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第1回 これさえあれば我々にもアニメが作れるぜ!

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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(1)それは無謀な挑戦だった?

『アニメーションノート』という雑誌を知っていますか?「アニメーションのメイキング専門誌」ということで、アニメ雑誌でありながら、新作アニメのストーリー紹介やキャラクター紹介はまったく載っていません。ではなにが載っているかというと、毎号「このアニメはどんな風に作られているか」を現場のスタジオにおじゃまするなどしてレポートした記事が載っているのです。筆者もそのスタッフの一角に名を連ねて、色々な制作現場におじゃましては、色々な「アニメの作り方」を取材してきました。

そんなある時、編集スタッフのひとりが「我々もアニメを作ろう!」と言い出しました。プロのハイクオリティな現場を見ているうちに、どうやら「自分でもアニメが作れるんじゃないか」とよくある勘違いをした様子。

普通ならこういう無謀な発言は、世間では華麗にスルーされるものなんですが、無駄にノリのいい『アニメーションノート』編集部では、「それ面白い!やってみよう!」という展開になってしまいました。なんという無謀。取材はしていても、スタッフの大半は絵もちゃんと描いたことがないというのに......。

無謀であっても走り出してみると世の中には「拾う神」はいるもので、なんとセルシスさんから「そういう企画なら、うちのソフト、RETAS STUDIOを使ってみませんか」と提案を頂くことができたのです。「RETAS!」シリーズといえば、アニメーション制作では知らないひとはいない定番のツールソフト。
「これさえあれば我々にもアニメが作れるぜ!」
......まあそう簡単にはいかないでしょうが。

そんなわけで。この記事では『アニメーションノート』誌で13号(2009年3月発売予定)から連載される記事『新・アニメ作ろうぜ!(仮題)』と連動して、「絵は得意じゃないけど知識だけはある(つもり)」のスタッフたちが、アニメ作りに挑戦する過程をレポートしていきます。
雑誌記事では書ききれない、「RETAS STUDIO」の使い方なども詳しく書いていきますので、「アニメ作りには興味あるけど、RETAS STUDIOって難しくない?」なんて思っているあなたにはきっと役にたつ記事になりますよ。......ええ、多分。


『アニメーションノート』と「RETAS STUDIO」に付属のガイドブック

 

(2)レクチャーを受けてみた

「RETAS STUDIO」を使わせてもらえるということにはなったものの、実際「RETAS STUDIO」がどんなソフトなのか、使ったことがない筆者だったので、セルシスさんに場所をお借りして触りのところのレクチャーを受けに行ってきました。

実際のソフトには基本の作業の流れを詳しく説明したガイドブックも添付されていて、そちらもなかなかよくできているのですが、直接教えてもらうというのは本で読むのとはまた違った得るところがあるものです。

一番大きかったのは、レクチャーを担当してくれた講師の方が使っていたコンピュータを見ることができたことでしょう。
アニメーション制作というとかなりハイエンドなコンピュータが必要?と思いがちで、それは筆者のような機械に詳しいとはとても言えない者にとっては、ソフトのパッケージに書いてある「必要スペック」を見てもいまひとつ実感が湧かない......あるいはちんぷんかんぷんだったりするところなのです。

実際にどんなコンピュータで「RETAS STUDIO」を動かしているのか、それを知ることができたのがこのレクチャーの最大の収穫だったかもしれません。レクチャーで使用したのはDELL社製のノートパソコン。意外です。ノートパソコンで充分動くソフトなのですね、「RETAS STUDIO」は。
DELL社のコンピュータについてはあまり詳しくありませんが、講師の方の使っていたのはなんと私の個人所有のノートパソコンと同じメーカー、しかも同クラスのものでした。これが分かったのはかなり心強い。なにしろ、自分のノートで「RETAS STUDIO」が動きそうだと裏付けが取れたわけですから。

ちなみに私のノートパソコンはPanasonic社製ノートパソコン、「Let'snote T4」。このシリーズは「長時間の稼働」が売り物で、すごい演算処理能力は二の次くらいにおかれているらしいビジネス向けノートパソコンです。つまり本来は、アート系の作業にはあまり向いていないはずのコンピュータ。そんなノートパソコンでも「RETAS STUDIO」は動くというのですから、内心ちょっとびっくりしつつも安心した筆者なのでした。

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レクチャーを受けに行ったセルシスのオフィス

 

(3)私の使用環境

そんなわけで、私が「RETAS STUDIO」をインストールするのは「Let'snote T4」。
2006年のモデルですから、もう4年近く前の機種です。つまりそれ以降に買ったコンピュータなら「RETAS STUDIO」は大抵平気!......だと思われます。外付けのドライブでインストールして、タブレットもこれはもっともっと古いWACOM社製「FAVO」(あまり古すぎて詳しい型番がよくわかりません)。今から買うひとはこれよりずっと安い値段で、もっと高機能のタブレットが買えるんでしょうねえ。
ちなみにこのセットなら、ファミレスや喫茶店でもアニメが作れます。なにせこの「Let'snote T」シリーズは、稼働時間の長さがウリ。最新のT8ならカタログで11時間稼働!(※1)たっぷりアニメ作りに打ち込めそうです(※2)。

※ 1 実際の稼働時間はタブレットに電力供給していることもありますから場合によってはこの半分くらいかも。でも5時間ちょっとってかなりの作業時間ですよね?
※ 2 お店の人に怒られない範囲でよろしくお願いします。



写真は実際にファミレスで筆者がノートを広げているところを撮ったもの

 

(4)まずはとにかく描いてみる

レクチャーを受けに行った数日後、いよいよソフトが届きました。実際にインストールしてみます。
注意点は2点、
○マニュアルPDFも忘れずインストールしておこう
○最初の起動にはディスクがいる

自動で起動するインストーラでのインストールには、マニュアルPDFのインストールは含まれていないので、ソフトのインストールが終わった後で、あらためてインストールしておきましょう。
マニュアルは頻繁に参照するものですから、これを忘れると不便をかこつことになります。また、最初の起動時だけディスクが必要なので、インストールしたら「あとは明日にしよう」と寝てしまうのではなく、すぐに起動をしてみるといいですね。
あとで(筆者のようにドライブのないノートパソコンにインストールした場合は特に)起動しようと思ったときに「ディスクがありませんよ!」と怒られずにすみます。

さて、詳しいところはこれから先の回にゆずるとして、まずはレクチャーのときに教わった知識とガイドブックを片手に、一枚絵を描いてみました。
手描きの動画にも対応している「RETAS STUDIO」ですが、やはりここは絵を描くところから「RETAS STUDIO」を使ってみたいもの。
ほかの『アニメーションノート』スタッフが実際に動画を描くことになる前に、筆者自身が機能を確かめてみたかったというのも理由です。下の画像が描いてみた絵。

いやあ、タブレットで絵を描くというのは、紙と鉛筆で描くのとはだいぶ勝手が違います。

レイアウト(下描き)

動画

彩色後

 

(5)カット袋がすべての始まりであること

ちなみに「RETAS STUDIO」はあくまでアニメーションを作るソフトですから、1枚の絵を単独で描くのではなく、何枚かの絵(動画)をセットで扱うようになっています。つまりカット単位で絵(やそのほかのデータ)を扱うことになるわけですが、その基準になっているのが「カット袋」です。
あるカットを制作するのに必要なデータを、すべて同じカット袋に入れておくことで、作業内容を整理することができるという、プロのアニメーション制作の現場で培われたノウハウです。「RETASSTUDIO」もこれに従っていますので、まずは絵を描く前にカット袋を作るのが基本です。

「RETAS STUDIO」ではカットフォルダと言いますが、このカットフォルダを一覧するウィンドウを開くのに「F12」キーが割り当てられています。メニューからでも開くことはできますが、アニメ制作はすべてカット袋(フォルダ)を中心に回っていきますから、このショートカットは憶えておくと便利です。(と、レクチャーのときにも言われました)

howto_gaiden01_006.gif
カットフォルダの表示画面

 

(6)脚本完成

次回は作画ツール「Stylos」を使って絵を描いてみた、その詳しいところをレポートしてみる予定です。
一方、筆者が「RETAS STUDIO」と格闘している間にも、『アニメーションノート』スタッフは着々とアニメ作りの準備を進めています。

現在、「脚本が完成した!」との報告が入っています。......いったいどれだけ規模の大きな作品を作る気なのでしょう。やっぱり無謀だったんじゃあないでしょうか。
ぬぐい切れない不安を抱きつつ、次回に続きます。

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