提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30    作家 : 鳴海(なるみ)
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私にとってペン入れは、最も時間がかかり、気力と根気の必要な工程です。ペンタッチひとつで作品のイメージが変わると言っても過言ではありません。IllustStudioにはいろいろな種類のペンがあり、画風によってさまざまな使い分けができます。

今回のイラストでは、筆圧に適度な強弱をつけてペン入れをしています。

 

1.ペンの特徴と設定

[ペン]ツールには、多彩な[ツールセット](あらかじめ用意されている[ペン]ツールの設定)があります。これを使えば、手描きのような感覚できれいな線が引け、しかも手や原稿は汚れず修正も楽にできます。

■ペンの特徴
選び方は千差万別ですが、私は下記のように使い分けています。

・ 劇画風やキャラクター性の高いイラストには[G]ペン
・ 水彩風や儚いイメージのイラストは[丸]ペン
・ ミリペンのような大体一定の太さの線を引きたい場合は[カブラ]ペンか[スクール]ペン

ペンの比較

今回のイラストでは[G]ペンをメインに、サブ的に[丸]ペン使います。

■ペンの設定
私の[ペン]ツールの[ツールオプション]の設定は以下の通りです。

・[G]ペン、[丸]ペン … 手ブレ補正:3 / 後補正:なし / 入り抜き:on
・[カブラ]ペン、[スクール]ペン … 手ブレ補正:MAX / 後補正:2.0 / 入り抜き:off

ツールオプションの設定

ペンタブレットで描くことに慣れていなくて、線が手ブレしてしまう場合には、[前補正]と[後補正]を調整すると手ブレを補正してくれます。また[入り抜き]の設定を「on」にすると、毛先がきれいに描けるので必要に応じてチェックを入れます。

 

2.ペン入れ時のポイント

私がペン入れの際に気をつかっているのは以下のポイントです。

(1)描きやすい位置をキープする
(2)ペンタッチを付け加える
(3)パーツごとにレイヤーを分ける

この3つのポイントを守りながら、ペン入れをしていきます。

(1)描きやすい位置をキープする
人それぞれ線を引きやすい方向があると思います。私の場合、縦方向(特に右上から右下)に線を引くのが一番楽で、横に線を引くのが苦手なので、なるべく楽な方向で線が引けるように、キャンバスを回転させながら描きやすい位置をキープしつつ描いていきます。

描きやすい位置をキープする

(2)ペンタッチを付け加える
筆圧の強弱がペンタッチに良く出る [G]ペンを使用していますが、もう少しペンの特徴を出したいので、「液溜まり(ベタ)」をわざとつけたり、[消しゴム]ツールで要らない部分を削ったりして、さらに線の強弱をつけていきます。

ペンタッチを付け加える

このひと手間を加える事によって、線にメリハリが出て絵が引き立ちます。ただし、コミカルな画風の人にはオススメですが、透明水彩などのふんわりとした画風や色合いの時は、逆にペンタッチをつけるとうるさくなり過ぎてしまうこともあるので、やり過ぎには注意してください。

(3)パーツごとにレイヤーを分ける
最終的にはひとつのレイヤーにまとめてしまいますが、ペン入れをする際は、必ずパーツごとに新規レイヤーを作って描き込むようにしています。せっかくうまく引けた線が、他のパーツを修正する際に一緒に消えてしまうのを防止するのと同時に、身体のライン等、各パーツの下になるものをギリギリまで残しておきたいからです。特に身体のラインはレイヤーを別にしておき、服のペン入れが終わるまで残しておくと、後からデッサンの狂いに気付いても修正することができます。

パーツごとにレイヤーを分ける

線が重なりやすい顔の輪郭も、目や髪のレイヤーと分けておくと、輪郭の近くにある髪やまつげを消さずに輪郭だけ修正することができます。

レイヤーを分ける

これでペン入れまで完成です。

線画完成画像

次回は、下塗り作業から背景の着色までをご紹介します。

作者プロフィール:鳴海(なるみ)  (サイトURL:http://siesta.sunnyday.jp/

駆け出しのイラストレーター。憧れる絵描きさんは多数で、自身も挿絵イラストレーターなどを目指し勉強中。現在はトレーディングカード『東方雅華乱舞』シリーズや同人CDのジャケットなどに参加。

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