データを軽くして快適に作業しよう
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イラストを描く時にメインメモリなどが足りなくなると、PCの動きが遅くなり、快適な作業ができません。利用しているPC環境に応じてデータを軽くし、より快適にIllustStudioを利用するための方法を紹介していきましょう。
[1]解像度について
IllustStudioで扱うデータについて、必要な知識である「解像度」についてまず理解しておきましょう。
デジタルで描かれたイラストは最終的に「画像ファイル」や「印刷物」として出力されます。
「画像ファイル」はインターネット上のWebサイトなどでイラストを公開したり、eメールやメモリーデバイス(USBメモリーやメモリーカード)で誰かとイラストをやりとりする場合に用います。
「印刷物」は家庭用のプリンターで印刷したり、業務/同人誌印刷所で紙にプリントアウトされたものです。
「PC(Webなど)上で見る」のか「印刷する」のか、という最終目的によって「解像度」を決める必要性があります。このことについて理解をしておきましょう。
・解像度とは
デジタルでは、イラストは「点の集まり」として扱われます。IllustStudioでキャンバス表示を拡大していくと、一つ一つの「点」が四角く表示されているのが判るでしょう。
解像度とはこの「点」ひとつの細かさを示す値です。72dpiや350dpiというように単位を「dpi(=dot per inch)」で表し、1インチの長さに何個の点があるかが判ります。数値が大きいほど細かい表現が可能です。
・印刷目的であれば300dpiか350dpiが標準的な解像度
イラストを印刷する必要がある場合は、300dpiか350dpiが標準的に利用されています。必要以上に解像度を高く設定しても、ファイル容量が膨れあがってしまうので、適宜解像度を設定するようにしましょう。
同人誌印刷などでは、基本的に「実寸」でデータを作成します。A4サイズと指定された場合は、ファイルを新規作成する際「大きさをA4」、「解像度を350dpi」といった形で指定します。
家庭用インクジェットプリンタでは仕様で解像度が4800/9600dpiや720/1440dpiとされているものがあります。これらは業務用の印刷などとやり方が異なる印刷形式ですので、一般的な300dpiや350dpiで画像を用意しておきましょう。
・Web表示目的であれば解像度は72dpi。解像度よりもピクセル数を
Web表示目的のイラストを作成する際は、解像度を72dpiに設定します。PC上でイラストを見る場合は実際に表示されるイラストの大きさは、見 る側のPCの画面の大きさによってきます。Web上などで表示するためのイラストは、縦横何ピクセルあるか、が重要になってきます。
一般的なPCは縦1024×横768ドットや縦1280×横960ドットなど、表示できるピクセル数に限りがあります。これ以上のピクセル数のイラストを作成しても、PC画面から表示がはみ出してしまう恐れもあります。
ファイルを新規作成する場合は[ファイル]メニューから[新規作成]を選択し、[新規作成]ダイアログで必要な設定を行います。
・大きく作成して後で縮小する
元のデータを大きなサイズで作成して、Web用に出力する際にサイズを小さくすることもでます。[編集]メニューから[キャンバス解像度の変更]を選び、サイズを変更します。
印刷時は原寸で作成することを考えて、元のサイズの解像度は350dpi程度までで作成すれば充分でしょう。
[2]レイヤーの色深度について
ラスターレイヤーなどでは、作成するレイヤーの種類で容量が変化します。
レイヤーの[表現色]には以下のものが用意されています。
・カラー(32bit)
・グレー(8bit)
・白黒(2bit)
・黒(1bit)
「(32bit)」などの数値は、ピクセル(点)ひとつに付き必要とする容量の大きさを表します。数値が小さいほど表現できる色数は減りますが、容量が小さくなり、パソコンのメモリーを消費しません。
例えば、下描きの作業を単色で行うのであれば、カラー(32bit)レイヤーよりもグレー(8bit)レイヤーを利用した方が容量を削減できます。
[表現色]でグレー(8bit)/白黒(2bit)/黒(1bit)レイヤーを選択した場合は、単色のカラー表示を設定することが可能です。
下描きなどに利用する場合は、カラー表示をしたグレー(8bit)/白黒(2bit)/黒(1bit)レイヤーでも、工夫次第では下描きをカラーレイヤーで利用するのと遜色なく扱うことができます。
グレー(8bit)/白黒(2bit)/黒(1bit)レイヤーのカラー表示の切り替えは[レイヤープロパティ]パレットの[レイヤーカラーを使用する]を利用することも可能です。
・下絵レイヤーについて
下絵レイヤーに読み込んだ画像は、拡大縮小しても元データが壊れないように記録されています。[ファイル]メニュー→[読み込み]→[画像]で必要な写真などのデータを読み込みます。
読み込み時に[処理選択]ダイアログが表示されるので、[読み込み方式]で[下絵]を選択すると、下絵レイヤーに画像を読み込むことができます。
下絵レイヤーに読み込まれた画像は、拡大や縮小をしても元画像のデータはそのまま保存されるようになっています。その分容量をたくさん消費するので、メモリーを節約したい場合は下絵レイヤーの利用が完了した後、レイヤーを削除しておいた方が良いでしょう。
[3]圧縮フォルダを使う
レイヤーを何枚にも分けておくと、効率的に作業を進めることが可能です。しかし、レイヤーが増えれば増えるほどメモリーを消費してしまいます。メモリー節約のためには作業が終了したレイヤーは結合して、1枚にまとめていくといいでしょう。
しかし、レイヤーを結合してしまうと、以降作業を続けたい場合に支障が出る恐れもあります。そこでレイヤーフォルダの[圧縮フォルダ]を使用することで、メインメモリの消費を最小限に抑えることができます。
[圧縮フォルダ]は、レイヤーフォルダを作成後に、[レイヤープロパティ]パレットで設定を行います。
[圧縮フォルダ]に設定したいレイヤーフォルダを選択した状態で、[レイヤープロパティ]パレットの[圧縮フォルダ]オプションをonにします。
圧縮フォルダに設定されたフォルダを閉じると、メインメモリの負担が軽減されます。
圧縮フォルダは[レイヤープロパティ]パレットの[フォルダ]タブ、[解像度と表現色を指定]をonにすると、解像度や表現色を設定できます。
イラストの解像度が高い場合(200dpi以上)は、解像度を1/2以下に設定することで、メインメモリの負担を軽減できます。
また、[プレビューの表現色]で[グレー(16bit)]や[黒白(2bit)]に設定することでも、メインメモリの負担を軽減できます。
どちらも、一時的に画像がグレーになったり、解像度が荒くなりますが、実際に記録されているレイヤーのデータが変更されることはありません。あくまでも作業時にPCの負担を軽減できるものです。
[4]IllustStudioのヒントを表示する
ペンタブレットでイラストを描画中、ブラシの追従が遅くなってしまったりする場合、IllustStudioから動作の軽減に関するヒントを参照することができます。
画面右下の描画負荷グラフで、赤くインジケーターが表示されるほどブラシの追従に遅延が生じていることを示します。
インフォメーションアイコンをクリックすると、IllustStudioの設定がPCに負担をかけている場合に、どのような手法で軽減できるかを表示します。
メインメモリの軽減だけでなく、CPUそのものへの負担を軽減するための手法なども紹介されます。
[描画負荷改善項目]ダイアログに、PCの負担軽減のためのヒントが表示れるので、内容を確認しましょう。
PCのCPUパワーやメインメモリの容量などを考え、より快適にIllustStudioでイラストを描画できるように工夫しておきましょう。
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