RETAS STUDIO 使い方講座 > 現場からのアニメ講座~… > 第2回 トレース修正のテ…

第2回 トレース修正のテクニック

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 28512回 総合評価 : 3件

(1)講座概要

みなさん、こんにちは。
[RETAS STUDIO]を使ってのアナログからデジタルへの変換はうまくいきましたか?一度ではなかなか思い通りに行かないとは思いますが、その経験が実績へと繋がります。
それでは講座の第2回目として、ここからは[TraceMan]から[PaintMan]へ場所を移し、ペイント作業をスムーズに進められる前準備としてトレース修正の作業を見ていきましょう。

ここからは色も関わってくるので[TraceMan]から[PaintMan]へバトンタッチです。

 

(2)やはり最初はカットとデータの確認

カットフォルダは作業し易い形に構成されている場合が多いので、基本的な部分以外は、作品ごとに構成がまちまちだったりします。スキャン、トレース、ペイントを一括作業する場合は問題ありませんが、別作業の場合は作品ごとの作業注意事項を良く確かめておく必要があります。

ここでも最初にレイアウトの確認です。自分がこれからどの様な内容のカットを作業するのか把握します。

次に各セルが正しく揃っているか、クミ線、合成親、カメラワーク等、必要な素材が全てあるか確認してみましょう。

事前にカットの内容を確認する事は大切です。デジタルになっても最終的には現物頼りなのです。

アナログ時代ではセルのタップ位置はどの様な状況下でも不変でしたが、デジタルの場合はタップ位置が見えない素材で作業することになるので、たとえ一枚でもスキャン漏れがあるととても面倒な事になります。タップ位置を機械に固定して動画を転写するデジタルではスキャナによってタップ位置が異なるので、スキャン漏れがあると同じ条件のスキャナでなければタップ位置は合いません。先記の様に一括作業以外では作業経歴が分からないとタップ位置が取れず、正確な作業が出来なくなってしまいます。プロの現場でも素材の確認は現物とデータの両方を必ず行っています。どちらかに不備があると後の作業に支障が出ます。素材に不備がある場合は前のセクションに戻して追加、補正など作業をやり直してもらいましょう。

カット袋に書かれているトレース作業枚数と合っているか、データの方も確認します。

 

(3)トレース修正とは?

さて、必要な素材が全て揃っているなら、次はトレース修正です。

以前にも書きましたが、素材がきれいならここでの作業は大幅軽減されます。が、そうはうまく行かないのが世の中です。カット袋を開けて現物素材の確認をした時、「これはちょっと・・・」と思う様だと、データの状態もそれなりの場合が多いです。正直、めまいがしそうなカットが来る事もあります。

ですが、トレース修正はトレーサーの本領を発揮出来るセクションで、本来ここが腕の見せ所なのです。
もちろん原画、動画ありきなのですが、視聴者が実際に見る画面はスキャン、トレース、ペイントを経て作られる素材です。その初期段階の作業ですから、ここで画面の良し悪しが決まるといっても過言ではありません。アナログ時代、私達の現場でも「どんな物でも何とかしてみせる」くらいの心意気でペンを走らせていました。

デジタルになってからは少し意味合いが変わって、ペイント作業を速やかに進める為の下準備になりがちですが、アナログからデジタルに変換された絵を更に作り込む大切な作業なのです。

ちょっと余談でしたね。「RETAS STUDIO」でデジタルになってからは、色々なツールで更に多様な修正が出来る様になっていますので、それらを交えて作業を進めてみましょう。

 

(4)まずはゴミ取り

前回の作業の話になりますが、うまく読み込みができない線を出す為に「TraceMan」で[2値トレース設定]の[標準トレース線]で黒のレベルを上げたり[明るさ]を調節すれば、ある程度線の状態は回復しますがその分、余計なゴミも多く拾う事になります。

[2値トレース設定]の[1ドットの点は除去]機能にチェックが入っていれば、線から飛び出した1ドットの点や、細かなゴミは除去出来ます。これ以上はスキャン時の作業効率も考えると手がまわらないので、ここからは[PaintMan]での作業になります。

まずはゴミ取りです。キャラクターに掛かっているゴミはペイント時必然に消しますが、キャラクター外のゴミは見過ごしがちです。たかだか2、3ドットと侮るなかれ、単純にペイント作業の時だけだと支障にならない事が多いですが、後にそのデータにエフェクトを掛けたりする時に伏兵となって影響する場合があります。

[レイヤーパレット]が[主線]プレーンになっている事を確認して、キャラクターの周りを[投げ縄選択]で囲み、選択範囲を反転、[Delete]キーで消しましょう。

[PaintMan]には[フィルタ]の[ゴミ取り]機能がありますが、キャラクターによっては向き不向きがあるので注意して使って下さい。

ゴミを取るために[フィルタ]から[ゴミ取り]機能をかけましたが、ゴミと一緒にそばかすも消えてしまいました。

 

(5)重要部分の主線修正

一口に修正といってもどこから手を付けて良いのか迷いますよね。全てのセルの線を丁寧に直す時間と余裕があれば理想的ですが、現実的には難しく、きりがありません。ここはひとつツボを押さえて作業してみましょう。

「お人形は目が命」と言われるように、アニメーションの場合もキャラクター目の出来でほぼ決まると言ってもいいでしょう。視聴者の視線が真っ先に行くのも目を中心とした表情なので、まずはこの部分からの修正になります。

眉やアイラインの先端、瞳や瞳孔の形はきれいに整える事が大切です。

中でも重要なのがアイラインと瞳の隙間です。キャラクターのデザインによっては、ここが潰れていると表情が意図したものと違った見え方をする事があります。[PaintMan]には便利な機能が沢山有りますが、ここはひとつ[鉛筆]ツールで動画を良く見て丁寧に修正してあげましょう。プロでも目の周りは特に気を配っています。

ハイライトや目切線もとても重要な部分ですが、アナログ時代とは違いデジタルでは色を付けた後にも修正が出来るので、ペイントの段階で修正した方が分かり易く効率が上がる場合があります。後で説明する事にしましょう。

ゴミ取りが済んで重点部分の修正も終わったら、他の部分の作業に入ります。先に書いた手順も大切ですが、一目見て分かるダメージが有るならそちらを先に修正しても良いでしょう。

 

(6)他の部分の主線修正

意図的な部分を除いて、主線が繋がっていないのはペイント作業に支障が出るので、確実に修正する必要があります。

途切れてしまっている部分を[線つなぎ]ツールでなぞっていきます。この時、つなぎ線幅は繋ぐ線の調子で決めますが、他の数値は多少オーバー気味の方がつながり易いです。

繋いだだけでは線に統一感がないので[線幅補正]ツールで整え見栄え良くします。

きれいにつながりました。

別の方法も有ります。[曲線]ツールで切れている部分を一気に繋ぎます。この時[入り]と[抜き]の数値を決めて、切れている部分より長めの間隔で繋ぐとうまく繋がります。

短い途切れは[線つなぎ]ツール、長い途切れは[曲線]ツール、と使い分けてみて下さい。

特に服のしわ等、抜きの有る線は終端の方がどうしてもうまく2値化されません。この様な部分のも丁寧に修正する事で印象は良くなります。

ツールの使い方は個人によって千差万別なので、幾度も試してみて自分に合った方法を見つけ出すのが効率アップへの近道です。

 

(7)色トレス線の修正

色トレス線の修正も主線の修正と同等に重要です。こちらも途切れていたりするとペイント時に手間が掛かるので、きちんと修正しておきます。

主線と違って注意する事があります。2色の交差する色トレス線の部分です。作画時に2色が重ならない様に注意されているとは思いますが、現実にはなかなか難しいようです。

この部分は[2値トレース設定]でどんなに調節してもほぼ黒に出てしまいます。[レイヤーパレット]を切り替えて見ると良く分かります。

このような場合は慎重に見極めて、ゴミと間違えて消さないようにする事が大切です。特に色トレスだけで構成されているセルの時は、間違って消してしまうと絵があちこちで途切れる事になってしまいます。

ちょっとした部分なら後から修正すれば済みますが、普段から[彩色]プレーンに送るように心掛けておけばペイント時の負担が減ります。

[閉領域フィル]ツールで黒に出てしまっている部分を該当する色トレスに変換します。

[バッチパレット]の[分離]で[分離設定]から[彩色プレーンへ送る]にチェック、更に該当色をチェックして実行します。

これで重なり部分の色トレス線が修正できました。

[彩色]プレーンのゴミはペイント時の作業で消した方が効率が良いので、色トレス線の修正が終わったらペイント作業に移ります。

 

(8)効率アップの為に

枚数が多いカットだと更に作業効率を考えなければなりません。ここで大切なのが「シートを見る」と言うことです。よく見て下さい、頻繁に繰り返しがあるセルが有ります。

そう、目パチ、口パクですよね。目については前述でお分かりだと思いますが、口パクも映っている時間が長いので結構重要です。

では、その目パチ、口パクが乗っている所はどこかというと......?
原画番号のセルですね。つまり映っている時間が長い原画番号のセルに修正の重点を置くことが作業効率を高めます。

映っている時間の長さで言えば、A止めセル等はその最たる物です。

次に他の原画番号のセル、中割り番号のセルになります。行きっきりのセルはどう頑張っても2、3コマの運命ですから。

また、合成が有るなら合成親は他の部分より確実に長く映っているので重要です。

繰り返しがあるのは目パチ、口パクだけではありません。最初にレイアウトを確認して、BGがFollowでキャラクターが歩くカットであれば当然、シートでの区間は繰り返しになります。

複数のカットを持っているならば、セルが行きっきりのカットよりは繰り返しが多いカットに重点を置きましょう。

行きっきりカットよりは

繰り返しのあるカット

レイアウト、シートをよく見てこれらの要素を拾い上げ、手順を組上げていく事で作業効率を上げる事が大切です。

他にもしっかり見ておかないといけないものがあります。各キャラクターの仕様からもどの部分を優先するか決めることがあります。ただなんとなくキャラクター表や色指定BOOKを見ていませんか?作業の前に一通りこれらををチェックして、作業するキャラクターの形、色の印象など全体像を把握し、どの部分を優先するか整理しておくと効率アップに繋がります。私達も初めて作業するキャラクターの設定は穴の開くほど見て、頭の中に叩き込みます。

特別なキャラクターを除いて、大抵、主線色は黒系、濃い茶系等だと思います。この主線色に黒系、濃茶色系の髪色やコスチュームのキャラクターの場合、接する部分の主線はあまり目立たないので適度な修正で止めておいて他の部分に時間を回します。

コスチュームでもフリルや派手な柄がある場合は、それらの目立つ部分に重点を置いて修正します。

とにかく利用できる物は何でも利用して、作業手順を組上げておく事がとても大切です。丁寧に越したことはありませんが、ひとつのセクションに時間が掛かっていては、アニメーションは先に進みません。

次回は・・・
キャラクターに色を付けるといよいよそれらしくなってきた!ちょっとした気配りでレベルアップするペイントのテクニックを見ていきましょう。

コメント
コメントはありません