IllustStudioのレイヤーの種類
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[1]それぞれの特徴
IllustStudioには描画レイヤーに「ベクターレイヤー」と「ラスターレイヤー」の2種類があります。
これらのレイヤーの役割の違いを理解するとによって、IllustStudioでの制作により応用の幅をもたせることができます。
■ベクターレイヤー
[ベクターレイヤー]は、線をどのように描画したかを記録する、線画に特化したレイヤーです。
利用できるツールは線を描くための[ペン]ツールやそのほか図形を描画するツールのみです。
ベクターレイヤーでは[塗りつぶし]ツールの使用はできません。また[ペン]ツール意外の描画ツールは使用できないので濃淡のある線を描くことはできません。
[ベクターレイヤー]では描画された線を「どこから」「どこへ」「どのような軌跡で」「どれくらいの筆圧で」といった数値データとして記録します。この特性を活かし、描画した線画をあとから変更できるというメリットがあります。
■ラスターレイヤー
[ラスターレイヤー]は、絵画を細かな点の集まりで記録するレイヤーです。
[水彩]ツール[鉛筆]ツールなどすべての描画ツールを利用できます。
「ラスターレイヤー」は、1ドットずつのピクセル(点)を利用して絵を描くレイヤーです。
複雑な筆遣いやグラデーションなどの描画ニュアンスを表現できるので、表現力が豊かなのが特徴です。線画だけでなく[塗りつぶし][水彩][鉛筆]ツールなどが利用できます。
[2]ベクターレイヤーのメリット
[ベクターレイヤー]は描いた線画をあとから「編集」できるというメリットがあります。
■[線つまみ]ツール
[線つまみ]ツールを利用すると、すでに描画されたカーブの変更や移動、複製が行えます。
■[線幅修正]ツール
[線幅修正]ツールを利用すると、線の太さを変更することができます。
■[線編集]ツール
[線編集]ツールでは、すでに描画されている線を滑らか補正したり、わずかな隙間ができた線の間をつないだり、斑点状の「ゴミ」を取り除くことなどが可能です。
※[線幅修正]ツールの一部機能は、[ラスターレイヤー]で使用することができますが、[ベクターレイヤー]上でのようなスムーズな線の修正は難しくなります。
■[消しゴム]ツール(交点までを消去)
下図のように、線と線がはみ出して交わっている様な箇所がある場合、線同士が交わっている箇所までを消去できる[消しゴム]ツールの機能があります。
[消しゴム]ツール使用時に[ツールセット]パレットから「ベクター用(交点消去)」を選択すればこの機能が利用できます。他にも、線を1本すべて消去できるオプションなどもあります。
■定規に変換
[ベクターレイヤー]で描画後、[レイヤー]メニューから[レイヤーの変換]を選択し、変換後のレイヤーの種類を[定規レイヤー]に指定すると、描画した線画の軌跡をそのまま定規に変換できます。
■変形
ラスターレイヤーでの描画は画像の変形で、画像にジャギーが発生したり、ぼやけたりすることがあります。ベクターレイヤーは画像の変形時に、画像の荒れがでにくくなるメリットがあります。
[3]ラスターレイヤーのメリット
■ペイント系ツールの強力な描画力
ラスターレイヤーではIllustStudioで鉛筆/水彩/パターンブラシツールなどの描画系ツールを使用した絵画的な描画が可能です。
下図のような、グラデーションツールやコピースタンプツールの使用が可能です。
ぼかしブラシツールなどもラスターレイヤーのみで利用できます。
■フィルターの活用
IllustStudioに搭載されたフィルターの多くのものが[ラスターレイヤー]でのみ適用が可能です。形や色の変更を伴うフィルターは線画のみをあつかう[ベクターレイヤー]では適用できません。
[4]ベクターとラスターを組み合わせて使用する
ここまでで説明してきたように、[ベクターレイヤー]と[ラスターレイヤー]ではそれぞれにメリットデメリットがあるため、それぞれの長所を最大限に生かしながら作業を進めると効率的です。
(1)まずは下描きです。下描きはラスターレイヤーに[鉛筆]ツールで行います。[消しゴム]ツールやカラーを透明にした[鉛筆]ツールで線を完全に消さずに線を描き足すなどの作業はラスターレイヤーの方が得意だからです。
(2)ペン入れは[ベクターレイヤー]でおこないます。
[ベクターレイヤー]に描いた線画は、構図のバランスを考えて後から拡大や回転変形などを行っても画像が荒れにくいので、調整を行うことも可能です。
再びラスターレイヤーを作成して[水彩]ツールなどで彩色を行っていきます。
彩色が終わったら作業は終了です。このように線画を[ベクターレイヤー]、そのほかの作業を[ラスターレイヤー]といった具合に使い分けを行えば、ペン入れ画像を後から調整することができます。
また、素材として利用できるような背景や小道具などにあたるものも、[ベクターレイヤー]で線画を描いておけば、後に利用する際に「移動と変形」で 変更してもジャギーを出さずに編集できます。「素材」パレットを使えば、素材としてベクターレイヤーに描いた絵を活用しやすくなります。
[ベクターレイヤー]と[ラスターレイヤー]のメリットをよく理解して、これらのレイヤーにタッグを組ませればよりイラストワークがより進めやすくなるでしょう。
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