第7回:3D機能を活用する

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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7-1 3Dファイルを読み込む

3DCGを使う

みなさんこんにちは、森野熊太郎です。最近では映画を観てもゲームをしても、3DCG花盛りで本当にいろんな場面で活用されていますよね。マンガの原稿を仕上げるときにもこの3DCGをうまく活用してみようという機能が「ComicStudioPro 4.0」と「ComicStudioEX 4.0」には搭載されています。

作例の原稿を開くと、1ページ4コマ目の[下描きフォルダ]の中に[3Dワークスペース]というレイヤーがあります。このファイルを開くことができる方は、実際にレイヤーを確認するとわかりやすくなりますよ。

3D下描き機能

 

下描きの中に、なんだかちょっと雰囲気の違う画像が入っています。これは、3D下描き機能を使ったものです。ComicStudioPro 4.0とEXに搭載されている機能なんですよ。

3D下描き機能部分拡大

 

3D下描き機能を使うと立体的な背景などを思い通りに描く手助けをしてくれるんです。今回はこの3D下描き機能を使った背景の描き方を紹介しましょう。

7-2 3DCGをスライダーで操作

3D下描き機能を使ってみる

では早速3D下描き機能を使ってみましょう。…と言いたい所なんですが、実は、ComicStudioのどのメニューを開いても、ツールパ レットを見ても、[3D下描き機能]なんてものはありません。実は[ツール]パレットにある、[3Dフレーム]ツールから[3D下描き機能]の一連の操作 が始まります。

[3Dフレーム]ツール

 

ということで、[ツール]パレットから[3Dフレーム]ツールを選びます。このツールは「今からこのエリアに3DCGを表示させますよー」というエリアの大きさを指定するためのツールです。

[3Dフレーム]を設定~[プロパティ]パレットが表示

 

こんな風に、コマの大きさよりもちょっと大きめに[3Dフレーム]を設定します。設定は[矩形]ツールと同じ要領で、罫線でエリアを囲むようにドラッグします。

3Dフレームが指定されると、[プロパティ]パレットが表示されます。[3Dワークスペース]と書かれたタブが表示され、3DCGを読み込むための準備が整ったことがわかります。ここで、この[プロパティ]パレットの左上にある[読み込み]ボタンをクリックします。

[ファイルを開く]ダイアログボックス

 

[ファイルを開く]ダイアログボックスが表示されたら、今回は[vol5_住宅・ビルディング]のフォルダから[住宅内部]-[リビング] を指定してください。ComicStudioPro 4.0とEXにはこれらの3DCGファイルがたくさん同梱されていて、最初からたくさんの3Dデータが活用できるようになっているんです。

[ファイルを開く]ダイアログボックス~[living01(c).lwo]ファイルを選択

 

[living01(c).lwo]と言うファイルを選択します。右側にプレビュー画面が表示されるので、どんなファイルなのか一目瞭然で すね。…え?こんなリビングは熊太郎の家にはふさわしくない?いえいえ、これは「下描き」として活用するだけなんで、利用できそうなものを選ぶだけでいい んです。ファイルを選択したら[開く]ボタンをクリックしてください。

[回転]-[垂直]のスライダーを動かす

 

さて、だんだん3DCGっぽい画面になって来ました。[プロパティ]パレットにさっき選んだ[living01(c).lwo]というファ イル名が表示されています。まずはその上に表示されている[カメラ]をクリックします。そして[回転]-[垂直]のスライダーを少しだけ右に移動させてみ ましょう。

画面上で選んだ3DCG画像が回転しているのがわかりますか?スライダーを少し自由に動かして、どんな感じで3DCGが表示されるか確かめておきましょう。

[水平]のスライダーを動かす

 

今度は[水平]のスライダーを左に移動させてみましょう。下描きで描いた部屋のアングルと同じようになったらOKです。キャラクターの下描きがあるのでうまくあわせてみましょう。最初はうまくいかなくても慣れてくれば簡単に操作できますよ。

[プロパティ]パレットの[カメラ]

 

3D下描き機能を使うときに気をつけておきたいのが[プロパティ]パレットに表示されている[カメラ]です。この[カメラ]を選んでいる時 は、自分がカメラマンになって自由に仮想の3D空間上で3Dオブジェクト(今回はリビングルームですね)の周りを移動することができます。

もうひとつ[living01(c).lwo]を選んで操作をすると、今度は仮想の3D空間上で指定したオブジェクト(今回はリビングルー ム)そのものを操作できます。自分の目の前にあるパソコンの横側をみたいと思ったら、自分が立ち上がって回り込むか、パソコンを持ち上げて横に向けるか、 ですよね。その違いを[カメラ]と[オブジェクト(living01(c).low)]の選択で切り替えるんです。

もし、オブジェクト(今回はリビングルーム)が画面より小さい、または大きい場合は、オブジェクト自身を小さくしたり、大きくしたりするこ とができます。その場合は[living(c).low]を選んでから、[大きさ・パース]の[大きさ]のスライダーを操作して、大きさを調整することが できます。逆に、[カメラ]を選択すると[大きさ]を操作することはできません。

3Dオブジェクトを操作する[プロパティ]パレットにはたくさんの操作項目がありますが、もし操作を失敗しても[Ctrl]+[z]キーを押して元に戻す(アンドゥ)ことができるので安心です。

 

7-3 フリーハンドでカメラ操作

[3D選択]ツールを使う

[3D選択]ツール

 

実は、[3Dフレーム]ツールで3DCGを表示させる範囲を指定した直後に、[ツール]パレットでは[3D選択]ツールが選択された状態になっています。3Dフレームは一度作ってしまえば、あとは3D上の操作をするだけですからね。

[3D選択]ツールの[ツールオプション]

 

[3D選択]ツールの[ツールオプション]パレットをみると「移動」「回転」「拡大縮小」の3つのオプションが表示されています。

移動

[3D選択ツール]オプション[移動]~「メッシュ」をドラッグ

 

[3D選択ツール]オプションで[移動]を選んで、3D上の「メッシュ」をドラッグしてみましょう。今回はリビングルームを3D表示さ せていますが、このオブジェクトそのものをドラッグするのではなく、必ず空間に表示されている「メッシュ」をドラッグします。これで自由にカメラ(つまり 視点)が移動します。

回転

[3D選択ツール]オプション[回転]~「メッシュ」を横方向に丸くドラッグ

 

[3D選択ツール]オプションで[回転]を選んで、3D上の「メッシュ」を横方向に丸くドラッグしてみましょう。今度は3Dフレームの真ん中を中心として視点が回転します。

[3D選択ツール]オプション[回転]~「メッシュ」を縦方向に丸くドラッグ

 

今度は縦方向に丸くドラッグしてください。この方法で縦方向にも回転が行えます。

拡大縮小

[3D選択ツール]オプション[拡大縮小]~「メッシュ」を縦方向にドラッグ

 

[3D選択ツール]オプションで[拡大縮小]を選んで、3D上の「メッシュ」を縦方向にドラッグしてみましょう。上に向えば拡大、下に向えば縮小します。

7-4 フリーハンドでオブジェクト操作

オブジェクトをドラッグ

[3D選択]ツールで3Dフレーム内の[メッシュ]をドラッグすると、[プロパティ]パレットの[カメラ]に相当する操作が行えました。今度はオブジェクトそのものをドラッグしてみましょう。

移動

[3D選択ツール]オプション[移動]~オブジェクトをドラッグし移動

 

[3D選択ツール]オプションで[移動]を選んで、3D上のオブジェクトをドラッグしてみましょう。これで自由にオブジェクトを移動することができます。

回転

[3D選択ツール]オプション[回転]~オブジェクトをドラッグし回転

 

[3D選択ツール]オプションで[回転]を選んで、3D上のオブジェクトをドラッグするとオブジェクトが回転します。

拡大縮小

[3D選択ツール]オプション[拡大縮小]~オブジェクトを左右横方向にドラッグ

 

[3D選択ツール]オプションで[拡大縮小]を選んで、3D上のオブジェクトを左右横方向にドラッグします。オブジェクトの中心から離れるほど拡大、中心に近づくようにドラッグすると縮小されます。

3Dマニピュレータ

[3Dマニピュレータ]

 

[3D選択]ツールでオブジェクトを選択した際に、[3Dマニピュレータ]が表示されます。この[回 転リング]と[移動ボタン]で操作をすることもできます。ちょっと細かな操作になってしまいますが、[3D選択]ツールに慣れてきたら、ぜひ挑戦してみま しょう。水平垂直の移動や回転などがやりやすくなっています。

7-5 下描きから描画へ

レイヤーフォルダに格納

[3Dワークスペース]レイヤーフォルダ

 

3Dで作った下描きは[3Dワークスペース]という特別な[レイヤーフォルダ]と言うものの中に入っています。[レイヤーパレット]でこのレイヤーをクリックすれば、あとからいくらでも再調整が可能になります。

あくまで下描き

3Dオブジェクトを下描きにしてペン入れ1

 

[3D選択]ツールや[プロパティ]パレットで、3Dオブジェクトを配置できたらこれを下描きにしてペン入れをしていきましょう。難しかったら、鉛筆ツールでさらにイメージ通りに下描きをしてからペン入れをすればOK。

3Dオブジェクトを下描きにしてペン入れ2

 

細かなニュアンスなどは熊太郎家にふさわしい木目調を基調として描き込んでいきます。3Dの下描きと多少違ったって大丈夫。むしろ、自分のイメージにあうようにどんどん描き直していったほうが良いと思います。

3Dオブジェクトを下描きにしてペン入れ3

 

だいたいイメージ通りに描けたでしょうか。キャラがいる場所にあるソファはペン入れしないですませました。

3Dオブジェクトを下描きにしてペン入れ完成

 

こんな、難しいアングルなどでは3D下描き機能が実力を発揮してくれます。自分の家をカメラで撮ったり、写生しようにも、なかなか天井裏に上がるのは大変です。でも、3DCGは操作さえ覚えてしまえば本当に簡単に様々な角度からの見え方を教えてくれます。

最初からたくさん用意されています

ComicStudioPro 4.0とEXにはこのような3DCGの素材がたくさん最初から同梱されています。町並みやビル街なんていう大変そうなモノから、机や車まで、下描きとして 使うには十二分な量です。必要であればデータ集なども別売りで用意されているので、こういったものもどんどん活用できるようになっています。

それでは3D下描き機能の説明はこれくらいで。次回はトーンを貼っていきたいと思います。コミスタならではの楽しいトーンの貼り方を紹介しますね。

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