ComicStudio 使い方講座 > 森の熊太郎さんコミスタ… > 第4回:ペン入れの仕上げ…

第4回:ペン入れの仕上げとベタ塗りをする

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 41432回 総合評価 : 7件

4-1.ペンタブレットでペン入れをするコツ

ペンタブレットのコツ

みなさん、こんにちは。森野熊太郎です。さて、前回はペン入れの際のコミスタの操作方法を説明させてもらったんですが、今回はペンタブレットでペン入れをするコツについてもお話しておこうと思います。

僕もペンタブレットとPCのディスプレイを目の前に、コミスタでペン入れをしようと思ったとき、やっぱり「勝手が違う~」ととまどってしまいました。[鉛筆]ツールで下描きするときは何度も線をなぞっていても大丈夫なので、まだペンタブレットの操作に慣れていなくても根性で何とかなりやすいですよね。

ペン入れ前の状態

 

このあとペン入れをするときに、ペンの引き初めと引き終わりの位置の微妙なずれがあって、うまく線がつなげなかったりするのが問題になりやすいみたいです。

ホントはつなげたかったのに…うまく線がつなげなかった

 

ペンタブレットは、実際にペンを動かすタブレットの位置と、絵が表示されるモニターの位置が違うのでしょうがないですよね。これがあるからペン入れが難しいという方もいらっしゃるみたいです。

熊太郎式ペン入れ法

ということで、ぼくなりの「ペンタブレット」でのペン入れ方法をご紹介しましょう。

縦のラインだけを引く

 

僕はペンタブレットのペンを引くときに縦に引く方が得意みたいです。なので、まずは縦のラインだけをこんな風にひきます。線と線をつなげるにはペンのコントロールをかなり習得できていないと難しいので、思い切ってつなげません。

原稿用紙を回転

 

横向きの線は、原稿用紙の表示を回転させます。[Shift]キーと[Space]キーを同時に押しながらドラッグすると画像を回転させることができるんです。いったんドラッグを開始したら、[Space]キーだけ離して[Shift]キーだけ押している状態にします。すると回転が45度ずつになるので、上の図↑のようにちょうど90度回転させたいときに便利ですよ。この状態で縦に線を引いていきます。

画面を拡大

 

さあ、横向きの線も描けたら画面を拡大します。画面を拡大すると細かな部分が描きやすくなるので、線と線をつなげる作業がしやすくなります。ここでさっき間を空けてある部分に線を引いていくんです。

じゃあ「最初から画面を拡大して線をひけばいいだろう」ということになると思うんですが、これだと全体のバランスが見づらくなるんです。そこで僕はまず大まかにペンを入れてから、それぞれ拡大して引けていない部分を仕上げるという順番でペン入れをするようにしています。この方法だと意外にスピードも速いんですよ。滑らかな線を引くときはこのやりかたが気に入ってます。

拡大表示をしながら引いた線(輪郭の一部)

 

拡大表示をしながら引いた線(まゆ、目)

 

赤い線の部分が拡大表示をしながら引いた線です。もちろんいろんな線の引き方があるので、自分にあった方法でペン入れするのが一番ですが、こんなやり方も参考にしてもらえるとありがたいです。

4-2.ベタ塗りをする

ベタ塗り

ベタ塗りはアナログ作業では時間のかかるモノでした。何に時間がかかるかって、そりゃあ「インクが乾く時間」です。コミスタではクリックひとつですぐにベタ塗りができるので本当に時間が短縮できるようになりました。

[塗りつぶし]ツール

 

ベタ塗りをするときは[塗りつぶし]ツールを使います。ツールを選ぶときは前回説明した「複数のツールが隠れているツールボタン」に気を付けてくださいね。

塗りつぶしツールオプション

 

[塗りつぶしツールオプション]は[隣接ピクセルをたどる]のオプションをONにしておけば、線で囲まれた部分をベタぬりで塗りつぶしてくれます。その他のオプションはひとまずOFFで。

ベタで塗りたいトコロ(口の中の部分)

 

塗りつぶしたいところが線で囲まれていれば、その中を[塗りつぶし]ツールでクリックすれば塗りつぶしが完了します。

塗りつぶしが完了

 

4-3.塗り漏れのトラブル

囲みの線が途切れている

塗りつぶしでついてまわるトラブルが「塗り漏れ」です。塗り漏れとは、ベタを塗る場所がきちんと線で囲まれていなかった時に起こりやすい現象です。見た目は完璧に思えても拡大表示すると、実は線が一部途切れていた、ということが時にはあります。

左上に隙間が空いている四角形

 

例えば、こんな四角形を作りました。実は左上に隙間が空いているんです。この四角形のなかを塗りつぶそうとすると

原稿用紙が全部塗りつぶされてしまいました

 

このように塗りがあふれてしまいます。この例だと原稿用紙が全部塗りつぶされてしまいました。とほほ。

[塗りつぶしツールオプション]パレットにある[隙間を閉じる]というオプションを活用

 

そこで[塗りつぶしツールオプション]パレットにある[隙間を閉じる]というオプションを活用します。このオプションを使うと、線に隙間があっても塗りつぶしをしてくれるんです。今回は0.30mmまでの隙間に対応できるように設定しました。

塗りつぶしができるようになりました

 

これで塗りつぶしができるようになりました。た・だ・し、ここでちょっと気をつけておきたいことがあります。線が途切れていても塗りつぶしてくれるツールは、便利は便利なんですが、例えば

 

今回は四角形を塗りつぶしたかったのですが[隙間を閉じる]オプションを使うとこんな感じで隙間が残ったままになったり、

細い部分が塗り残されてしまう

 

画像の赤い部分の様な「細い部分」が塗り残されてしまったりします。使い分けが重要になってくるんです。

もう一つの塗り漏れ

もう一つの塗り漏れ問題は「枠線」がカラみます。枠線にかぶってベタを塗るような場面ですね。

人物の髪をベタにしたい

 

こんな場面で、枠線に人物がかぶっている場合。

塗り漏れた

 

見事塗りもれました。そりゃあそうですね。でも、ペン入れの線で囲まれていないけれど、枠線を利用してなんとか塗りつぶしがしたいものです。

[塗りつぶしツールオプション]で[複数参照]オプションをON

 

そこで[塗りつぶしツールオプション]で[複数参照]オプションをONにしましょう。これで他のレイヤーに描かれている絵も参照しながらベ タ塗りができるようになります。あとはその下にある[参照しない]の[下描き]と[文字]をONにしておきます。これで下描きやもう少し後で紹介するセリ フの文字などは参照しなくなります。

[複数参照]オプション

 

[すべてのレイヤー]の部分は他にも選択肢がありますが、ここでは[すべてのレイヤー]を選んでおいてくださいね。

人物の髪がベタになった

 

これで塗り漏れのトラブルは回避できるでしょう。

4-4.塗り残しのトラブル

塗り残しとは

コミスタのベタ塗りでもうひとつよくあるトラブルは「塗り残し」です。

べた塗りの前の画像

 

こんな画像、よくありますよね。髪の毛の先とか。こういう部分はベタの塗り残しがよく起こります。ためしにこれに[塗りつぶし]ツールを使ってみます。

 

拡大するとこんな感じですが、先の部分に塗り残しがありますね。これはデジタルの特性上しようがないところなんですが、これじゃあ塗りつぶしが不安です!ってコトになります。
そこで[閉領域フィル]ツールを選びます。[閉領域フィルツールオプション]は赤丸の部分をクリックしてください。

閉領域フィルツールオプション

 

一時的に画面に緑色の領域を作ることができる

 

このツールを使うとペンツールと同じような感覚で一時的に画面に緑色の領域を作ることができます。塗り残しの部分を包むようにこの領域を作ると、塗り残しの部分が塗りつぶされます。

塗り残しの部分が塗りつぶされた

 

これで塗り残しを簡単に塗りつぶすことができました。ちょっと簡単でしょ?[閉領域フィル]ツールと[塗りつぶし]ツールは対で使うと本当に役立ちますよ。

ホワイトでも塗り潰し

アナログ原稿ならこれでおしまいですが、コミスタの原稿制作ではもう少しだけ工夫をしておきたいと思います。

キャラクターのペン入れ完了

 

キャラクターのペン入れが終わったら、このキャラクターをホワイトで塗りつぶしておきましょう。

新しくレイヤーを作成

 

まず、ペン入れを行っているレイヤー(この画像では[主線]になっています)のひとつ下にレイヤーを新しく作成します。[ラスター]-[黒白(2bit)]で大丈夫です。名前は[ホワイト用]にしておきましょう。

太めのペンで塗りつぶす

 

[ツール]パレットから[マジック]ツールを選択して、ペンのサイズを太めにします。インクの色は白を選んで、キャラを塗りつぶします。[ホワイト用]のレイヤーはペン入れをしている[主線]レイヤーの下側にあるので、既にペン入れした線が消えることはありませんよ。

[塗りつぶし]ツールを選んでインクの色は[透明]にする

 

次に[塗りつぶし]ツールを選んでインクの色は[透明]にします。[塗りつぶしツールオプション]の[複数参照]をONにすることを忘ないように。

はみ出た部分を消すことができた

 

インクの色を透明にした[塗りつぶし]ツールではみ出たホワイトの部分をクリックすると、はみ出したホワイトが透明で塗りつぶされました。つまりはみ出た部分を消すことができました。

主線が描かれているレイヤーとホワイトのレイヤーを統合

 

必要なら、1つ上のレイヤー(この画像では[主線]レイヤーです)を選んで、[レイヤー]メニューから[下のレイヤーと統合]を選べば、主線が描かれているレイヤーとホワイトのレイヤーが統合されます。

ホワイトでの塗りつぶしが完成

 

こうすることによって背景などを別のレイヤーに描くことが簡単になるんです。次回は集中線などの作り方を説明しますが、キャラにかぶせないタイプの集中線もこうやってキャラをホワイトで塗りつぶしておくと便利に描けるようになります。

さてベタも終わって主線のペン入れも完成です。次回は集中線などの効果線を作る方法を紹介していきますね。

コメント
コメントはありません