第2回 表紙を作ろう(1)
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1.表紙には3種類あるよ!
2.単色刷りと2色刷りの表紙はこう作る!
3.フルカラー表紙用の原稿用紙って?
同人誌の「顔」とも言える表紙。今回は表紙の印刷方法、紙や色の選び方、用紙のサイズの考え方についてご紹介します。
1.表紙には3種類あるよ!
表紙は、同人誌の中でも一番本と作者の個性が出る部分です。絵やデザインだけではなく、印刷方法や紙の選び方によって仕上がりに差が出ます。印刷方法は3種類あり、「単色刷り(1色刷り)」「2色刷り」「フルカラー」に分かれます。以前は単色<2色<フルカラーの順で高額になっていましたが、現在は印刷技術の向上により大きな差はありません。それぞれの特色は以下の通りです。
●単色刷り 黒もしくは基本色と呼ばれる印刷会社が指定した色の中から好きな色を1色選び、その1色で刷る表紙。文字のみの表紙やシンプルなデザインの表紙に向いている。比較的安い値段で刷ることができる。 |
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●2色刷り 黒もしくは基本色の中から2つの色を選び、2色で刷る表紙。フルカラーより手軽に、単色刷りより華やかな表紙を作ることができる。 |
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●フルカラー 一般的にカラー表紙と呼ばれる。絵はペイントツールで塗ることが多い。 |
2.単色刷りと2色刷りの表紙はこう作る!
紙と色の選び方
単色刷りや2色刷りの表紙では、紙の色と刷り色を同系色(ピンクの紙に赤いインク、水色の紙に青いインクなど)にするのが一般的ですが、ほかにも見栄えのいい配色はいろいろあります。赤や黄色など暖色系の紙に茶色の印刷色を使ってみたり、青や緑など寒色系の紙に少し赤みがかった色で刷ってみたり、黒い紙にメタル系のインクで刷ってみたり、グレー系の紙に寒色系で刷ってみたりとさまざまなバリエーションが考えられます。
紙は、印刷会社が配布している見本や画材屋の店頭で実物を見てから決めると、きれいな組み合わせが出来ると思います。
紙を選んでいると時間を忘れます
印刷会社のWEBサイトを見てみると、印刷する色はパソコンの画面上でもある程度わかるのですが、紙まではなかなかイメージできません。特に表面が加工されている紙などはイメージしにくいです。そこで役に立つのが紙見本です。印刷会社によっては、基本の印刷プランで使用可能な紙の見本を配布しています。パンフレットと一緒に取り寄せてみるといいですよ。紙のメーカーが出している紙見本帳もあります。紙にこだわりたいのなら、こちらも見てみることをオススメします。特殊紙や紙見本を見ていると、「次はこうしたい!」「こんな配色にしたい!」などいろいろと想像が膨らみますね。
単色刷りの場合
単色刷りの表紙を作る場合は、「1色のみで刷られる絵」であることを念頭に置いて作業をしましょう。まずはComicStudioで原稿用紙を設定します。印刷会社のホームページに書かれているサイズを参考にして、ComicStudioに収録されている用紙テンプレートから作りたいサイズを探します。A5サイズの表紙を作るのであれば、裁ち落し幅を考えて一回り大きいB5サイズの原稿用紙を使って表紙を作成しましょう。仕上がりサイズの値を確認し、「148mm×210mm」(A5サイズ)となっていれば大丈夫です。単色刷りのため原稿は白黒で作成しましょう。また、書き出すときの形式はグレースケールにします
2色刷りの場合
基本的に単色刷りと作り方は同じですが、2つの色で刷る箇所を考えながら作りましょう。レイヤーを作っていくときに刷る色によって名前を変えると分かりやすいですね。同じファイルに別々のレイヤーで作成していくので、ズレを最小限に抑えることができます。レイヤーのプロパティで「黒の代替色」を選択し、印刷したい色を指定しておくと、仕上がりをより具体的にイメージしながら作ることができます。刷る色ごとに2つのファイルに書き出せば、簡単に2色分のデータを作ることができます。
イベントで本を頒布するとき机の上に置いて見栄えが良いのはやはりフルカラーですが、デザインと紙と刷り色を工夫すれば、単色刷りや2色刷りでも充分見栄えのよい表紙を作ることができます。単色刷りの表紙でもトーンやパターンブラシを使って、グレーの表現を加えることで微妙な色合いの違いを表現できます。このあたりは本文を描く時と同様ですね。2色刷りの表紙は単色刷りに比べてもっと簡単に見栄えをよくすることができます。人物の色と背景の色を変更するだけでメリハリのある、目をひく表紙を作ることができます。
アナログでは大変な作業がComicStudioだとこんなに簡単!!
アナログでの表紙作りは大変でした。特に2色刷りは、2つの色が奇麗に重なると思っていても仕上がりを見るとずれていたり、予想通りにはいかないことも多かったです。ずれない印刷のためには、作画や色を塗る時に原稿を透過するライトボックスが必要不可欠でした。
一方、フルカラーの場合には、使用するインクや絵の具によっては表紙用の原稿用紙になじまず、発色が思い通りにならないことがありました。また、本文を描いているときのようにはやり直せないのがつらいところ。間違った色を載せてしまったら、修正液での修正もままならないのがフルカラーです。水彩絵の具であればやり直せますが、コピックスケッチやカラーインクなどで描いた場合はやり直せないので大変です。
その点、デジタルで制作すると何度でもやり直すことができます。ComicStudio 4.0 ではカラーも扱えるようになったので、細かい彩色は他のソフトを使用するとしてもペン入れから大まかな色塗りまでは ComicStudio でやっておくと楽になりますよ。
3.フルカラー表紙用の原稿用紙って?
普通の原稿用紙との違い
単色刷り、2 色刷りの表紙や本文に使う原稿用紙は A5 や B5 の原寸サイズ+3 ~ 5mm(断ち切り部分)を基本としています。一方、フルカラーで表紙を作る場合には、表紙と裏表紙を合わせて1枚の紙に描いていきます。1枚の紙に描くわけですから、単純計算すると通常の原稿用紙の 2 倍サイズが必要となります。そこに断ち切り分の 3mm ~ 5mm を足したサイズが基本になりますが、さらにもう 1 つ必要なものがあります。
ポイントは「背幅」
紙を重ねて本にした場合に生じるのが、表紙と裏表紙の間の「背」です。単行本や書籍で作品名や著者名が書かれている部分です。紙の厚さとページ数によって変わりますが、20 ページの作品であれば背幅は2mm、40 ページであれば 4mm のように「10 ページにつき 1mm」が目安となります。フルカラー表紙用の用紙サイズは、「本文に使う原稿用紙の 2 倍」+「断ち切り分」+「背幅」となります。
ComicStudioで原稿用紙を自作してみよう!
ComicStudio でフルカラー表紙用の原稿用紙を作成してみましょう。ここでは、A 5 サイズの本を例に設定方法を紹介します。ファイルメニュー>新規作成>ページ>寸法指定タブを選択します。基準解像度は、カラーの場合 350dpi を指定します。用紙サイズは内寸よりも 50mm ~ 80mm くらい多く取りましょう。内寸の「仕上がり枠」ですが、幅は表紙+裏表紙+背幅となります。A5 サイズ 20 ページの本ならば、148mm+148mm+2mm( 背幅 ) の 298mm が仕上がり枠になります。高さの設定は背幅の計算が必要ないので、210mm の原寸を設定しましょう。断ち落とし幅は 3mm ~ 5mm の設定にします。これでフルカラー表紙原稿の設定は完了です。
あとはこれにガイド線をひいたり、自分で使いやすいように工夫して使いましょう。
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