第9回 よい同人誌を作るためには…
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1.内容を考えよう
2.原稿制作のポイント
3.計画的な同人ライフを!
4.同人誌作りって楽しい!
今回は、同人誌制作の総まとめです。
1.内容を考えよう
基本となるのは「起」「承」「転」「結」
マンガを描く上で、ストーリーの基本となるのは「起承転結」です。
「起」…物語の始まり。登場人物や時代背景など、作品を読む上で必要な説明をする。
「承」…「起」で紹介した物語を進める。
「転」…物語の中心となる部分。状況の変化や事件などが起こる。
「結」…最後の締め、オチ。ここをうまくまとめることが大切。
同人誌の場合は必ずしも基本通りでなくてもかまいませんが、話の組み立て方の参考としてください。
同人誌に描かれる内容
同人誌に描かれるものは、大きく「ギャグ・シリアス・恋愛 」の3つに分類できます。創作の場合は、それこそ商業誌と同じくらい多くの種類に分かれていますが、マンガやゲームなどを題材としたパロディの場合は、だいたい上記の3つです。ファンタジー作品のパロディをする場合は、元の作品の分類であるファンタジーという枠の中でギャグやシリアスを展開させていきます。ファンタジーを原作としてまったく違う設定で現代物を描いたりする手法は「パラレル」と呼ばれ、同人誌では一般的です。
思いついたらメモをとる
なにか描きたいものを思いついたら、メモをとるようにしましょう。パソコンにテキストデータを入力したり、外出中の場合は携帯電話やメモ帳に記録したりして、制作する時に活用できるようにしましょう。
2.原稿制作のポイント
デジタル制作でも、アナログのように個性的な雰囲気のある作品を作ることができます。
原稿に個性を
デジタル制作の作品は、よく「画一的」だと言われます。確かに、同じソフトウェアを使用していれば、おのずと同じような出来になる部分も出てきます。絵柄やコマ割り、ストーリーなどは人によって違いますが、3Dやトーンなどの部分ばどうしても画一的になってしまいがちです。ただ既成のものを使用するだけではなく、ひと手間加えて、個性を出しましょう。
原稿が到着したら…
原稿が印刷会社に到着すると、まずは原稿がチェックされます。チェックする点は主に4つあります。
・ノンブル
・セリフ
・モアレ
・原稿サイズ
前回のデータ確認書でチェックした項目ですが、十分確認したと思いこんでいても「ノンブルを入れ忘れています」等、印刷会社から連絡がくることもあります。不備があると、次の工程に進めず作業が停止してしまいますので、確認のメール・電話などがあった場合は早急に対応しましょう。
素材を自分で作ってみる
ComicStudioには多くのトーンや素材が収録されています。この素材だけでも同人誌は十分作れますが、より自分に合った表現をしたいならトーンやブラシを自作するといいでしょう。市販されているフリーの素材集などを活用してもいいですし、自分でComicStudioを使って作成してもいいでしょう。
3.計画的な同人ライフを!
年間スケジュールの例(東京近郊の場合)
1月
インテックス大阪で行うイベントへ参加。
2月
オンリーイベント…ひとつのジャンルだけに絞った中小規模のイベント。日曜日にはどこかでほぼ必ず何かのジャンルのオンリーイベントが行われていると言っていいほど、たくさんのオンリーイベントが開催されています。
3月
オンリーイベントに一般参加。(サークル参加ではなく買い物をするために参加すること)
4月
SUPER COMIC CITYに向けて原稿を作成します。
5月
SUPER COMIC CITY…東京ビッグサイトでゴールデンウィークの2日間に渡って行われるイベント。女性向け中心です。
6月
夏コミの当落発表。実質的にこの時から夏コミが始まります。
7月
夏コミ合わせ(夏コミに合わせて発行する)の同人誌を入稿。
8月
コミックマーケット(夏コミ)…東京ビッグサイトで行われる世界最大規模のイベント。夏に行われるものが夏コミと呼ばれます。日程は、だいたい8月15日前後のお盆にかかる週末の3日間です。
9月
休み。合間に休める時期を挟みましょう。
10月
冬コミの当落発表。
11月
COMITIA…創作オンリーイベント。ジャンルや出展内容が多岐にわたるのが特徴です。マンガと小説同人誌以外にも、イラスト集や絵本、雑貨も取り扱っています。編集社への持ち込みコーナーなどもあります。
12月
コミックマ ーケット(冬コミ)…冬に行われるコミックマーケット。日程としては年末の2日間ないし3日間で行われます。
首都圏の場合、基本的に毎週末どこかで何かしらのイベントが行われています。出るイベントの取捨選択をきちんとして、計画的なスケジュールを立てましょう。
なお、男性向けに関しては、現在女性向けと並ぶ10000サークルが参加するような規模のイベントは行われていないので、必然的に夏コミと冬コミの比重が大きくなります。
4.同人誌作りって楽しい!
同人活動の魅力
自分の同人誌が自宅やイベント会場へ到着すると、いよいよ同人誌と対面です。届いた段ボールを開けて、自分が作った本を取り出すときは感動します。自分が今まで描いてきたマンガが1冊の本になるのは単純にうれしいものです。作った同人誌があまり頒布できなくても、イベントに参加することや同人誌を作ること自体が楽しいから同人活動を続けている人もたくさんいます。同人活動はあくまでも「趣味」ですので、たくさん本を売って儲けよう、なんて考えずに楽しく活動していけたらいいですね。
完成した同人誌を見ると…
完成した同人誌を見ると「袖に貼ったと思っていたトーンが抜けてる!!」などといった些細なミスをたくさん見つけることがあります。最 初に見たときは「ちゃんと本になってる!!」と感動できるものですが、あらためて見返すと…些細な失敗をしていることがあります。もっと時間をかけて作ればよかった、と本ができた後に思ったりもします。その反省点を次に生かせるようにしていきたいですね。
イベントにサークル参加する
同人誌を作る目的のひとつに「イベントへのサークル参加」というものがあります。サークルとは、同じ趣味の人たちが集まって作る同好会のことですが、同人の世界ではイベントに参加する個人や団体を指す言葉として定着しています。
イベントの参加方法ですが、主催している団体や個人によって申し込み方法や費用の支払い方法が異なります。ネットで申し込みから入金まで行えるイベントもあれば、申込書と参加費分の定額小為替(普通郵便で郵送可能な証書で、郵便局で購入できます)を郵送で受け付けている場合もあります。昔はほとんどが定額小為替でしたが、最近ではインターネットでの申し込みを受け付けているイベントも増えてきています。イベントのホームページ等を見て、参加方法をよく確認しましょう。
イベント参加の醍醐味
イベントにサークル参加すると、自分の同人誌を手に取った一般参加者から直接反応がもらえたり、他の人が制作した作品から刺激を受けたりすることでモチベーションが上がります。イベントでしか 会えない友 人などと話をする場 所でもあります。学生時代に一緒にイベントに参加していた友人と、卒業した後にイベントで偶然再会!なんてことも起こったりします。一度サークル参加すると、サークル参加の楽しさに目覚めて病みつきになってしまう場合が多いようです。
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