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パターンブラシの限界に挑戦~草原と木を描く その2~

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30    作家 : おぎのひとし
閲覧数 : 18983回 総合評価 : 9件
本文中で解説しているオリジナルブラシ[近い草] [ 葉リボン] [密集葉]は、「素材を探す」からダウンロードできます。
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[1]近景の草を描く
[2]樹木を描く
[3]完成

[1]近景の草を描く

奥行きを出すためにも手前に大きめの草も描くことにしました。これが無くても草原としては成立しますが、あった方が見栄えは良くなります。

(1)各種素材を用意
[表現色]:[黒白(2bit)]のレイヤーを新規作成します。

b01fix01.jpg

 

草を描きます。

ComicStudioのパターンブラシには白や黒、カラーも利用可能です。今回はすでに描画した草を覆い隠すようなブラシを作成したいので、白と黒を使用して描いています。(画面の緑の部分は透明部分です)

img01-17.jpg

 

レイヤー1枚につき1つの草を描いています。

011.jpg

 

(2)画像を反転してパターンを増やす
今回6種類の草を描きました。それをすべて反転して、全12種類の草にします。

草を描いた一番上のレイヤーを選択し、一番下のレイヤーを[Shift]キーを押しながらクリックし草を描いたすべてのレイヤーを選択します。

012.jpg

 

[レイヤー]メニューから[レイヤーの複製]を選択します。

013.jpg

 

レイヤーが複製されます。

014.jpg

 

[編集]メニューから[移動と変形]→[左右反転]を選択し画像を左右反転します。

015.jpg

 

画像が左右反転しました。
反転した画像を移動すると反転していることがわかります。

017.jpg

 

これで全12種類の草パターンができました。

(3)個別に登録しブラシを作成
「草原」ブラシ同様、作り込んでいきます。今回のブラシスタイルは[エアブラシ]ではなく[スタンプ]を使用しています。

b01fix02.jpg

 

(3)完成
手前に草を敷き詰めました。一度ブラシを作ってしまえば手で描くよりはるかに速く描けます。

img01-18.jpg

 
POINT

前に描いた草が透ける!?

今回のブラシは草の中を白で塗りつぶしています。
黒白(2bit)レイヤーやカラー(32bit)レイヤーには白が描けるので、草が重なっても前に描いた草が透けることはありません。

008.jpg

 

007.jpg

 

しかし、黒(1bit)レイヤーやグレー(8bit)レイヤーでは白で描くことができないので、前に描いた草が透けてしまいます。

009.jpg

 

010.jpg

 

前に描いた絵が透けてほしくないときは、ブラシ作成の時だけではなく、描画するレイヤーにも気を付けましょう。

 

[2]樹木を描く

(1)「葉リボン」ブラシの作成
まずは葉っぱの形のブラシを作ります。草原ブラシ同様、下記のような形に描いてブラシとして登録します。名前は「葉リボン」としました。

img01-19.jpg

 

[ツールオプション]パレットのコンテキストメニューの部分をクリックし「設定情報を変更」を選びましょう。表示されたダイアログ内の[スタイル]を[リボン]とします。

img01-20.jpg

 

[サイズ]を「2.00mm」に変更しました。このブラシはそれ以外変更を加えていません。

img01-21.jpg

 

作成したブラシで描画してみました。設定が[リボン]のため、ストロークに沿って変形します。

img01-21-01.jpg

 

(2)「密集葉」ブラシの作成
ブラシ形状として下記のように葉っぱ風の物を描いて登録します。名前は「密集葉」としました。

img01-22.jpg

 

[ツールオプション]パレットのコンテキストメニューの部分をクリックし「設定情報を変更」を選びましょう。表示されたダイアログ内の [スタイル]を[エアブラシ]に変更します。

b01fix03.jpg

 

それぞれ、下記のように変更しました。場合によっては筆圧によってサイズを変更するようにしても良いかも知れません。

img01-23.jpg

 

作成したブラシで描画してみました。強く描けば描くほど散布範囲が広がっているのがわかります。

img01-23-01.jpg

 

(3)葉の描画

まずは葉のエッジを「葉リボン」ブラシで描きます。

img01-24.jpg

 

その中を「密集葉」ブラシで埋めていきます。この時重要なのは光源です。全てを埋めるのではなく、光が当たっている部分は白く残しましょう。

この作例の場合は、左上から光が当たっていることを想定しています。

img01-25.jpg

 

[ツールパレット]から[白]を選択し、ブラシの色を白にして白い部分を追加します。これで、より光源が明確になりました。

img01-26.jpg

 

白くなりすぎるのを防ぐためにも「葉リボン」ブラシで葉を加えていきます。多少グラデーションを意識してあげるとそれらしくなります。

img01-27.jpg

 

適当な範囲を[矩形選択ツール]などで選択し、[選択範囲ランチャー]の[新規トーン作成]アイコンをクリックし、トーンを作成します。

b01fix04.jpg

 

表示された[簡易トーン設定]ダイアログで[線数]は「60,0」前後。[濃度]は「30%」くらいにします。

b01fix05.jpg

 

[選択範囲ランチャー]の[選択を解除]アイコンをクリックして選択を解除します。

b01fix06.jpg

 

作成されたトーンレイヤー上で「密集葉」ブラシを使用し、黒色で描画します。光の当たっている部分は白く残します。

img01-28.jpg

 

(4)樹木完成
幹を追加して樹木の完成です。

img01-29.jpg

 
★Point!

幹の描き方について解説します。

幹は四方八方に枝分かれしていて描くのが大変ですが、一定のパターン化をしてあげると比較的楽に描けます。

例えば最初、二つに枝分かれした幹を描きます。さらにそれぞれの枝の先を二つに分けます。そしてその先をまた二つに…としていくと、自然と木の幹のようになります。

img01-30.jpg

 

完全に同角度で枝分かれさせると不自然ですが、多少角度を変えたり曲げたりすると、自然になります。試してみてください。

img01-31.jpg

 

[3]完成

手前の草にトーンを貼り、草原の奥に「密集葉」ブラシを使って森を描きました。これで草原と樹木、地面部分は完成です。

鳥と人物と幹、そして草原のエッジ以外は全てパターンブラシを使っているわけですが、そうは思えない仕上がりになっていると思います。

img01-32.jpg

 
★Point!

パターンブラシの描画部分にトーンを貼る!?

今回「近い草」ブラシで描画した部分にグラデーショントーンを貼っています。このような複雑に描画されている箇所でも簡単に選択しトーンを貼ることができます。

(1)近い草をのみを描画したレイヤーを[Alt]キーを押しながらクリックします。

018.jpg

 

描画された箇所の選択範囲が作成されます。

019.jpg
※選択範囲を赤く表示してあります。

 

(2)後はグラデーションツール等を使用してトーンを貼れば、複雑に描画されている箇所でも簡単に選択しトーンを貼ることができます。

020.jpg

作者プロフィール:おぎのひとし  (サイトURL:http://www.ogino-hitoshi.com/

主にこども向けの漫画やイラスト、絵の学校の講師などを生業としています。
ともすれば画一的になりがちな「デジタル作画」において個性を出せるような使い方を目指しています。
参考にしていただければ幸いです。

「蜃気楼~まんが家おぎのひとしのホームページ」:http://www.ogino-hitoshi.com/

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