5.食卓の質感を描き込む
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食卓上の食べ物に、ここまで作った下地を生かし、クリッピングレイヤーを作成して質感を描き込んでいきます。
クリッピングレイヤーは、直下にあるレイヤーに対してクリッピングするレイヤーです。クリッピング元のレイヤーに描画してある部分以外は非表示になります。
クリッピングレイヤーは [透明部分をロック]と違いレイヤーがわかれているので、いったん描いたあとでも修正、編集が簡単にできます。
クリッピングの親となったレイヤーで描画されてない部分にマスクがかかるので、下地をそのままに描き進めることができ、非常に便利です。
描いていくのは以下のような部分です。
1.肉
(1)赤身だけでしたので、脂身をつけます。
(2)側面にでこでことした凹凸をつけます。
2.パン
焼き色、気泡や切れ込み等を描き込み、さらに陰影を描き込みます。
立体感を出すポイント
(1)丸パンの奥に回りこむ部分を彩度を下げ、明度を上げ気味にし、少し色相を変えます。
下地塗りだけの時と見比べてみるとわかりやすいのですが、元の色の部分より遠くに見え、丸く回り込んでいて、奥のパンとの間に空間があるように見えるようになります。
(2)奥のパンの耳の影となっている部分は、矢印の方向に向けて明度を多少あげていきます(光の当たっている部分ほど明るくはならないように)。彩度を下げたり、色相をずらしてみても良いです。
これで、手前のパンとの間に空間があるように見えてきます。
影は奥部分へ行く程暗くしてしまいたくなるのですが、実は回り込んでくる光や反射光があるので、一番奥側のラインを少し明るく抜くと立体感と空間が出ます。
この2点はパンだけでなく、他のものを描く時も気をつかっていきます。
3.ジュレ
エッジを細かくし、色を鮮やかに透き通って見えるようにしていきます。
4.サラダ
各食材を細かく、ツヤ感等を描き込みます。
5.コップ
コップは、この工程で沢山描き込みますのでレイヤーを下から順に並べて解説してみます。
1枚目
透明なガラスと透通った液体なので、向こう側の色と移りこんだ色を置き、口の部分も多少描いておきます。
下部分は肉で隠れてしまうので手を抜いています。
ここから先のレイヤーはこのレイヤーにクリッピングしていきます。
2枚目
水面から出ている奥側のガラス面を描きます。液体がないので透明度があがります。
3枚目
奥になるフルーツや氷を描きます。軽く形を作るくらいでシルエットめに。
4枚目
中間の氷を描きます。奥より明るく。
5枚目
中間のフルーツを描きます。奥よりはっきりわかるように。
6枚目
手前のフルーツを描きます。鮮やかめに。
イチゴっぽいものは、曲面ではなく細かい平面で形になっているようにすると、それっぽく見えます。
7枚目
気泡を描きます。
円形をランダムに散らします。円形のブラシで点を打っていくと描きやすいです。
大きい気泡は円を描いた後から小さい円で中を抜いてしまいます。
8枚目
水面に乗るミントの下の部分、水面より下となる部分を描きます。ほぼシルエットです。
9枚目
コップの口を描きます。下地で作った上面のレイヤーを活用して形をきれいに取ります。
10枚目
コップのハイライトを描きます。
11枚目
ミントの上の部分を描きます。中心を決めて放射状に葉を描きます。
一見複雑なのですが、手前をしっかり描いてあれば、奥はほぼシルエットを取ってあるだけでそれらしく見えます。
このような作業で、テーブル上の描き込みを進めていきますが、この段階から気をつける点があります。
手前にある肉やジュレは鮮やかに、パンからサラダ、コップと奥に入っていくにつれて色と描き込みをおさえていきます。
空気遠近法という意味でもあるのですが、今回は奥をあまりリアルに強く描いてしまうと、ディフォルメ調のキャラクターと合わず、画面上下に違和感がでてしまいます。
うまくキャラクターと世界観がマッチするように、手前~奥へ描き方を変えていきます。
ある程度、質感が描き込めました。
ここで一旦テーブル上は作業を止めて、次はキャラクター~遠景を描いていきます。
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