拡散2/⑤色調補正レイヤー:カラーバランス/⑥遠近感
※背景線画はもう必要ないので、非表示にしています。
【①描き足し】
朽ち果てた粗さがほしかったので、階段などに凹凸を描き足しました。
【②ぼかし】
木の上部が背景に比べてハッキリ見えすぎていたので、ほんのりぼかしを加えました。
【③光の氾濫1】
光があたる部分に強めの[加算(発光)]効果を加えます。
【④光の氾濫2】
さらにポイントで[加算(発光)]効果を加えます。
光を膨らませる効果は、少々大げさに入れています。
【⑤色調補正レイヤー:カラーバランス】
[レイヤー]メニュー→[新規色調補正レイヤー]メニュー→[カラーバランス]で背景の色味を若干青寄りにします。
青系の背景だとしても、適度に赤みもあった方が良いですが、色の方向性は多少統一されていた方が綺麗にまとまります。
【⑥遠近感】
木の上部の黒が、奥の森の色に対し、濃すぎるように感じたので[スクリーン]効果で背景の色になじませます。
[4]手前葉っぱ描き込み
ざっくり色を置いたのち、ブラシ濃度70~90%の[濃い鉛筆]で描き込みます。
[5]背景の完成
人物無しでも背景絵としてもまとまるように描きました。
背景は手前に人物がいるとしても、見えない部分の背景も描いておくと「人物の位置を変更したい」等の後々の変更にも対応しやすいです。
あとは、ただ単に背景の練習にもなります。(笑)
次回は最終回です。全体の仕上げの工程を解説します。
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