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第7回 背景が動いた!

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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(1)最近黄金週間って言わなくなりましたね

4月末から5月あたまにかけてはゴールデンウィーク。
ここ数年、年を追うごとに休日の数が増えているような......。それはそうと、昔はこの連休、「黄金週間」とも表記したものですが、そっちの表記はあまり見かけなくなりました。なんでかしらん?

ひたすら働いてばかりよりも、仕事以外のことをする日として、まとまった休日を使うのはよいことです。RETAS STUDIOのおかげでアニメーション作りも手軽になりましたから、この休日を使って、アニメーション作りに挑戦、なんていうのもいいかもしれません(お、うまいつなぎだ)。

ちなみに筆者ら出版関係者には「ゴールデンウィーク進行」なるものがあって、この時期は火が出るほど忙しくなります。また今年は大変タイミングがよく、連休前に取材ラッシュ、そして連休中は原稿書きという素晴らしさ。皆さんは楽しい休日を過ごしてくださいね(にこっ)。

さて、休日のアニメ作りのガイドになれるように、こちらのアニメ作りもさらに進めていきましょう。

 

(2)背景はあるだけじゃつまらない

前回、かばんを投げようとするヒロインをついに動画ファイルに出力しました。
これでRETAS STUDIOを持っていない人にも、ちゃんと動いている画像を見せることができるようになったわけです。

とはいえ、このカットに関していえば、背景が新たについた以外は別にそれ以前の動画(に彩色したもの)となんら変わるところはありません。
せっかく「動画(Aセル)」と「背景(BG)」というふたつのレイヤーを重ねてひとつの動画ファイルにしたんですから、どうせならその特性を活かして、ひとつ上のアニメらしい映像に仕上げてみたいもの。
新たに動画を描き足すには、また[Stylos]まで戻って作業しなくてはなりません。ここは[CoreRETAS]で追加できる効果を試してみたいと思います。

というわけで背景を「動かして」みることにしました。
今回は、アニメでよくある「キャラクターは画面の真ん中にずっといるけれど、背景がびゅーっと動いていっている」というカットを作ってみます。こういう演出を「背景を引く」と言います。

かつて実際にカメラで撮影してアニメを作っていた頃には、セルの背後に置いてある大きな背景画をちょっとずつ引っぱっては1コマずつ撮影していったのでそのように呼ばれているわけです。画面指示としては「引き」と書かれます。

 

(3)引き用背景を作る

前回使用した背景は、ぴったり1画面分しかありませんから、背景を引いてしまうとなにもない画面が映ってしまいます。
なので背景を引いても大丈夫なように、縦に2画面分ある背景画像を作ります。作り方は大きさ以外は前回と同様なので、見た目もそう変わりませんね。

ガイドブックにある背景画像の登録の手順で、この大きな背景を登録します。筆者の場合、前回のデータを上書きしようとしたので、一度表示が変になりましたが、単に手順を繰り返したら問題なく表示されました。後でわかったのですが、[セルバンク]の[更新]ボタンを押せば良かったみたいです。

 

(4)ちょっと次元が違う感じ......

さあここからが問題です。
背景を登録したのはいいですが、どうすれば背景を引けるのでしょう。

結論からいうと、あっちをいじり、こっちをいじりしているうち、どうやら最終的にはできたのですが、いまだに手順の全体像がつかめていません。

その原因というか、これは[CoreRETAS]の特徴だと思うのですが、ほかのRETAS STUDIOのソフトは、機能同士の連結がせいぜい2次元といったところなのですが、[CoreRETAS]だけはその連結がいっそう多層的で3次元かそれ以上というところが、筆者のような初心者を悩ませるのではないでしょうか。

特に、撮影用タイムシートの、通常[セル番号]表記になっているボタンなどは、メニューによって切り替えることができ、切り替えることでシートの表示情報をまったく異なるものに切り替えることができます。これ、表示の切り替えができる事をわかっていないとなかなか戸惑うところです。というか、筆者は迷いました......。


画像番号の表示状態


表示切り替えのプルダウンメニュー


動く量(長さ)を表示した状態

でも分かってくれば、このタイムシート上で画像の動きをすべて確認することができるようになっているわけで、あとは慣れの問題でしょうね。
できたら何度も根気よく教えてくれる先生も欲しいところですが。

 

(5)さあ引いてみよう

まずは用語。
[CoreRETAS]上では、動画ファイルのコマを「フレーム」といいます。
それを憶えておきつつ背景を「引いて」みます。

実際に背景画が紙で存在していれば、手で引っぱってみてもいいですが、さすがはコンピュータです。[CoreRETAS]上では、最初のフレームでの背景の表示位置と、最後のフレームでの表示位置を指定して「中割りしろ!」と命令すると、それだけで自動的に背景を引っぱってくれるのです。便利。

徐々に加速しながら引っぱるなど、自分の手でやっていたら面倒な計算が必要そうな引き方もソフト上なら命令一発というわけです。

その動きの起点(あるいは終点)となるフレームを、「キーフレーム」と言いますが、まずそれを設定しなければなりません。

まずは、先にも説明したとおり、タイムシートの表示を[セル番号]からセルの位置を表す表示に切り替えましょう。今回は縦移動しかしないので[T位置Y]という表示にします。

それからタイムシート上で動かしたいフレーム分だけドラッグで選択して、色が反転している状態で、その上から右クリック。すると、どういう種類のキーフレームを指定するか決めるためのメニューが現れます。

ここは筆者もよくわかっていないので、[非連続キーフレーム]というのを選択してみました。それでもって、動きの終点になるキーフレームのみを選択して、ステージウィンドウ(ガイドブックを見てくださいね)上で[移動]ツールを使って背景を最後の位置までもっていきます。ここでいう最後の位置とは、背景を引っぱり終わったところの位置という意味です。

これで最初と最後の背景の位置は決まったので、あとはその間の位置決めをすることになります。

今度は[ウィンドウ]→[中割り]で[中割り]ウィンドウを開きます。
タイムシートの背景を引きたいフレームを選択している状態で、[中割り]ウィンドウのメニューの中から[中割り]を開いて、青い三角をクリック。そうすると自動的に中割りしてくれます。

......はあはあ。文字にすると長くなるなあ。

 

(6)引いてみた

レンダリングをして、動画ファイルを出力するやり方はガイドブックの通りです。このとき「テレシネ変換」をすることで、1秒24コマで作っていた元のデータも、1秒30コマに変換されますので、より見やすいものになります。

これが実際に動かしてみた動画ファイルです。

キャラクターの動きは前回とまったく同じですが、もうちょっと動きが感じられるようになったのでは。

背景を引く、という演出技法、だれが発明したかは知りませんが、便利です。
(日本での発明だとすれば、やはり『鉄腕アトム』の頃でしょうかね)

 

(7)背景でもうひとこえ

ここまできたら、もうちょっと試してみましょう。
だいぶ動きが出てきましたが、もっとキャラクターの感情に合わせた演出を加えてみます。
通常の風景を描いた背景から、キャラクターの驚きを表現する背景、そして最初の動きのある背景へ、3種類の背景を次々に切り替えます。

やはりキャラクターの動きは同じ。
けれど背景を切り替えただけで、だいぶ印象の違う動画になりました。(やる前から予想はしていましたが)とっつきは分かりづらい撮影ですが、ちょっとでもできるようになるとなかなか楽しいです。

というわけで今回はここまで。
次回はさらにカットを変えて、撮影の面白さをさらに追求してみたいと思います。

おしまい

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