第8回:トーンを貼る
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8-1 素材パレットからトーンを呼び出す
素材パレット
みなさんこんにちは、森野熊太郎です。さて、そろそろペン入れが終わりました。これからはトーン作業に入っていきましょう。
コミスタでトーンを貼る場合は、[素材]パレットを使う必要があります。この[素材]パレットにはたくさんの素材があらかじめ登録されているんです。
[素材]パレットは[ウィンドウ]メニューから[素材]を選択してチェックが表示されれば画面上に表示されます。
まずはよく使う網点トーン、通称「61番」を呼び出してみましょう。60線10%の網点トーンです。
最初に表示される[素材]パレットでは、どこにトーンがあるのかわかりません。ここで重要なのが左上のエリアです。
この部分の[トーン]と書かれたフォルダに、コミスタのトーンが登録されています。[トーン]と書かれた文字の左横に[+]マーク(図の赤○部分)がある場合はこの中にもっとたくさんフォルダが隠れていますよ、という意味です。そんな場合は、この[+]マークをクリックします。
[トーン]フォルダが開きます。次は[デフォルト]フォルダを開きます。
次は[デフォルト]フォルダの中にある[BasicTone]フォルダを開きます。
更に[1 Screen]フォルダを開きます。
ようやく[1 網点]フォルダまでやってきました。
[1 網点]フォルダを開いて[60L]フォルダをクリックします。もう左側に[+]マークがないので、この中にこれ以上のフォルダはありません。
[60L]フォルダを選択すると、そこに登録されているトーンがすべて表示されます。ここで[60L 10%]と書かれたトーンを選択します。ComicStudioPro 4.0とEXには3200種類以上のトーンが登録されているので、これだけ深いフォルダ階層にそれぞれのトーンが登録されることになります。
コミスタに同梱されているマニュアルの中に、「Material Catalogue(素材カタログ)」が用意されています。トーンの種類は本当にたくさんあるので素材カタログを確認して、自分の必要なトーンがどこにあるかメドを付けておくといいでしょう。
8-2 トーンの貼り付け
トーンで塗りつぶし
ではこの「60L 10%」の網点トーンをさっそく貼り付けてみましょう。
[素材]パレットで必要なトーンを選んだら、[ツール]パレットの一番下を確認してください。
インク色を選ぶパレットの下側に、今選んだトーンの柄が表示されています。下には「60L 10%」の文字もありますね。これが、「今からトーンが貼れますよ~」という合図です。
ここで、ベタを塗ったときと同じ[塗りつぶし]ツールを選択します。[ツールオプション]パレットで必ず[複数参照]-[すべてのレイヤー]に設定してください。
これでベタ塗りと同じような感覚でトーンが貼れました。ただし、[塗りつぶし]ツールを使うときは「ベタ塗り」の時と同じように「線で閉じられている領域」を塗りつぶしていくので、注意してくださいね。
ここで注意して欲しいのが、[ツール]パレットのインク色を選択する部分です。さっき「トーンの柄」になっている部分を選んでいたのが、トーンを塗りつぶしたら「黒」の部分が選択されている状態に変化してしまいました。これにはちょっとワケがあるんです。
トーンを貼る前の[レイヤー]パレットです。わかりやすいように[ペン入れ]と[下描き]のレイヤーだけにしてあります。
この状態からさっきの方法でトーンを選んで、[塗りつぶし]ツールでトーンを貼ると…
さっきは[ペン入れ]レイヤーが選択されていましたが、トーンを貼り終わると[60L 10%]というレイヤーが作成され、このレイヤーが選択されている状態になりました。これは、[トーン]レイヤーと言って、トーンを貼るための専用のレイヤーなんです。
このインク色を選択する際に、「トーン」のアイコンを選んで[塗りつぶし]ツールを使うと、自動的に[トーン]レイヤーを作成して、そこに トーンを貼ってくれます。逆に、何度もインク色で[トーン]を選んで描画すると、同じ種類の[トーン]レイヤーが増えていきます。特に意図がない限り は、[トーン]レイヤーが作成されたら、トーンの貼り足しは[黒]インクを選択して塗りつぶせばOKです。
先ほど作成された[トーン]レイヤー上で[塗りつぶし]ツールを使って他の場所もトーンを貼っていきます。
例えば、こんな風に目の部分にトーンがはみ出てしまっても…
[消しゴム]ツールで消してしまえばトーンを削り取る作業も簡単に行えます。
トーンを削る作業でトーンを貼っている範囲をもっと簡単に確認したい場合は、[プロパティ]パレットで[レイヤー]タブの[トーン領域]のチェックをONにします。
これでトーンを貼っている範囲に色がついてわかりやすくなりましたね。アナログのトーンでは実際に透明のシートが見えますけど、コミスタではトーンを貼っている範囲が把握しづらくなるので、この設定を使ってトーンを貼ると作業がしやすいですよ。
8-3 トーンの貼り替え
貼り替えボタン
では、一度貼ったトーンを貼り替える作業も紹介しておきましょう。一度貼ったトーンの柄だけを取り替えることができるんです。こんなことはアナログではできなかった離れ業なんですが、コミスタならめっちゃ簡単です。
[素材]パレットの左上に[トーンの貼り替え]ボタンがあります。貼り替えたいトーンを選んで、このボタンを押せば、選んでいる[トーン]レイヤーの柄がすぐに変更できます。
今貼っている網点[60L 10%]の部分を貼り替えてみましょう。[レイヤー]パレットは貼り替えたい[トーン]レイヤーを選択しておくことを忘れずに。
今回は [クロス]の[60L]にある[60L 25%]を選択しておきました。[素材]パレットの[トーンの貼り替え]ボタンをクリックします。
はい、完了です。なんて簡単なことでしょう。これだけの作業でトーンの柄の入れ替えもバンバンできちゃいますので、後から調整したいときに本当に役に立ちますね。
[レイヤー]パレットを確認すると、[トーン]レイヤーの名前も[60L 25%]に変更されています。これで作業は完了です。
8-4 簡単にトーンを貼る方法!
選択範囲ランチャー
では、もう一つのトーンの貼り方を説明しておきましょう。この方法はとっても簡単です。使用できるトーンの種類は限定されますが、[素材]パレットでトーンを捜すよりも手早くトーンを貼ることができます。
まずは、[マジックワンド]ツールを使って、閉じられた範囲を選択します。
[マジックワンド]ツールは[塗りつぶし]ツールと同じように、線で閉じられた範囲を選択するツールです。この選択された範囲のことを[選 択範囲]と言います。画像に少し手を加えて、緑色に見えている場所です(実際のコミスタの画面では、点線で範囲が表示されますので、緑色にはなりませ ん)。
この選択範囲が作成されている状態のときは、選択範囲の下側に[選択範囲ランチャー]が表示されます。もしこの[選択範囲ランチャー]が表示されないときは[表示]メニューから[選択範囲ランチャー表示]のチェックを入れてください。
この[選択範囲ランチャー]の一番右側にポインタを持って行きましょう。
これが[新規トーン作成]ボタンです。このボタンをクリックするとすぐにトーンが貼り付けられます。本当にあっけないくらい簡単です。ちゃんと[レイヤー]パレットにも[トーン]レイヤーが新しく作られていますよ。
でも、こんなトーンを選びたいんじゃないっ!という場合も気にせずに、[簡易トーン設定]ダイアログを見てください。
この[簡易トーン設定]ダイアログで[線数]や[濃度]を設定します。最初は[種類]が[円]になっていて、網点トーンだけしか選べないように見えますが…
[種類]のボタンをクリックすると、これだけの種類が隠れているんです。ここで万線トーンや砂目トーンにすることもできます。でも、風景や 服の柄のような大きな絵が描かれているトーンは[素材]パレットから選ばないといけません。[簡易トーン設定]を使う時は、網点トーンなどの濃度が均一な トーンを使う時だけに限られます。
それでも、この手のトーンはよく使うトーンなので、この方法で簡単に貼れると作業がとっても楽になります。ぜひ、覚えておいてくださいね。
また、[同じ設定のトーンがある場合は1枚にまとめる]にチェックを入れておくと、同じ設定のトーンは同じ[トーン]レイヤーに貼り込まれます。[トーン]レイヤーを増やしすぎないためにも、このオプションを活用してくださいね。
削りは?
トーンと言えば、ぼかし削りなどのワザがいろいろありますよね。そんなワザはコミスタではできないんでしょうか。いえいえ、実は、第6回で 使った[パターンブラシ]ツールを使って、とても簡単、かつキレイにぼかし削りを入れることができるんです。次回はパターンブラシを使って、トーンワーク にもっと磨きをかけていきましょう。グラデーショントーンも次回に説明しますね。
それではまた次回!!
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