2.ラフの制作
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線画の作成
テーマは「どこか非現実的な風景」「すこしせつない人物」ということで、どちらかといえば風景メインに据えた場合と、キャラクターをメインに据えた場合と、二方向から考えてみましたが、今回は風景メインの絵を紹介させて頂きます。
まずキャンバスを作成します。
[ファイル]メニュー→[新規作成]を選択し、[新規作成]ダイアログを表示します。
[既定のサイズ]はA4 (350dpi)、[横]にチェックを入れます。
カスタマイズした[鉛筆]ツールで描いていきます。今回は線から入りましたが、いきなり塗りでざっと描いてしまう場合もあります。どちらともなく、ある程度コンセプトや雰囲気が確認できるまで、線画塗り共に描き込みます。
まず描きたいものをなんとなく絞ります。大平原のようなものと春先一歩手前ぐらいの季節感、背景は暖かみのあるものに、というようなことを考えていました。
実際はもっと薄く描いていますが、見えづらいので少し濃くしました。真ん中に川があって、手前に壊れた橋の瓦礫があります。
なんとなく手前側の距離感がつかめなかったので、[パース定規]を使ってみます。
パース用に新規ラスターレイヤー[32bit]を作成します。
[レイヤー]パレットにある[新規ラスターレイヤー作成]ボタンをクリック。
ラスターレイヤー[カラー(32bit)]が作成されます。
続いて、[定規]→[パース定規]→[1点透視を作成]を選択します。パース定規を使うと、パースに沿った直線をフリーハンドで引くことができます。
[定規]メニュー→[スナップ]と[定規]メニュー→[スナップ先を設定]で[パース]にチェックが入っているか確認します。逆にスナップを無効にしたい場合はチェックを外します。
目線を決め、ざっくりと舞台のガイドラインを作成します。
再び、新規レイヤーを作成し、その上から瓦礫を描きこんでいきます。
お話しまで考えるわけではありませんが、世界観や登場人物の関係性を、一枚である程度伝えられるよう意識して絵を作っていきます。川や瓦礫、やや起伏のある平原、たそがれ時、夢の様な雰囲気、出て来た各要素の色や明暗のバランスをなんとなく想像しながら、印象的な絵になるかどうかを探っていきます。
人物を置いてみます。
二人の少女を背中合わせに座らせてみました。背後にいるのはもう一人の自分? 心の葛藤みたい構図でしょうか。ただ、少女二人、もしくは一人?の心象風景を表すにしては、背景が広すぎる気がしたので、人を増やしてみることにしました。
崩れた橋の下で、男女数人が焚き火を囲んでいます。人物だけだとどこか物足りなかったので、動物も配置しました。穏やかな黄昏の平原を背景に、あまり接点のない人々が一場の暖をとっているイメージです。
人物は[鉛筆]ツールのをサイズを太くして、ざっとシルエットから描いてしまうことも多いです。
このぐらいの大きさだと表情では魅せづらいと思い、シルエットである程度雰囲気がわかるようなものを模索しています。人物の配置や男女比のバランスは、三竦みの緊張感を孕んだようなものに。
正面を向いている人物の表情もなんとなく確認しておきます。
人物たちはそれぞれ新規レイヤーを作成し、別レイヤーに分けています。
右側の女性は背中合わせの少女たちの流用、背後の人物も残しています。
彩色
さて、むらむらと色を塗ってみたくなってきたときがその時です。すかさず線画の下に新規レイヤーを作成しましょう。なんとなく光源を意識しつつ、油彩筆で薄くグラデーションを作るつもりで塗っていきます。
少し明暗を出していきます。
[ツール]パレット→ [マジックワンド]ツールを使います。
「雲・大地」と「空」をざっくりと分けます。
スペースの多い「雲・大地」ほうから色調補正しました。
色調補正は[フィルタ]メニュー→[トーンカーブ]を使用。
続いて[選択]メニュー→[選択範囲の反転]で、選択範囲を反転させます。
「空」の方も[トーンカーブ]で色調補正します。
[水彩]ツールの「油彩筆」でその場に置かれている色を[スポイト]ツールで拾いながら、ならしていきます。
前に塗った色の取得方法
・スポイトツール
描画系ツールを選択中、[Alt]キーを押している間のみ[スポイト]ツールに切り替わります。
・色履歴
[ヒストリー]パレットの[色]リブは、取得した描画色の履歴を表示します。
ここから色を再取得することができます。
新規レイヤーを作成して、人物周辺の地面と、瓦礫、焚き火もそれぞれレイヤー別に塗り分けていきます。
瓦礫は崩れた橋をイメージしていますが、そのあたりは具体的に描かなくてもいいかなぁぐらいに考えています。
さて、こんな具合です。まだまだ確信は持てません。もしかしたらいけるかも?くらいの気持ちです。しかしこの先はもう止まる事は許されません……退路は断たれました。(なにせ提出してしまっていますから……)あとはもう死力を尽くして完成までこぎつけるのみです。意を決して先にすすみましょう。
これにてラフの完成です!
それでは、ここまでのレイヤー構成を確認します。
背景のレイヤーはかなりざっくりと分けています。あまり事細かにレイヤーを分けると、色の混ぜ合わせをしづらいので、背景レイヤーのベースはほとんど最後までこのままです。
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