集中線ツールの使い方実践編

提供者 : セルシス    更新日 : 2019/02/26    作家 : 佐原未来
閲覧数 : 13973回 総合評価 : 16件
使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.4.1

[1]集中線を重ねる(白抜きの集中線)
[2]集中線を重ねる(その他のパターン)
[3]放射線定規と組み合わせる

今回は[集中線]ツールの実践編です。[集中線]ツールはそのままでも十二分に使えるのですが、ちょっとした技を加えて特殊な集中線を描いてみたいと思います。

[1]集中線を重ねる(白抜きの集中線)

集中線を重ねて「白抜きの集中線」を作ってみたいと思います。
白抜きの集中線・・・といっても初心者のかたはよく分からないかと思います。



これが「白抜きの集中線」です。(白で描かれていることがわかりやすいように、透明部分を水色にしてみました)
集中線と集中線の間に[白]が入っています。こうすることにより、白抜きしていない集中線と比べ、より中心部へ視線が向くようになります。また、動きを現す場面でも使います。

作り方はとても簡単です!

1. いつもより太めに集中線を作ります。



2. 「1.で作成した集中線」の複製を作ります。



レイヤー名を右クリックする場合、上図のメニューが表示されます。[レイヤー]パレットの[サムネイル]を右クリックした場合は、下図のメニューが表示されます。



複製した集中線「密な集中線 のコピー1」は元の集中線レイヤーの上に作成されます。この状態で、複製した集中線
(密な集中線のコピー1)の設定を変えていきます。

3. 集中線の色を[白]に変えます。
複製した集中線「密な集中線のコピー1」を選択し、ツールパレットから[操作]を選択。
[サブツール]パレットの[オブジェクト]をクリックし、[カラーセット]パレットの[白]部分をクリックするだけで色が変わります!



4. 複製した集中線(密な集中線 のコピー1)の太さを変えます。
引き続き[操作]ツールから[オブジェクト]サブツールの[ツールプロパティ]パレットを使って集中線の設定を変えていきます。



ブラシサイズを[150.0]→[110.0]に数値を小さく変更すると、下から最初に作った集中線(密な集中線)が現れます。



これで[白抜きの集中線]は完成です!
・・・と言いたいところなのですが、集中線の先端を拡大してみると・・・



すごく細かい部分なので気にならない方はこのままでも支障は無いと思いますが、気になる方のために対処方法を紹介しておきたいと思います。

5. 複製した集中線(密な集中線 のコピー1)の複製をさらに作ります。



複製した集中線2「密な集中線 のコピー2」の、[長さ]と[ブラシサイズ]を変更します。



集中線の大きさや長さによって設定する数値も変わるので、このときの数値はだいたいでOKです。後で調整しましょう。

次に[ツールプロパティ]パレットの[A]の部分をクリックし、[サブツール詳細]パレットを表示します。
[入り抜き]をクリックし、入り抜きの設定を変更します。



初期設定では[抜き]は設定されていないか、設定されていても[30.0]〜[50.0]ぐらいですが、今は[100.0](最大値)に設定します。



このとき、複製した集中線「密な集中線 のコピー1」を非表示にしてみると、集中線はこのような状態になっています。



レイヤーの重ね合わせは下図を参照してください。



[長さ]や[ブラシサイズ]はこの時点でも自由に変更できるので、きれいな白抜きになるように数値を調整していってください。

[2]集中線を重ねる(その他のパターン)

さてさて、「白抜きの集中線」の作り方がわかったところで、次は実践です。これをどういう風に使うのか・・・!



よく見るのは、他の集中線と組み合わせるこの様な使い方かなと思います。

この絵には6枚の集中線レイヤーが使われています。
「ウワ〜6枚も使ってるのか〜」と思われるかもしれませんが、デジタルなので手で描く事に比べたら本当にお手軽にできるのですよ!
(私はアナログでも描いていたので、今これをアナログで描いてみろ!と言われてもご遠慮したい感じです)

それでは、集中線を描く前に下準備をします。
※この先は手順の説明になるのでブラシサイズなどの細かい数値は省略します。

まずは下絵を用意します。



集中線と関係無い部分は省略します・・・トーンやホワイトなどは終わっている状態です。



選択範囲を2つ作ります。(分かりやすいように色分けしました)

POINT

■選択範囲の作り方(簡易版)

①新規ラスターレイヤーを作り、レイヤーの不透明度を40%ぐらいまで下げます。



②このレイヤーに[塗りつぶし]ツールや[ペン]ツールなどを駆使して、「選択範囲にしたい部分」に[黒]を塗っていきます。
ツールにアンチエイリアスの設定がある場合は全て「なし」にします。(きれいな選択範囲を作るために必要です)



このとき、[塗りつぶし]ツールの[ツールプロパティ]パレットにある[隙間閉じ]をオンにすると、小さな隙間から色が漏れなくなります。



[隙間閉じ]を使っても、どうしても色が漏れてしまう大きな隙間には、最初に[ペン]ツールなどで隙間をふさいでおくという手段が有効です。



[塗りつぶし]ツール→[他レイヤーを参照]サブツールでは塗ることが困難な細かい隙間には、[塗りつぶし]ツール→[塗り残し部分に塗る]サブツールがオススメです。

このとき、塗られている部分は画面上では「グレー」に見えますが、[レイヤー]パレットの[不透明度]を下げている状態なので実際には[黒]で塗られています。



③作成したレイヤーを右クリックすると[レイヤーメニュー]が現れるので、[レイヤーから選択範囲]→[選択範囲を作成]を
選択すると・・・



[塗りつぶし]ツールで、「黒」で塗られた部分に選択範囲が作成されました。


下準備が終わったのでここから集中線を描いていきます。この時点ですでに半分は終わった感じです。

最初に「白抜きの集中線」を作ります。「[1]集中線を重ねる」で、白抜きの集中線を作る時に使った設定や手順をそのまま使います。



顔の真ん中に太い集中線がかぶってしまっているのでツールパレットから[操作]→[サブツール]パレットの[オブジェクト]を選択し基準線を変形させます。



上図で作成したレイヤーを複製し、「密な集中線 のコピー(図②)」を作ります。
「密な集中線 のコピー(図②)」の、集中線の色を[白]に変え、好みの太さになるまで[ブラシサイズ]を小さくします。



②の集中線を複製して「密な集中線 のコピー2(図③)」を作り、集中線の「先端」がきれいに白く抜けるように調整しました。



次に、「白抜き」ではない集中線を作ります(下図では「赤色」で表示してあります)。
「密な集中線(図①)」をさらに複製して「密な集中線 のコピー3(図④)」を作り、[線の間隔]と[ブラシサイズ]を変更します。
このとき、白抜きの集中線の「黒い部分」の太さに合わせると、きれいに見えます。
基準線を変えてみるのも良いかと思います(ただし、どの場合でも中心点だけは動かさないようにしてください)。



さて、集中線を残り2枚作れば完成です。ここで一番面倒だと思われる、髪部分の集中線を作ります!

まず「密な集中線(図①)」を複製し、「密な集中線 のコピー4(図⑤)」を作ります。
線の間隔(距離)を[2.0]ぐらいまで狭め、ブラシサイズも細くし、絵がほとんど見えなくなる、図のような集中線に変更します。
ここで基準線も動かし、集中線が全ての髪の部分にかかるように調整します。



下準備で作っておいた髪の毛の選択範囲(水色部分)を取り出します。
「密な集中線 のコピー4(図⑤)」を選択し、[レイヤー]パレットの[レイヤーマスクを作成]ボタンを押すと・・・



髪の部分にだけ集中線が残りました!
(⑤の集中線レイヤーに[レイヤーマスク]が作成されました)



(髪の部分の選択範囲は役目を終えたので、これ以降は非表示にします)

⑤の「密な集中線 のコピー4」レイヤー(髪の集中線)が、作成した複数の[集中線]レイヤーより上にありますので、①のレイヤーの上に移動します。



さて、残りはセーラー服の色の濃い部分、赤色で選択範囲を作ったところに集中線を入れれば完成です。
まずは「密な集中線(図①)」を複製し、「密な集中線 のコピー5(図⑥)」を作ります。
髪部分と同じような濃い集中線を作ってしまうと画面に変化が無く見づらくなってしまうので、違うパターンの集中線を作ります。
この部分には元々グラデーショントーンが貼ってあるので、髪部分より線の密度が低く、等間隔な集中線にしてみました。



作っておいた赤色部分の選択範囲を取り出し、髪部分の集中線を作ったときと同じ手順で[レイヤーマスク]を作成すれば、完成です。



ぱっと見は凄く手の込んだ効果に見えますが、実は使われた6枚の集中線全てが「同じ集中線を複製し設定を変えただけ」というとてもお手軽な(?)作例でした。

[3]放射線定規と組み合わせる

さて、とても便利な[集中線]ツールですが、『さらに特殊な集中線が作りたい』と思った方もいらっしゃるかと思います。
最終手段として、集中線ツールと放射線定規とを組み合わせる方法があります。

まずは集中線と放射線定規の中心を決めます。新規レイヤーを作成し、[×]印を描きます。



この[×]印を基準に、集中線と放射線定規を作成します。
(集中線が[×]印の中央から描けない場合、[サブツール詳細]パレットの[図形操作]から[中央から開始]にチェックを入れてください)

POINT

ウニフラッシュは結構使うと思うので、1つ作って登録しておくと良いかもしれません。



図の設定は初期設定の集中線、[破裂]をカスタマイズしたものです。他の集中線も図の内容で設定すればだいたいウニフラッシュになります。ただ、描画方法が「曲線指定」の[濃い集中線]はウニフラッシュには向かないです。


放射線定規を使い、ウニフラッシュに描き足していきます。



完成です。これは必殺技を叫ぶときなど、特別な場面で使いたいですね!



まとめ

色々と集中線を作ってきましたが、
①まず基本となる集中線、例えば初期設定で登録されている「まばら集中線」や「濃い集中線(曲線指定)」などの、ひな形を作成
②それを使って集中線を描く
③その後[操作]ツールを使って好みの形に成形していく
というのが、CLIP STUDIO PAINTで集中線を作っていく流れだと感じました。

作者プロフィール:佐原未来  (サイトURL:http://sweet.starfish.chips.jp/

ComicStudio講座からやって参りました佐原と申します。画像ソフト初心者のかたにも解りやすい説明を心がけていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。普段は漫画描いたりゲームしたりしてます。

コメント
コメントはありません