原稿用紙作成
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使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.4.2
今回は「原稿用紙作成」について見ていきましょう。ファイルの管理方法など、大きく変わっている部分もあります。
[1]単ページ・複数ページの作成方法
[2]作品の用途
[3]ファイルを開く
[4]ファイルを保存
[5]書き出し
[6]画像(スキャン)読み込み
[7]保存ファイルの構造
[1]単ページ・複数ページの作成方法
CLIP STUDIO PAINT PROは単ページのキャンバスしか扱えませんが、CLIP STUDIO PAINT EXであれば、複数ページのキャンバスを管理することが可能です。ComicStudioでも複数のページを管理することはできましたが、その作成方法は微妙に異なります。実際に見て行きましょう。
イラストやカットを作成するときなどに便利な単ページの原稿。ComicStudioの場合は「ファイル」→「新規作成」→「ページ」で作成可能でした。複数ページは「ファイル」→「新規作成」→「作品」から。それぞれ別コマンドであることがわかります。
CLIP STUDIO PAINTではどちらも[ファイル]→[新規]で作成可能です。
表示されたダイアログ内の[複数ページ]にチェックを入れないと単ページになり、チェックを入れると複数ページになります。チェックを入れた場合は、ファイル名と保存先の指定が必須です。
[2]作品の用途
CLIP STUDIO PAINTの場合、原稿用紙作成時に、いくつかの用途を選ぶことが可能です。
まずは[イラスト]。最もシンプルなタイプです。幅と高さ、解像度、そして基本表現色といった基本的なもののみ決めます。
[コミック]です。[イラスト]にトンボや基本枠がついたものです。また、こちらでは[複数ページ]などのオプションも選べます。
[同人誌入稿]はその名の通り、同人誌の作成に向いた設定です。[コミック]の設定に表紙の設定が追加されたもの、と考えるとわかりやすいかもしれません。
また、ここで代表的な同人誌印刷所を指定することも可能です。ここを選ぶと自動的にその印刷所のガイドラインに沿った原稿が用意されるためとても便利です。
[すべての設定を表示]。新規原稿作成時に選ぶことができるオプションがすべて表示されています。細かく設定できるのはとてもありがたいのですが、少々複雑ですので[イラスト] [コミック] [同人誌入稿]ではどうしても作れない原稿を作る必要がある時のみ使うと良いでしょう。
POINT
CLIP STUDIO PAINT Ver.1.5.0から、アニメ機能が追加され、DEBUT/PROでは24フレームまでの短いアニメーション(うごくイラスト)が作れるようになりました。また、EXでは、[作品の用途]に[アニメーション]が追加されています。
[3]ファイルを開く
ComicStudioの場合、開くことができるファイルはComicStudioで保存した作品とページのみで(拡張子[.cst]か[.cpg])、それ以外のPhotoshopファイルなどは、書類を作成後に別途[ファイル]→[読み込み]を選択する必要がありました。
CLIP STUDIO PAINTでは、CLIP STUDIO PAINTのオリジナルファイル([CLIP STUDIO FORMAT]形式及び[CLIP STUDIO PAINTページ管理ファイル]形式)の他に[Photoshop]形式や[JPEG][PNG]などの汎用画像を直接開くことができます。
またCLIP STUDIO PAINTの場合、ComicStudioのファイルも開くことができます。CLIP STUDIO PAINT用の形式に変換してから開くことになるため、このファイルを再びComicStudioで開く事はできません。
[4]ファイルを保存
ComicStudioの場合は、ComicStudioオリジナル形式でのみ保存が可能で、そのほかの形式で保存する場合は[ファイル]→[書き出し]を選択する必要がありました。
CLIP STUDIO PAINTの場合は、CLIP STUDIO FORMAT形式[.clip]で保存するのが最も標準的です。他にPhotoshop形式などでもレイヤーを保持した状態で保存可能なので、ソフトをまたがって作業する場合など、非常に便利です。
他にもWebで標準的なJPEGやPNG形式で保存することも可能ですが、こちらはレイヤー構造は残らず画像は統合されてしまうので注意してください。
[5]書き出し
ComicStudioでは書き出しダイアログ内でファイル形式を選択し、[ピクセル指定] [寸法指定]などを選んだあとで出力の形式などを指定する形でした。
CLIP STUDIO PAINTの場合は、最初に出力形式を選択してから、次にダイアログで細かく設定します。
出力オプションに大きな違いはありませんが、 [表現色]からモノクロ2諧調の[閾値] [トーン化]オプションが選べるようになっているなど、便利になった部分も複数あります。
[拡大縮小時の処理]として[イラスト向き] [コミック向き]などのオプションも追加されました。
■出力サンプルの見本
それぞれグレーやトーンを複数混ぜてみました。
■表現色[モノクロ2階調(閾値)][モノクロ2階調(トーン化)]で書き出し
[閾値」は50%のグレーを基準に白と黒に分けるため、グレー部分は消えてしまっています。[トーン化]は例えグレーが使われていたとしても、自動的にその原稿の基本線数で網点化されて出力されます。
■表現色[グレースケール]で書き出した原稿
レイヤーの設定でトーン化してある部分はトーンとして出力されます。もしすべてをグレーで出力したい場合は[色の詳細設定]をクリックし[レイヤーに付与されたトーン効果を有効にする]のチェックを外してください。
■原稿を20%に縮小
表現色[グレースケール]拡大縮小時の処理[コミック向き]での書き出しです。[品質優先]の場合、線画にアンチエイリアスがかかって綺麗に見えるのがわかります。もし[縮小時にアンチエイリアスをかけたい」という場合は[品質優先]を選ぶと良いでしょう。
■原稿を500%に拡大
表現色[グレースケール]拡大縮小時の処理[コミック向き]での書き出しです。
ラスタライズ[高速]では線画もぼけていませんし網点の形状も綺麗です。それに対して[品質優先]は網点の形状こそ綺麗ですが、線画はぼけてしまってむしろ汚く見えます。線画のテイストを残したまま拡大したい場合はラスタライズに[高速]を選んだ方が良さそうです。
もちろん最終的に網点の形状を綺麗に出力するために、600dpiから1200dpiに拡大するときなども[高速]の方が綺麗に出力されるはずです。
※なお拡大縮小時の処理を[イラスト向き]にすると、ラスタライズは必ず[品質優先]で出力されます。
ComicStudioでは、レイヤーを残したままPhotoshop形式で書き出した場合、余計なアルファチャンネルが残ってしまう、という書き出しの「クセ」のようなものがありました。これは、Photoshopで開いて後から消したり、元々レイヤーを残さず統合した画像を書き出したりと工夫する必要がありました。
CLIP STUDIO PAINTの場合アルファチャンネルは作られませんが、カラーやグレーとして[Photoshop形式]での書き出しを選ぶと[背景]にはならずにレイヤーになってしまうという「クセ」があります。このままでも特に問題ありませんがPhotoshopなどで開くと気になる方はおられるかもしれません。
もしこの部分が気になる場合は[TIFF]など、元々レイヤーが残らない形式を選ぶと良いでしょう。
[6]画像(スキャン)読み込み
ComicStudioの場合[読み込み]ダイアログからスキャンを行いました。CLIP STUDIO PAINTでもほぼ同様です。
まずは新規キャンバスを作成した後[ファイル]→[読み込み]→[スキャン]を選びましょう。各メーカーのスキャナドライバの指示に従い原稿をスキャンします。
スキャンされた画像は[画像素材]として読み込まれます。[画像素材]は拡大・縮小・回転などが容易ですが、そのままではレイヤー上に描画したり色調補正することができません。
位置合わせなどがある程度終わったら[レイヤー]→[ラスタライズ]をして、画像素材から通常の画像に変換してあげましょう。
また、線画を読み込んだ場合は[編集]→[輝度を透明度に変換]を選び、白い部分を透明にしておいた方が良いかもしれません。
[7]保存ファイルの構造
ComicStudioでの[作品]ファイルの構造は、このようになっていました。管理ファイルである拡張子[.cst]のファイルとページごとのフォルダが同じ階層にあり、さらにそのページフォルダの中には拡張子[cpg]のページファイルとレイヤーフォルダなどが入っていました。
CLIP STUDIO PAINTでは管理ファイル[.cmc]が一つと、何枚かの[.lip](Ver.1.5.0以降は[.clip])ファイルとに分かれます。ファイル数が少なくなり管理が容易になりました。
CLIP STUDIO PAINTで複数ページの書類を作成した場合、初期状態ではページに合わせて番号が振られています。しかし途中でページを入れ替えたり削除したり追加したりすると、その番号がずれてきてしまいます。
もちろんCLIP STUDIO PAINT上で作業をする分には問題ありませんが、ページファイルを直接開いて作業するときなどは注意しておいた方が良いでしょう。
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