パターンブラシの限界に挑戦~雲を描く その2~
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今回はパターンブラシを使い、さらにバラエティーに富んだ雲の描き方にチャレンジしてみましょう。
[1]夕方の雲
夕方を表現するのにまず思いつくのは「沈みゆく太陽」。もちろんその太陽は地平線に近い位置に見えます。そして前回解説したように、雲というのは地平線に近ければ近いほど底面が平らに見えます。
したがって、その位置にある雲も自然と普段の雲よりは平らに見えます。パターンブラシも、それに都合が良いよう作り替えましょう。
(1)ブラシ形状の作成と登録
前回作成した積乱雲用のブラシを複製します。[ツールオプション]パレットの[メニュー表示]アイコン(円内)をクリックし「新規設定」を選びます。
[新規ツールオプション設定]ダイアログが表示されるので、[設定の名前]を「夕方の雲」としました。
[ツールオプション]を下記のように変更します。
[サイズ]を「10cm」にし、さらにブラシ形状の[厚み]を「100%」に。そしてあまりエッジがデコボコにならないよう、[散布]の範囲を「15mm」にします。
ブラシのサイズが小さくなり散布の範囲も狭まったことで、結果的に平たい雲が描きやすい設定になりました。
(2)トーンの貼り込み
地平線近くに太陽があるわけなので、地平線付近の空は明るくなり、そこから離れるにつれて暗くなります。これを表現するのに最適なのはグラデーショントーンです。
[素材]パレットから任意のトーンを選びます。今回は10cm幅のトーンを選びました。これを画面にドラッグして貼り付けます。
このままだと角度がおかしいので、調整します。作成されたトーンレイヤーのアイコン(円内)をクリックして[プロパティ]を変更します。
[表示角度]を「270」としました。これで、上から下に向かって明るく見えるようになりました。
(3)太陽と雲の描画
まずは光源を定めるために、太陽を描こうと思います。[楕円]ツールを選択し[楕円ツールオプション]パレット内の[図形の内部を塗りつぶす]オプション(円内)をクリックします。
描画色を透明にし、任意の位置に円を描きます。正円にするなら[Shift]キーを押しっぱなしにしてドラッグすると良いでしょう。
先ほど作成した「夕方の雲」ブラシを選択し、透明色で雲を描画していきます。この時点では影のことは考えず、アウトラインだけを考えて形を取っていきます。
(4)影の表現
形が出来たら、次はその雲に影をつけていきます。もちろん積乱雲と同様同じトーンレイヤー上に影を描いていっても良いのですが、今回は修正が簡単なように、別レイヤーに影を描いていきます。
雲を描いたトーンレイヤーを複製します。[レイヤー]パレットの[コンテキストメニュー]アイコン(円内)をクリックし、「レイヤーの複製」を選びます。
[編集]メニューから「クリア」を選び、一度トーンを全て非表示にします。
再び「夕方の雲」ブラシを使い、描画色「黒」で影を描き入れていきます。ボカしたい部分は「エアブラシ(トーン削り用)」を使うと良いでしょう。なお、光源は雲よりも下なので、影は雲の上に出来ます。
別レイヤーに影を描いているおかげで、雲の形が崩れることはありません。
(5)影の濃さの調整
おおむね形が出来ましたが、このままだと少し影の色が濃いように見えます。最後に、影の濃さを調整しましょう。
[レイヤー]パレット上で影のトーンレイヤーのアイコンをダブルクリックし、[トーンプロパティ]を表示させます。
グラデーションのカーブを下記のように変更すると、トーンの濃さが薄くなるのがわかると思います。
これで完成です。
[2]怪しい雲行き
今までは空に浮かぶ雲を描いてきましたが、今回は空全体に雲が立ちこめている表現に挑戦してみましょう。
(1)雲を描く
まずは基本となる雲を描きましょう。[素材]パレットの中から下部が濃い「60L
20cm」のグラデーショントーンを選び、画面にドラッグします。
なお、雲のどちら側が明るくなるのかは光源の位置によって変わるのですが、今回は下から光が当たっているように削ることにします。
[パターンブラシ]の「積乱雲」で大まかに削り、「エアブラシ(トーン削り用)」で微妙にボカしていきます。
(2)影のトーンを貼る
影のトーンを貼ります。今回は[網点]、「60L20%」を選びました。
今回これに対しては削らずに、ただ貼るだけにしておきます。
(3)明るい部分を描く[レイヤー]パレットの[新規レイヤー作成]アイコンをクリックし、[マスキングレイヤー]を作ります。
作成した[マスキングレイヤー]はトーンレイヤーの上に配置します。
[マスキングレイヤー]について詳しくは、機能解説!トラの巻「マスキングレイヤーを使いこなす」をご覧ください。
描画色「黒」を選択し、削った雲の光が当たっているであろう部分を中心にマスクを描いていきます。[マスキングレイヤー]を使うことで、影のトーンを削るよりもエッジをハッキリさせることが出来ます。
(4)稲光を描く
最後に[ペン]ツールなどを使って稲光を描き入れていきます。これはなくてもかまいませんが、加えることでより、怪しい雰囲気を演出することが出来ます。
これで完成です。
[3]雲間から差す光
明るい未来を予兆させるような、ドラマチックな空の描画にチャレンジしてみましょう。
(1)奥の雲を描く
上から光が当たっていることを強調させるような雲を描きましょう。ほんのわずか上部が明るくなっているグラデーショントーンを選びました。角度も、上側が明るくなるように調整しました。
[パターンブラシ]の「積乱雲」を使用して、下部に積乱雲を描いていきます。この時影も入れますが、多少濃いめに残しておきます。
(2)手前の雲を描く
手前の、影になっている雲を描きます。まずは20%くらいの濃さのトーンを重ねてあげましょう。
そしてそれを、雲の形に削ってあげます。手前と奥を意識して、削り方を変えてあげても良いでしょう。
(3)最も奥の雲を描く
さらに奥に、10%くらいの濃さの雲を足して見ました。こうすることでさらに画面に奥行きが出ますが、場合によってはなくても大丈夫かも知れません。
(4)光を描き入れる
光を描くレイヤーを作成します。[レイヤー]パレットの[新規レイヤー作成アイコン]をクリックし、ラスターレイヤーを作成します。名前は「光」としました。
雲間から差す光には[定規]メニューの[特殊定規の作成]→「放射線定規」が有効です。
定規を作成すると放射線の中心が表示されるため、太陽がある位置に移動させます。
キーボードの「Q」を押すと、マウスカーソルの位置に中心が移動されるため便利です。
描画色「白」を選択し[丸ペン]など、なるべく細いペンを使って光を描き入れていきます。この時、[ペンツールオプション]で[入り]と[抜き]にチェックを入れておくと鋭い線が引けるため便利です。
完成しました。この時光の線だけでなく、雲の影も光の角度に応じて削ってあげると、より光の輝きを表現出来ます。
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