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第9回「このカット原撮で」というとプロっぽい気がする

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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(1)怖くないふりをしてみたり

毎回イントロ文には何か本題とは関係のないことを書いて、ちょっと肩の力を抜いてもらおうかなあ、と思っているのですが、今回はいまいち思いつきません。

いえ、もちろん肩の力を抜くのは筆者ではなくて読者の方ですよ?技術っぽい入門だのレポートだの......記事というのは、どうしても固くなりがちで、読むのが嫌になってしまうってことは多いと思うので、最初くらいは「怖くないですよぅ」というふりをした方が良いのではないかというわけです。

とか書きながら、本題の方もそんな難しいことをやっているわけではない......はずなんですけど......大丈夫ですか?ついてきていますか?

 

(2)君の瞳に映るもの

今回は、前回予告したとおり、実際の絵コンテに戻って作業を進めます。
対象になるカットは「C-14」、

男の子「夢野......」
女の子「なんですか?」
男の子「......パンツ見えてる」

というカットです。
男の子の二つ目の台詞で、ぐぐーっと目のアップになって、瞳にパンツが映り込んでいる......という無駄に凝った内容です。
パンツなのに......いや、パンツを馬鹿にしちゃあいけませんが。

さて、この絵コンテの指示をどんな内容の映像にするか、そこが問題です。
絵コンテだけ見ると、男の子は地面に大の字に寝ているようにも見えますが、その後のカットを見ると、女の子に鞄を投げつけられています。
とりあえず男の子の方は「尻もちをついた」くらいの姿勢ではないかと予想します。
(きっとプロの絵コンテではそういう予想は必要ないかと思いますが)

で、その男の子の台詞からぐーっと目のアップになるまでを、どんな動きで表現するか、ちょっと悩みました。
最後には思いついたので、以降はそれにしたがって作業を進めるわけですが、そのアイディアが本当に大丈夫かどうか、いまいち判断がつきません。

 

(3)原撮ってなあに?

そんなとき、原画、動画、彩色から撮影までのすべての工程を進めてから判断するのでは、手間がかかりすぎます。最終的にオーケーとなればいいですが、「やっぱりほかの方法にしよう」と決まったときには、作業があまりにも無駄で す。

そこで今回は「原撮」をまずやってみることにしました。原画の段階まで作業を進め、そこでカット内でのカメラの動きで大丈夫かどうかを判断する、ということです。

RETAS STUDIOでは、作業工程の分業が進んでいますから、その気になればすべての工程を経なくても、動画ファイルを生成することができる......はずです。

やってみましょう。

ちなみにプロのアニメの世界では、こうしたカット内容のチェック以外に、やたらとスケジュールがないときにも「原撮」「動撮」(彩色前の動画の段階で撮影してしまう)が行われることがあります。

アフレコなどのスケジュールが、映像制作とは別に動いているためにずらすことができず、どうしても「だいたいの長さが合っている」映像を作る必要があるからです。その場合、声優さんは動画の入っていない原画だけの映像を見て演技をするわけです。さらにスケジュールのないときは「コンテ撮」とかいろいろ......まあ余談です。
逆に試行錯誤のために「原撮」などを取り入れるのは、プロではないアマチュアの場合にはもっと試みていい手法だと思うんですがどうでしょうか。

 

(4)まず原画

「原撮」ですから、まずは原画が必要です。
レイアウトを作って、原画まで作業を進めます。

ここでちょっと気になった、というかつまずいたところ。
[Stylos]でのフレーム位置の変更はどうすればいいんでしょうね。
通常、今回のカットのように基本フレームサイズよりも大きな紙サイズで作画する場合でも、基本フレームサイズは表示されています。これを必要な位置で固定しておくにはどうすれば良いか、結局今回はわかりませんでした。

最終的にはこのフレームがどうであろうと、撮影段階で実際の動画の画面フレームはどうとでも変更できることがわかったので、大して問題はなかったのですが、ちょっと気になるところです。

こうした疑問を抱えながら動画、彩色と作業を進めていくのもちょっと見通しが悪くて気持ちが悪いので、そのためにも今回早めに「原撮」の判断をしておいてよかったかもしれません。

キャラクターの身体はAセル止めとして、目と口をそれぞれ別セルにしてみました。
そして問題はパンツです。
これ、できればあとで合成したいのですが......。

 

(5)[CoreRETAS]に原画を読み込む

「原撮」というのは通常の作業工程からすると、イレギュラーな方法なので、ガイドブックを見てもやり方は載っていません。
そこで、今回は以下の手順を踏んでみました。

1:原画を描く
2:彩色用データと撮影用タイムシートを出力
3:[CoreRETAS]に画像を読み込む
4:「原撮」してみる

すでに原画は描いていますので、[Stylos]で彩色用データと撮影用タイムシートを出力。ここまではガイドブックにも載っています。
次に[CoreRETAS]への画像読み込みですが、これは自動ではやってくれない([PaintMan]を通していないから)ので、ガイドブックにある背景の読み込みの容量でセルバンクに登録していきます。

タイムシートの方も、動画のデータを転記しないまま進めたので、白紙のシートが出力されていました。
「これきっと、動画への転記をしておかないといかんのだな」とは思ったのですが、作業に戻るのもばかばかしいので、そのまま白紙のシートに書き込んでいきます。
どっちにしろ、動画はまだ描いていませんから、シートの内容も最終的なカットとはちょっと違ってしまいますし、これはちょうどよかったかもしれませんね。

さて、いよいよ原撮です。

 

(6)画面を撮影してみましたよ

ガイドブックや、前回までの経験を生かして撮影を進めるわけですが、試行錯誤の経過を詳しく書くと、とっても長くなってしまいそうなので、今回は、手持ちのカメラで[CoreRETAS]の画面の動き、特に[ステージ]ウィンドウでの動きを撮影してみました。

あとで実際に完成(原撮ですが)させた動画も掲載していますので、[ステージ]ウィンドウ上での見た目と実際の動画を見比べてみて下さい。

手持ちカメラなので、微妙に揺れているのはご勘弁
あまり長いこと見ていると気分悪くなったりするかもしれませんので、充分距離を取って、明るい部屋で見て下さいね。

 

(7)原撮してみました

というわけで、原撮してみた動画です。実はこれ以前の段階でも、何種類か動画を作っているのですが、その中でもまだ一番マシなものを。

前ページのムービーと見比べるとカメラの動きがよく分かってもらえると思います。
最初は、カメラ位置の変化とタイムシート上の変化をうまく連動させられず(なまじ自動で連動するので、途中でいじるとよくわからなくなる)、見ていると先の手持ち撮影の動画より気持ち悪くなりそうでした......。

最後はかなり目のアップになるので、このサイズで一番見栄えのいいパンツの絵を、男の子の目に合成したいところです。

というわけで、合成とカット自体の完成は次回へ続きます。
色んなパターンを試して、もっと効率よくソフトを使えるようになりたい昨今です。

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