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書き出しを使いこなす 実践編

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 42586回 総合評価 : 4件

※使用したバージョン:ComicStudioVer.4.5.6

[1]まずは出力が基本
[2]特定のレイヤーが出力されない!?
[3]作品情報でノンブルを!
[4]トーンがおかしい!?
[5]サイズを間違えた!?
[6]同人誌印刷所向けでの注意事項
[7]印刷の時にも

同人誌印刷所などの納品先に作品の画像データを受け渡しするためには[書き出し]機能を利用します。[書き出し]の作業にはとにかく設定項目がたくさんあるので、細かな部分で見落としやミスがあると、思いがけない出力結果になってしまうこともあります。

今回は同人誌印刷所に納品する場合をテーマに、書き出し作業で気をつけておきたいところを解説します。内容的に商業利用やコピー本を作成するときにも同様に活用できる部分でもありますので、書き出し作業に不安を感じる場合はぜひチェックしておいてください!

[1]まずは出力が基本

まずは出力を

「出力した画像ファイルがおかしい?」なんてことは、慣れている人でもよくあることです。
書き出し後のデータは、コミスタの作業画面上だけで総てを確認することができません。

 

ノンブルがない、位置の修正が必要など、「イヤな気付き」はたいてい出力後にやってきます。なにはともあれ、まず「書き出し」を実行してファイル出力を行いましょう。

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[2]特定のレイヤーが出力されない!?

コミスタでは見えるのに…

コミスタ上では見えるのに、出力したファイルにレイヤーごとごっそり出力されていない!という場合は、[下描き設定]を確認しましょう。

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レイヤーの出力属性を[下描き]に設定しておくと、出力の際に下描きなどのレイヤーを非表示にしなくてもよい、という便利な設定です。しかし、必要なレイヤーを間違って[下描き]属性にしてしまうとトラブルの元になることも。

[レイヤー]パレットを確認して、不用意に出力属性を[下描き]にしているレイヤーがないか確認をします。

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トーンレイヤーは大丈夫?

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トーンレイヤーは[下描き]設定にできません。なので、間違って下描き属性にしてしまうようなことはないから安心…と思っていると落とし穴もあったりするのです。
確かにトーンレイヤーは[出力属性]を設定できないので、誤って[下描き]属性にしてしまうおそれはないのですが…

 

ラスター8bit(グレー)レイヤーで[減色手法]を[トーン化]で使っている場合は、下描き属性に設定できてしまいます。

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トーンが出力できない!となった場合は、どの種類のレイヤーでトーンを描画しているかを確認してみるといいですよ!

 

[3]作品情報でノンブルを!

ページ情報の内容はどこで?

書き出しの際に[ページ情報]を設定できます。

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[トンボ]や[基本枠]はともかくとして、[作品名・話数]や[ノンブル]はドコで設定するの?と迷子になるケースは多いようです。

作品表示状態(ページを閉じます)にして、[作品]メニューから[作品情報の変更]を選択します。

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[作品情報]ダイアログが表示されるので、それぞれの項目を設定します。

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[作品情報]作品名や話数などを入力。表示位置を設定。トンボ外に表示されます。

[作者情報]作者名を入力。表示位置を設定。トンボ外に表示されます。

[ページ番号]ノンブルとは別にトンボ外にページ番号を表示。位置を設定。

[ノンブル設定]ノンブルの装飾文字や開始番号などを設定。トンボ内に表示されます。

[設定を総てのページに反映する]普段はONにしておくといいでしょう。

 

POINT

実は、新規作品を作成するときに表示される[新規作品]ダイアログにある[作品情報]ボタンをクリックすると、あらかじめ作品情報を設定することが可能です。ここで入力されている情報を訂正したい場合は[作品]メニューから[作品情報の変更]を選択します。


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作品情報をコミスタ画面に表示

設定した作品情報は、コミスタの操作画面上にも表示させることができます。[表示]メニューから[作品・作者情報表示]/[ページ番号表示]/[ノンブル表示]を選択します。

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コミスタの原稿用紙上に作品情報が表示されます。

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ノンブルが絵と重なってしまう

出力する際に、ノンブルを付加することができます。同人誌印刷ではノンブルは乱丁落丁を無くすために必要な作業ですが、タチキリのコマでノンブルが邪魔になる、なんてこともあります。

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絵とノンブルが重なってしまうこともありますが、そんな場合はノンブルの位置を移動するか、白フチをつける対応方法があります。

[テキスト]ツールを選択して、ノンブル上にマウスポインタを移動すると、普通のテキストと同様、ノンブルを移動させることが可能です。ノンブルそのものを邪魔にならない場所に移動できます。

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[テキスト]ツールでノンブル上をダブルクリックすると、[プロパティ]パレットが開いて文字設定を行うことができます。上図では白フチをつけてノンブルを見やすく設定してみました。文字の設定は行えても、文字そのものを変更することはできません。

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[4]トーンがおかしい!?

トーンが薄い

自分が貼ったトーンはこんなに薄かったっけ?と出力データに疑問を感じたり、トーンの様子がおかしい場合は、出力設定の再確認をしておきましょう。

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書き出しの設定で、[トーン設定]の内容を確認します。

[濃度設定]は変更されていませんか?また、[モノクロ出力時レイヤーの不透明度をトーンの濃度に反映する]がONになっていると、トーンレイヤーの[不透明度]によってトーンが薄くなってしまいます。特に意図することがない限りこの設定はOFFにしておきましょう。

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グレー出力に注意!

出力時に[色深度]を[グレースケール]または[カラー]に設定すると、レイヤーの[不透明度]がそのまま反映されます。

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レイヤーの不透明度を変更している場合は、注意しましょう。色深度を[モノクロ2階調]に設定している場合は、レイヤーの[不透明度]は無視されます。[モノクロ2階調]の出力になれているヒトほど、グレー出力したときに勝手が違って戸惑うこともありますので、ご注意を。

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書き出しの設定で[色深度]を[グレースケール]や[カラー]に設定した場合、[トーン設定]も再度確認をしておきます。トーンの設定を行う際、色深度を[グレースケール]や[カラー]に設定していると[出力設定]の設定もできるようになっているためです。

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[5]サイズを間違えた!?

出力範囲を間違えていませんか?

出力した原稿が意図した大きさになっていない!という場合はまず[出力範囲]を確認しましょう。

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同人誌印刷所に納品する場合は、トンボも含めた原稿用紙全体の大きさを求められることが大半です。また、前半と後半で出力作業を分けてしまった際に[出力範囲]を違う設定にしてしまうと、ページごとのサイズが変わってしまって、最悪のケースでは納品を受け付けてもらえないことも。

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[出力範囲]の設定は上図を参考に、適切におこなわれているか確認しておきましょう。

 

本当にサイズを間違えてしまった!

B5サイズの同人誌を作りたくて、B5サイズの原稿用紙に描いてしまった…!というケースです。

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原寸印刷が基本の同人誌印刷では、「トンボまでのサイズがB5」サイズである必要があるので、B5サイズの同人誌を作るための原稿用紙は「A4」を用意します。もしこの大きさを間違えてしまっていた場合は、潔くあきらめて最初から描き直しましょう。不用意に画像を拡大や縮小することはトラブルの元です。

………と言い切ってしまうときっと怒られてしまうと思いますので、「本当に緊急の場合」のみの対応方法を説明しておきます。ただし、〆切間際にサイズ違いが発覚した、などの本当の緊急時の対応だと考えておいてください。

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書き出しの設定で[出力サイズ指定]を指定、正しいサイズを入力します。これで原稿用紙のサイズを変更した状態で出力が可能です。

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一般的に、デジタルのマンガ原稿は縮小すると網点トーンなどがモアレてしまう原因になるので、厳禁です。しかしComicStudioでは拡大縮小を行う際にトーン情報を再計算するため、モアレが発生しません。

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原稿の大きさを変更して出力する場合は[トーン設定]で[線数設定]を再確認しておきます。

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[レイヤー設定に従う]では、拡大縮小後にもトーンの線数は変化しないため、縮小時にはトーンの濃さが「薄く」感じてしまう恐れがあります。

[出力倍率に依存する]では、拡大縮小後にトーンの線数も変化するため、トーンの濃さのイメージが変わりにくくなります。

出力データを必ず確認して、トーンの濃さを確認。自分のイメージに近い方の設定を利用しましょう。こればかりは作者であるあなたが自分の目で確かめた方がいいでしょう。

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原稿用紙の拡大縮小出力時にトーンがモアレを出ないように再計算ができるのはあくまで「トーンレイヤー」のみです。もし、トーンレイヤーをラスタライズや、ラスターレイヤーを統合している場合はこれには当てはまりません。ここには充分注意しておきましょう。

 

[6]同人誌印刷所向けでの注意事項

印刷用の設定例[モノクロ2階調での出力]

同人誌印刷所に納品する場合の出力例を紹介します。

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[ファイルの設定]の[種類]は印刷業者の指定する形式を選択します。
ラスターレイヤー(グレー8bit)をトーン代わりに利用している場合は減色手法を[トーン化]に指定します。

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グレーのラスターレイヤーで減色手法[減色無し]の状態のものがページの中に混ざっている場合は、[ラスター設定]で必ず[減色手法]を出力時に[トーン化]しておきます。

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色深度[モノクロ2階調]ではグレーの画像を疑似階調で出力することができるので、データ上はグレーの表現ができているように見えても、このような細かいドットではイメージ通りの出力になるか責任が持てないため「疑似階調」で細かなドットを使った原稿を嫌う印刷所もあります。よく確認した上で対応しましょう。

 

印刷用の設定例[グレースケールでの出力]

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[ファイルの設定]の[種類]は印刷業者の指定する形式を選択します。

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強制的に網点トーンなどグレー階調にしたい場合は、[トーン詳細設定]で[グレー出力]に指定します。原稿を作成するときに利用した「網点の線数」情報などは、印刷所の指定で統一されてしまいます。
また、グレースケールで出力するが、網点トーンは必ず白黒2階調で出力したいという場合は、[すべてモノクロの網点で出力]を指定します。

原稿上をチェックして、グレーで塗られている部分に網点トーンが重なっていないかを確認します。

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グレー上に網点トーンが重なっているとモアレの原因になります。これは、グレーの原稿は印刷所で疑似階調化されて印刷されるため、細かなドット同士が網点に干渉する恐れがあるからです。

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グレースケールで原稿を納品するときは、注意する点が多く存在します。必ず同人誌印刷所に確認しておきましょう。

 

[7]印刷の時にも

印刷設定も同様に

「ウチのプリンタで印刷するから、出力設定は関係ない」と諦める必要はありません。ComicStudioの印刷設定は、出力設定と同様の項目も用意されています。

[ファイル]メニューから[印刷設定]を選択。

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[印刷設定]ダイアログで書き出し時に設定する内容と同様に調整をすることも可能です。

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例えばインクジェットプリンタで印刷するときに、インクのにじみでトーンが濃く印刷されてしまう時には[トーン設定]を利用して、トーンの濃度を全体的に薄くする…なんてこともできるんです。

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