提供者 : セルシス    更新日 : 2019/02/26    作家 : 筑波マサヒロ
閲覧数 : 22627回 総合評価 : 11件

使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.3.3

[1]描く前に書く
[2]ラフを描く

[1]描く前に書く

1.お題(テーマ)を決める

イラストを作成するにあたっては、なんとなく気の向くままに描きはじめるのもよいとは思うのですが、今回は「ドラゴンっぽい何かが居て、巨大なスケール感と共に距離感が出ている広い空間」というお題があったので、このお題を基準にイラストの構図を構築していこうと思います。

2.お題をもとに描きたい要素を付け足す

お題をもとに、自分が描きたい要素を挙げていきます。
ここで大事なのは頭の中でしっかりと描きたいもののイメージを作り上げることです。気の向くままに描いていると、描けるものしか描けません。描けないものを描こうとしなければ、ほとんど成長しないと考えています。
そこで今回は、他の誰かがどこかに描きそうなテーマは避けていこうと思います。

例えば、世界のどこかにありそうな風景や、ネットで見ることのできる美しい景色など(ありがちな自然の景色、色とりどりの空模様や、ノスタルジックで叙情的な町並み、親近感の沸く日常)をリアルに描いても、何番煎じか分からないうえにたいていおもしろくなくなってしまうと考えているため、それらは控えます。
スケール感を持った風景がお題にあるので、見る人によって形の変わる抽象的な背景にもしないようにします。

さて、自分の特徴としては、この世に存在しない物を自分なりの観点でビジュアルにおこす傾向が強く、やりたいことでもあるため、ジャンルは「SF」にして「ドラゴンっぽい何か」を組み合わせます。この組み合わせだけで、すでに他では見たこともないような絵になりそうです。
あと、ついでですがSFをテーマにする場合、「超兵器」「ディストピア(ユートピアの反対の意)」はいかにも誰かが考えそうな要素になってしまうので外します。

以上の要素からぼんやりと、都市を高い位置から見下ろす視点の構図が浮かんできました。
この構図なら、キャラクターを入れる場合は空を飛んでいる方が収まりがよさそうでしょうか。構図に合わせてシチュエーションも考えておきます。
また、細かいところですが「光の演出」も入れ込んでおきたい要素なので、ぼんやりと考えておきます。
舞台の時間帯を太陽の位置が低い朝方に設定しておけば、「建物」で光と影のコントラストを演出しやすそうです。

さらに、「空気感」を出すために、背景の湿度がどれくらいかもぼんやり考えておきます。
”空気遠近”と呼ばれている描き方の基礎概念部分ですので、しっかり考えて設定しないと晴れているのに曇っているみたいなトンチンカンな絵になります。

あと、パースをとる際に、ただの3点パースもありきたりなので、広角控えめ魚眼パースで構図を取りたいと思います。その方が空間に広さを出せるかもしれません。

3.まとめ

上記を、ちょっとストーリーがあるような感じでまとめます。これを必ずやる必要は無いのですが、設定に雰囲気を与えるには流れがあった方がよいです。

「おそらく、そう近くはない未来。現代の面影も残らないほど高度に発展した都市。その建造物の間を飛び抜ける人類の科学力によって生み出されたドラゴンと、それを追う小型飛行機に乗ったキャラクター。朝日によって都市の上に敷かれた光と影のコントラストの中を飛ぶキャラクター達の活劇を横目に、この時間、この都市を上空から見ることのできる風景」

という感じでしょうか。

[2]ラフを描く

1.地上部分を想定してグリッドを描く

広角控えめ魚眼パースで地上部分にグリッドを引きます。
パースの概念については、次回詳しく説明します。

現段階では、グリッド1マス100メートル四方ということにして、頭の中でぼんやりと距離感を考えておきます。
想像力を働かせて、ヘリコプターから眺めている大地に建物を置いていく感じで「こんな所に行ってみたい!」と思えるまで想像をふくらませます。

2.一番手前の建物を想定してシルエットを描く

巨大な建物のつもりでシルエットを描きます。
この時点で描く建物の絶対的なイメージを頭の中に持っていない場合は、とりあえず見栄え重視で描いてよいです。
描き進めるうちに整合性やリアリティを出すのに苦労することになりますが、やりがいもあります。

空を飛んで横切るならこれくらいの迫力が欲しいとか、そんな感じで2つ建ててみました。

3.奥の街並みを大雑把に描く

パースグリッドを意識しつつ、奥の街並みを描いていきます。
シルエットで全然構いませんし、さらに面倒なら「この線が橋だ」とか「この空白が道路だ」とか「この凸部分がビルだ」とかを考えながら線を引くだけでも大丈夫です。

このくらい描き込んでくると、だんだん都市っぽいものが想像できるようになってきたでしょうか?

4.背景よりも手前にいるキャラクターたちのシルエットを描く

背景ばかり考えていると忘れがちになりますが、街の上空を飛んでいるキャラクター達を描きます。
お題を入れないわけには行かないので、羽を広げたドラゴンっぽいものと、飛行機っぽいものに乗っている人っぽいものを描きます。
どっちから飛んできて、どっちへ行こうとしているかを考えておくとよいと思います。

これでお題の要素は満たせたかと思います…。

5.ラフ完成

色々悩みましたが、左から右へ向かう構図にする方がよい感じがしたので、キャンバスを左右反転させました。
※キャンバスの反転は、[編集]メニュー→[キャンバスを回転・反転]→[左右反転]で変更できます。

ひとまず、ラフができました。
とはいえ、しょせんラフですので、細部はのちのち変更しまくるでしょうし、要素を確認するためのものだと思っていたほうがよいです。

作者プロフィール:筑波マサヒロ  (サイトURL:http://zenovia.sub.jp

会社員のかたわら絵を描いている。仕事で絵を描くこともあるがプロではない。SFとドラゴンとロック好き。

コメント
mamakoko 2014/07/29 06:26
すごい
みっぺーー 2014/06/10 01:01
とても参考になりました。
めい0511 2014/06/05 05:35
わかりやすい
翠河 2014/03/31 07:27
分かり易いです