4.彩色
閲覧数 : 5613回 総合評価 : 1件
1.人物
ここからは本格的な彩色の作業に入ります。先ほどパーツ分けを行ったので、顔→髪の毛→服……というふうに画面の奥のパーツから順番に塗るのがセオリー通りでしょうか。この方法だと、丁寧に塗ることはできるのですが、色相の違うパーツ同士の境目などで色のまとまりに欠け、全体的にしまらない感じになってしまう、という欠点があります。
そこで、まんべんなく色塗りをし、その色を拾って使っていく方法をとることで、境界でも違和感のない、なじんだ綺麗な色合いを作ることができます。先ほど作成した[サブビュー]パレットは、この方法にとても適しているのです。
ということで、まずはキャラの肌から塗っていきましょう。先ほども少し書きましたが、基本は下(画面の奥)にあるものや、色の薄いものから順番に塗っていくのが綺麗な塗りを作るコツです。今回の絵を「下にある順」に並べると、背景→肌→髪の毛・服→薔薇の花……という順番になりますが、背景をキャラよりも濃い色にするので、あえて最後に背景の彩色の作業を持ってくることにします。
すでにパーツごとのレイヤー分けが完了していますので、それぞれのパーツで透明部分を保護することができます。[ツールオプション]の[透明保護]にチェックを入れると、塗りつぶしたところ以外にはみ出さずに塗っていくことができます。
※いくつかの項目は初期状態で非表示の設定になっています。全ての項目を表示するには[ツールオプション]下部の[全てのパラメータを表示する]をクリックします。
それでは、この[透明保護]機能を利用しながら、まずは顔の部分から塗っていきます。
先ほど開いた[サブビュー]パレットから、適した色を拾い、塗っていきます。基本の肌色を塗ったあと、目や口の周りの影(暗い色)を乗せていきます。
ここでは、[水彩]ツールの[水彩筆]を使っていますが、微妙な陰影などは、不透明度を調整しつつ塗っていきます。頬のかすかな赤み等は、不透明度を10%以下にして重ね塗りをしていくといいでしょう。
顔の部分を塗り終わったら、残しておいた目の部分です。瞳の部分を赤色で塗り、そこに薄い青色を少し加えます。瞳の中心はややぼかしを掛けるように塗っていきます。目の部分は、塗り込みすぎないほうが眼力の強い印象になると思います。逆に塗り込みをしっかりすると、瞳がつぶらになってかわいらしい印象になります。
次は髪の毛です。陰影は単色の明暗で塗るのではなく、暗い部分は青色、光のあたっている部分は黄色……というふうに色相を変えて塗っていきます。同じ色の明暗で塗るよりも、このように色に変化をつけたほうが印象は強く、綺麗になります。
陰影を描き終えたら、髪の毛を束ごとに分けます。こうすることで、髪の毛の自然な流れが表現できます。さらに束ごとに陰影を描き込みましょう。これで髪の毛の部分はひと通り完成です。
次は服を塗りましょう。
服のベースの部分は、先ほどと同じ手順で[サブビュー]パレットから色を取り、陰影をつけていきます。それが終わったら、服の模様を描き込みます。服の模様は、服のベースの色を塗ったレイヤーの上に新規レイヤーを作成し、[曲線]ツール等を使って単色で描きます。さらに透明部分を保護して、陰影をつけていきます。先ほどの髪の毛と同じように、明るい部分は黄色、暗い部分は青系の色を乗せ、変化をつけていきます。
2.細部
次は骸骨を塗ります。
明るい部分は薄いブルーがかった灰色、暗いところは紫色を使い塗っていきます。これだけでもいいのですが、絵のなかで骸骨が目立つようにしたかったので、さらにポイントを描き込んでいきます。
黄色で目の中を丸く塗り、紫色のハイライトでその周囲を光らせます。
[ツールオプション]の[合成モード]を[覆い焼きカラー]に設定した[エアブラシ]ツールでなぞると…ぼーっと発光し、不気味な感じに仕上げることができます。
次は薔薇の花を塗ります。
まず、手に持った1輪の薔薇の花は、今までと同様の手順で塗ります。塗り終わったら、[矩形選択]ツールで塗った部分を囲んで、[コピー]→[貼り付け]をします。貼り付けたものを、骸骨の下の部分に持って行きます。
同じように[コピー]→[貼り付け]をして、いくつも作ります。それを1枚のレイヤーにまとめ、塗りのレイヤーとして、骸骨の下の薔薇を塗っていきます。結構適当っぽいですが、それなりに薔薇らしく見えるのです。
手袋など、その他の小物も塗り終われば、キャラの部分は完了です。
塗りの最後は背景です。
まずは中央の部分を塗っていきます。向かって右上部から左下へ、紫色のグラデーションを作っていきます。[グラデーション]ツールを使えば、綺麗なグラデーションを描くことができますが、それだと逆に整然としすぎて、のっぺりとしてしまうので、ここは手描きでグラデーションを作ることにします。こうすると、自然な色の変化が作れます。
まずはおおよそのグラデーションを描きます。その後、不透明度を低くした[水彩]ツールで、ムラを消していくように塗ります。
ここは夜空のイメージです。
グラデーションを整え終えたら、その塗りの上に新規レイヤーを作成し、明るい色で星を点々と描いていきます。
細かな星は、[パターンブラシ]ツールの[スプレー]を使って描きます。
星を描き終えたら、仕上げに夜空を赤色の[ハイライト]で薄く色を重ね、赤っぽく仕上げます。
これで、だいぶ星空っぽさを表現できたでしょうか。
手元の薔薇や骸骨の周りにも光を散らし、塗りがひと通り完成しました。
ここで絵全体を見渡して、背景がややさみしいので、白さが目立つキャラの後ろ側(キャンバス左部)に飾りを描き加えることにします。
飾りには、ふさふさの毛玉を描くことにします。
今までのブラシでは、[ツールオプション]パレットの[絵の具の量]・[絵の具濃度]ともに100%として描いてきましたが、ここでは25%程度に下げた筆を使います。
また、筆の種類も[丸筆(硬質)]ぐらいがちょうどいいでしょう。最初に適当な色を置き、それを引き伸ばすように毛羽立てていきます。
紫色の毛玉を描いたあと、緑色の毛玉を加えます。最後に背景の星を描いたのと同じ要領で光を散らします。
これで作画はすべて完成です!
コメント