第12回 俺たちのアニメ坂はつづく!
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(1)いよいよ最終回!
有為転変は世の習いといいますか、半年にわたってお送りしてきましたこの連載もいよいよ最終回。
どんなに雑誌の取材を通じて分かったつもりになっていても、実際のアニメ作りはまったくの別物、そう簡単にはいくもんじゃないということが分かった一方で、そんな素人であっても動かす楽しみを味わうことはできるんだ、というのが分かって、筆者としてはなかなか実り多い連載になりました。
願わくば、これが読者の皆さんにも共有された思いであればいいんですが。
いやあそれにしても、正直当初の予定よりは全然進んでいませんよ。
まだまだRETAS STUDIOというソフトのほんのさわりに触れただけ、あれもやってみたい、これもやってみたいというのが色々あります。
アニメ作りをやればやるほど、どんどん楽しさがわかってくる......これはある意味でちょっと恐ろしい楽しみかもしれないですねえ。
(2)さて、これまでを振り返って......
半年も連載をやってきたわけですが、実のところ、絵コンテのうちでちゃんと動画として消化できているのはなんと3カット!
......もうちょっと進んでいるかと思ったんですが、いろいろ寄り道が多かったからなあ......。
でも、せっかくだから、これらをまとめてそれなりの映像にしてみましょうか。......さすがに作品と言い張るのはあれですが。
まとめ方のアイデアは「予告編」。
これから作られる本編の予告という雰囲気でこの3カットを中心にまとめてみます。
とはいえ、本当にこの3カットだけではなんにもなりませんから、予告編らしい感じになるように、追加のカットを作ります。
追加カットの基本は「手間いらず」。
枚数を極力使わず、全体をつないだときに役に立てばよし、という基準です。
ちなみに今までに作成したカットはこんな感じです。
「第7回 背景が動いた!」作成ムービー
「第11回 日本アニメの得意技に挑戦?」作成ムービー
(3)追加カットはこんな感じ
ずらりならべてみた追加カットはこんな感じ。
大半はフォトレタッチソフトでちゃっちゃと作ったものですが、1枚だけ「アニメ作ろうぜ!」の画像だけは、[Stylos]で文字を線画に起こして、[PaintMan]で彩色してデータを作っています。
「結構なものが~」のところは、キャラクターの台詞扱いでほかとは違う意味があるのであえて手書き文字。しかも2枚を交互に表示することで、動いて見えるようにしています。
もうひとつ、オレンジ色の2枚は、枚数を極限まで減らしてなお動いて見えるようにする、日本のアニメーションの生み出した秘技です。実際どんな風に見えるかは、動画の方で確認してください。
――と、これだけの画像を追加で作って、それぞれ[CoreRETAS]で撮影してしまいます。
うーむ、追加カットの方が多くなってしまいましたが、......ま、いいか。
(4)絵が一枚でも撮影です
追加で作った絵を撮影します。
今回はRETAS STUDIO以外のソフトで作った画像1枚(ないし2枚)から、それぞれカットを作るだけですので、実に簡単。セルバンク、タイムシートに画像を登録、そして必要に応じてカメラワークを入力するだけ。全部これまでの連載でやったことばかりです。
キーフレームを設定し、そのキーフレームの間を[中割り]パレットで中割りする......画像のカットではフェードイン、フェードアウトをそれぞれカットの冒頭、最後で使用しました。
この辺、一度憶えてしまうと、いくつかの簡単な入力でできてしまうのはデジタル撮影のいいところですね。
(5)予告編!
さあ、ではできたカットごとの動画ファイルを1本につないでしまいましょう。
[CoreRETAS]から書き出した動画ファイルをムービー編集ソフトで編集します。
編集ソフトはWindowsユーザーであればパッケージに付属の[Movie Edit Pro]を、マックユーザーであればOSに付属のものを使用します。あるいは、使い慣れたソフトがある人はそれを使うのもいいでしょう。
なにしろ、今回は音声だのBGMだの、凝った編集には用事がありません。ただ作ったカットを順に並べるだけですから大抵のソフトで迷わず作業終了になるはず。
あとはエンコードとか出力とか、そういうボタンを押してあげれば1本にまとまった動画のできあがり!です。
やあ、ようやくできました。
カットごとでも「動いている楽しさ」はそれなりにありますが、つないでみると、そこに流れみたいなものができてより楽しくなってきます。
とはいえ、コンテ中でできあがっているのは3カットだけ。まだまだ完成までには長い長い道のりがありそうですが、まずはここまで。
連載最初の頃は、まだソフトになじめず、「いったい、本当に連載が可能なんだろうか」と途方にくれたものですが、案ずるよりなんとやら。何度もソフトに触っているうち、段々と憶えてきて、基本的な操作だけなら、最初の頃よりぐっと短時間でこなせるようになりました。
と同時に、あらためてアニメーションという映像手法はいろんな才能を必要とするのだということも実感した次第です。動画を描くのと、背景画を描くのはそれぞれ別個の技能を必要としますし、撮影もちゃんとそれらしく見せるためにはかなり奥深いものがありそうです。
プロのアニメクリエイターの大変さが、(むろん全部がではないにせよ)ちょっとは分かった気がします。
これから「アニメを作ってみよう」と思ったあなたに、筆者からひとつ提案です。
全部をひとりでこなしてしまおうと思わず、私たちがそうだったように、何人かで力を合わせて、まずは短い作品を作ってみましょう。
5分なんて大作です。
最初は今回の映像のように10秒くらいのもので充分。あまり高いクオリティを求めないこともコツかもしれません。
とにかくまずは、カタチにしてしまいましょう。そうすれば、やる気も継続しやすいですし、次への反省点なども見つけやすくなります。
私たちのこの作品も、連載が終わったからこれでおしまいではなく、できるだけ完成に向けて続けて作っていきたいと思います。
コンテ全体を映像化するとなると、なかなか大変な作業量になりそうですけどね......。
でもいずれ......。
それでは皆さま、つたない連載にお付き合いいただいてありがとうございました。
協力:
アニメーションノート編集部
MAD HOUSE(http://www.madhouse.co.jp/)
空想海軍(http://imaginary-fleet.sakura.ne.jp/)
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