アクションを使いこなす
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アクションとは、IllustStudioでの一連の操作を記録して、それを後から再生することにより、同じ操作を自動で行うことができる機能です。
[アクション]パレットの機能と、アクションの基本的な使い方を紹介します。
[1]アクションと[アクション]パレット
1.アクションとは
アクションとは、IllustStudioでの一連の操作を記録して、それを後から再生することにより、同じ操作を自動で行うことができる機能です。アクションを利用することで、作画作業の効率をアップすることができます。
2.[アクション]パレット
アクションの記録・再生・変更・削除など操作はすべて、[アクション]パレットで行います。
[パレット]メニュー→[アクション]を選択すると、[アクション]パレットが表示されます。
(1)アクションセット
現在表示中のアクションセットです。初期状態では、[デフォルト]セットのみです。
用途に応じて、複数のアクションセットを作成して、それぞれにアクションを登録することができます。
(2)セットの切り替え
クリックすると表示されるプルダウンメニューから、任意のアクションセットに切り替えることができます。
(3)アクション
セットに登録されているアクションです。初期状態の[デフォルト]セットには、9種類のアクションが登録されています。
背景が水色になっているのが、現在選択中のアクションです。
(4)アクションの記録開始/記録停止
クリックすると、選択中のアクションに対して、記録を開始します。再度クリックすると、記録を停止します。
(5)アクションの再生
クリックすると、選択中のアクションを再生します。
(6)アクションの削除
クリックすると、選択中のアクション、または、コマンドを削除します。
(7)アクションの追加
クリックすると、現在のアクションセットに、新しいアクションを追加します。
(8)コマンドとその詳細設定
アクション名の左にある横向きの▼マークをクリックすると、そのアクションに記録されているコマンドが表示されます。コマンドの▼マークをクリックすると、その詳細設定が表示されます。
(9)実行切り替えチェック
アクションの再生時には、ここにチェックが入っているコマンドが、上から順に再生されます。クリックしてオフにすると、アクション内の特定のコマンドだけを再生しないようにできます。
※詳細は、次項[2]アクションの使い方で紹介します。
(10)設定切り替えチェック
クリックしてオンにすると、コマンドの再生時に、設定を行うためのダイアログが表示されます。ダイアログの設定後は、引き続きアクションが再生されます。
※詳細は、次項[2]アクションの使い方で紹介します。
[2]アクションの使い方(アクションの再生)
[デフォルト]セットのアクションで、アクションの使い方を覚えましょう。
1.アクションの再生
実行したいアクションを選択して、[アクションの再生]ボタンをクリックすると、アクションに記録されているコマンドが再生されます。
アクションをダブルクリックしても、同様に再生されます。
コマンドを実行する条件が揃っていない場合は、アクションを実行できない旨のダイアログが表示されます。
[いいえ]をクリックしてアクションを停止し、アクションの実行先ファイルの条件を整えるか、または、アクション内のコマンドを適切な内容に修正してから、再度、再生してください。
2.特定のコマンドだけを再生する
[実行切り替えチェック]で、再生するコマンドのオンオフを切り替えることができます。スキップしたいコマンドをオフにして、アクションを再生すると、オンになっているコマンドだけが実行されます。
スキップすると、次のコマンドの実行条件が揃わなくなって、再生が中断してしまう場合があります。コマンドのオンオフはよく考えて選択しましょう。
3.特定のコマンドの設定を手動で行う
[設定切り替えチェック]をオンにしておくと、そのコマンドの再生時に設定ダイアログが表示され、任意の値に再設定することができます。ダイアログの設定が終わると、続きのアクションが再生されます。
[3]新しいアクションを登録する(アクションの記録)
ここでは新しいアクションセットを作成して、そのセットに新しいアクションを記録する手順を紹介します。
1.新しいアクションセットを作成する
[アクション]パレットの左上にある[メニュー表示]をクリックすると表示されるメニューから、[セットの新規作成]を選択します。
[セットの新規作成]ダイアログで各項目を設定し、[OK]ボタンをクリックすると、新しいアクションセットが作成されます。
2.アクションを記録する
パレットには、まだ何も記録されていないアクションが表示されています。
任意の名前をつけて(名前は後から変更できます)、[アクションの記録開始]をクリックすると、アクションの記録が始まります。クリック後、IllustStudioで行った操作内容がそのまま、アクションに記録されていきます。
3.記録を終了する
[アクションの記録停止]をクリックすると、アクションの記録を終了します。
4.アクション名を変更する
[アクション]パレットの左上にある[メニュー表示]をクリックすると表示されるメニューから、[アクション名の変更]を選択すると、アクション名を変更することができます。
5.既存のアクションセットにアクションを追加する
[アクションの追加]をクリックすると、現在表示しているアクションセットに、新しいアクションを追加します。パレット左上の[メニュー表示]から、[アクションの追加]を選択しても同様です。
アクションを選択して[アクションの記録開始]をクリックすると、アクションを記録することができます。
[4][アクション]パレットのメニュー
ここからは、[アクション]パレットのメニューの機能と、アクションをより使いこなすために知っておきたいアクションの編集方法を紹介します。
[アクション]パレットの左上の[メニュー表示]をクリックすると表示されるメニューから操作できる各機能を紹介します。
①ボタンモード
[ボタンモード]のオンオフの切り替えをおこないます。チェックがついた状態にすると、アクション項目の表示方法が[ボタンモード]に切り替わります。[ボタンモード]では、各アクションの項目名をクリックするだけで、アクションを再生(実行)できます。
[ボタンモード]の状態では、アクションの編集や削除、個別のコマンドを選択して実行する機能が利用できません。これらの操作を行うときは、[ボタンモード]を解除してください。
②アクションの追加
パレットに表示中のアクションセットに、新しいアクションを追加します。
③アクションの削除/アクション名の変更/アクションの複製
パレットで選択中のアクションに対して、削除/項目名の変更/複製を行います。パレットでアクションを選択している状態の時に選択できます。
④コマンドの削除/コマンドの複製
パレットで選択中のコマンドに対して、削除/複製を行います。パレットでコマンドを選択している状態の時に選択できます。
⑤各登録コマンドの設定
パレットで選択中のコマンドの設定ダイアログを開き、再設定を行います。パレットでコマンドを選択している状態の時に選択できます。
※詳しい使い方は次項で紹介します。
⑥セットの新規作成
新しいアクションセットを作成します。
作成時にセットの名前とセット切り替えのショートカットを設定できます。
ショートカットを設定すると、[セットの切り替え]のプルダウン選択を使わずに、テンキーで目的のアクションセットを呼び出すことができます。
⑦セットの削除/セット名の変更/セットの複製
パレットに表示中のアクションに対して、削除/項目名の変更/複製を行います。
⑧アクションの記録開始/記録停止
パレットで選択中のアクションの記録開始/記録停止を行います。
⑨メニューを挿入
[メニューを挿入]ダイアログを開きます。メニューコマンドを選択して、まとめて選択中のアクションに挿入します。
※詳しい使い方は次項で紹介します。
⑩アクションの再生
パレットで選択中のアクションを再生します。
⑪ループ再生
パレットで選択中のアクションを連続して再生します。
⑫アクションショートカット
アクションショートカットに登録したアクションを再生します。登録したアクションは、アクションセットを切り替えることなく、呼び出すことができます。
⑬アクションショートカットへ登録
パレットで選択中のアクションをアクションショートカットに登録します。
アクションショートカットに登録したアクションは[ファイル]メニュー→[カスタマイズ]→[ショートカット設定]→[アクション]より、ショートカットキーを割り当てることができます。
⑭セットの保存
パレットに表示中のアクションセットの内容をアクションファイル(.iaf)として出力し、ハードディスクの任意の場所に保存します。
⑮セットの読み込み
アクションファイル(.iaf)をパレットに読み込みます。
⑯セットを素材パレットに登録
パレットに表示中のアクションセットの内容を素材パレットに登録します。[素材]パレットの[マテリアル]→[ユーザー]フォルダに登録されます。
⑰特殊コマンド
パレットで選択中のアクションに、レイヤーコマンドを追加します。
※詳しくは次項で紹介します。
⑱アクション設定
[アクション設定]ダイアログでアクションの再生についての設定を行います。
⑲リブパレット表示設定
パレットの表示項目をカスタマイズします。
※詳しくは「IllustStudioオンラインマニュアル」の『パレットのリブ操作』→『リブパレット表示設定』をご覧ください。
[5]アクションの編集
アクションの作成方法は、操作を記録する方法だけではありません。
既存のアクションから、一部のコマンドを変更・修正して、新しい設定のアクションを作ることが可能です。
ここでは、さまざまなアクションの編集方法を紹介します。
1.既存のアクションを編集して、新しいアクションを作成する
操作手順がほぼ同じで、一部の設定だけ異なるアクションを作成する場合は、この方法が便利です。さらに、コマンドの複製や追加、再生順の入れ替えなどを組み合わせることで、さまざまなバリエーションのアクションを作成することができます。
(1)ベースとなるアクションを複製して、そのファイルに変更を加えます。まず、複製したいアクションを選択して右クリックメニュー→[アクションの複製]で、コピーを作ります。[メニュー表示]のメニューから[アクションの複製]を選択しても、同様です。
(2)コピーしたアクションから、設定を変更するコマンドを選択して右クリック→[各登録コマンドの設定]でダイアログを開き、設定を変更します。[メニュー表示]のメニューから[各登録コマンドの設定]を選択しても、同様です。
(3)コマンドを選択した状態で右クリック→[コマンドの削除]/[コマンドの複製]で、コマンドの削除や複製ができます。[メニュー表示]のメニューから[コマンドの削除]/[コマンドの複製]を選択しても、同様です。
(4)コマンドの再生順は、ドラッグ&ドロップで入れ替えることができます。
(5)アクション内に新しいコマンドを追加する場合は、直前のコマンドを選択した状態で、[アクションの記録開始]をクリックして操作→[アクションの記録停止]を行います。選択していたコマンドの後に、記録開始~停止までの操作コマンドが追加されます。
2.[メニューを挿入]でコマンドを追加する
通常、アクションにコマンドを記録する場合は、実際に作業を行う必要がありますが、[メニューを挿入]を使用すると、実際の作業を行わずにメニューコマンドをアクションに挿入することができます。
[レイヤーのラスタライズ]、[表示レイヤーのコピーを結合]、各種フィルタの追加など、実際に作業すると時間がかかるコマンドを追加するときに利用すると便利です。
(1)コマンドを追加したいアクションを選択した状態で、右クリックメニュー→ [メニューを挿入]から、[メニューを挿入]ダイアログを開きます。[メニュー表示]のメニューから[メニューを挿入]を選択しても、同様です。
(2)メニューから選択したコマンドがダイアログに追加されます。追加するメニューが揃ったら、[OK]ボタンをクリックします。
(3)選択していたアクションに、コマンドが追加されます。
(4)[メニューを挿入]でコマンドを追加するときには、詳細な設定が記録できません。コマンド追加後、必要に応じて、[各登録コマンドの設定]で再設定するか、[設定切り替えチェック]をオンにしてアクションの再生時に設定するなどして、調整を行ってください。
3.[特殊コマンド]でレイヤーの入れ替えコマンドを追加する
通常、レイヤーパレットでレイヤーの順番を入れ替える操作はアクションに記録することができませんが、[特殊コマンド]を使用すると、レイヤーの順番を入れ替えるコマンドを追加することができます。
(1)レイヤーの入れ替えを行う直前のコマンドを選択した状態で、右クリックメニュー→[特殊コマンド]から、挿入したいコマンドを選択します。[メニュー表示]のメニューから[特殊コマンド]を選択しても、同様です。
(2)アクションに、選択したコマンドが追加されます。
[6]アクション登録のポイント
1.登録したい手順を整理する
記録を始めると、そこからすべての手順が記録されますので、事前に登録したい手順を整理しておき、間違いのないように登録するための準備をしておきます。
メモなどにあらかじめ確認をしておいた作業手順を書きとめておき、それを参考にしながら登録することをおすすめします。
2.手順の記録漏れに注意する
(1)アクションに登録したい操作は必ず記録開始後に実行します。たとえば、決まったレイヤーを選択する、というようなアクションを記録す る場合、記録はレイヤーを選択するところから開始しなければなりません。記録開始前からレイヤーを選択した状態だと、レイヤーを選択する手順が抜け落ちて しまいますので、想定したアクションが作成できません。
(2)アクションには登録できない操作があります。実行しようとしているコマンドが登録可能なのかを確認してからアクションの記録作業をおこないます。
例:
[素材]パレットから素材を貼り付け
[レイヤー]パレット内ドラッグによるレイヤーの並べ替え
[7]アクションの実践例
よく使うフィルタの設定やレイヤーの設定などは、設定(数値)をアクションに登録しておくと便利です。ここでは、アクションの実践例をいくつか紹介します。
1.文庫サイズキャンバス
A5サイズの用紙に文庫本サイズのガイドラインのレイヤーを組み合わせたキャンバスを新規で作成するアクションです。キャンバスの下準備作業がアクションになっているので、すぐにイラストを描き始めることができます。
2.クリッピングフォルダ作成
クリッピングフォルダを作成して、フォルダの中に、影1、影2、ハイライトの3つのレイヤーを作成するアクションです。下塗りが済んだ各レイヤーにこのアクションを適用すれば、その都度、影やハイライトのレイヤーの設定を行う手間が省けます。
3.発光テキスト
テキストレイヤーをラスタライズして、発光する効果を追加するアクションです。このように、頻繁に利用する効果などもアクションに登録しておくと便利です。
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