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第7回 「廻る」 彩色・コンポジット編

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 5386回 総合評価 : 3件

今回は、前回までに作成した線画をPaintManで彩色し、CoreRETASで動画ファイルに書き出します。

通常、影有りのキャラクターの場合、標準色と影色を同一画面に塗る訳ですが、
影色を作る考え方はプロでも色々な方法(理論?)があります。詳しく紹介すると、それだけで1講座成り立つボリュームになってしまうのでここでは省きます。

今回の行程の特徴は、Aセルのキャラクターには標準色のみ塗っておき、各色の影色は作らずに、黒色に塗ったBセルを半透明で被せるやり方です。

以下は今回の作例データです。
サンプルデータ

 

(1)STYLOS工程の続き

まずは、STYLOSで作成した動画をPaintMan用に書き出します。

 

(1)STYLOSを起動し、[ファイルブラウザ]を表示します。
今回配布した作例のカットフォルダ「練習-007-002-0004」は前回原画まで作成したものと同様の内容です。
[ファイルブラウザ]の[動画]タブに切り替えます。

 

(2)[ファイル]メニューから[書き出し]→[ラスター]を選択します。
(彩色行程用のセル書き出しを行います。)

 

(3)[カットフォルダ書き出し]ダイアログで、ファイルの種類と書き出す場所、対象等を設定します。
初期設定から、以下の点を変更します。
ファイルの種類:[PNG]
書き出し先:「練習フォルダ」と同じ階層にします。
対象選択:[動画]のチェックをオンにし、動画の[設定]ボタンから[作画]と[影指定]をオンにします。

 

(4)設定を変更したら[OK]ボタンをクリックします。

 

(5)書き出しが完了したら、STYLOSは終了します。
同じ場所に書き出すと、「練習-007-002-0004(1)」という名称のフォルダが作成されます。

 

(2)キャラクターの彩色

(1)[PaintMan]を起動します。

 

(2)パレット類の配置を好みに整えて、[ファイル]メニュー→[開く]→[カットフォルダ]を選択します。

 

(3)先ほど「練習フォルダ」に書き出した「練習-007-002-0004(1)」という名称のフォルダを選択して[OK]をクリックします。

 

(4)[練習-007-002-0004(1)]フォルダを開いた状態です。タブを[基本情報]から[画像]に切り替えます。

 

(5)[画像]タブで、[Aセル]と[Bセル]を見やすい表示幅と位置に調整し、「A1」セルを開きます。

 

セルウィンドウが開いたら上部の[+][-]ボタンで、開いた画像の表示倍率を調節して、赤線の全てが隠れない程度の拡大表示にします。

 

(6)[カラー]パレットで、「目の色」と「眉の色」用に黒色より少しだけ明るい色(R:16 G:16 B:16)を作ります。
作った色は[カラー]パレットに登録します。[Alt]キーを押しながら、色を登録したいマスをクリックします。
白目の色やハイライト色、シャツの色に使う「白色」は、限りなく白色に近いグレー(R:238 G:238 B:238)にしておきます。こちらも、[カラー]パレットに登録します。

 

(7)鼻や目のハイライトを一番最初に塗っておきましょう。
塗りつぶしの際は[フィル]ツールオプションの[含み塗り]をオンにしておきます。
[含み塗り]をオンにすると、色トレース線の赤線部分まで一度に塗りつぶせます。
目のハイライトを塗り終えたら、先ほど作った「黒より少し明るい色」で目の黒い部分も塗りつぶします。

 

(8)[カラー]パレットで鼻の色と唇の色(R:220 G:16 B:16)を作成します。
作成した色を[カラー]パレットに登録してからセルを塗っていきます。

 

(9)同様に、頬の色(R:242 G:176 B:210)を作成して、[カラー]パレットに登録してから塗りましょう。

 

(10)続けて、肌(R:242 G:209 B:195)、髪(R:183 G:170 B:0)、帽子/ジャケット(R:164 G:0 B:0)、シャツ(R:238 G:238 B:238)、ズボン(R:0 G: 104 B:183)の各色を塗ります。

 

(3)塗り漏れの確認

ある程度彩色したら、塗り忘れがないか確認します。一見隙間なく塗れているように見えても、細かい部分で塗り忘れや、うまく塗りつぶせていない箇所があるため、こうした確認は重要です。

 

(1)[表示]メニュー→[彩色チェック表示]を実行し、塗り漏れが無いか確認します。
「彩色チェック表示」では、黒い部分は色が塗れている場所、白い部分は塗れていない場所です。
チェックをしてみると、「眉毛」の塗り漏れを発見しました。

 

(2)[ツール]パレットで[閉領域フィル]ツールを選択します。
[カラー]パレットで先ほど登録した「黒(眉の色用)」を選択し、「眉毛部分」を覆い被せるようになぞります。

 

「眉毛部分」が塗りつぶされた状態です。

 

(3)[A1]セルは完成です。[Ctrl]+[S]キーで保存します。

 

(4)影部分の彩色

今度は、Aセルのキャラクターとは別のBセルに描いた影部分を彩色していきます。

(1)[ファイルブラウザ]から[B1]セルを開きます。

 

(2)通常、キャラクターに使う「影色」は個別に色を塗り分けていきますが、
今回は黒色を透明度50%で表示させる為、すべてRGB値0,0,0の黒を塗り色に使います。
塗りつぶしツールオプションの[含み塗り]は[青色]を指定色に設定します。

 

(3)単純に影部分を全て黒色で塗ります。通常の各影色を選択する必要がないので、スムーズな作業になります。

 

(4)[B1]セルを[保存]して、[ファイルブラウザ]で次の[B2]セルを開きます。

 

同様の手順で[Bセル]の影部分を全て黒色で塗ります。

 

(5)[PaintMan]最後の作業は塗り漏れ確認と動きのチェックをします。
[表示]メニュー→[彩色チェック表示]で、一通り塗り漏れがないことを確認できたら、
[表示]メニュー→[モーションチェック]を実行します。

 

[モーションチェック]のサンプル動画

動きに問題がなければ、彩色は完成です。

 

(5)コンポジット

彩色が終わったら、CoreRETASでタイムシートを作成します。バラバラだった素材を合成して、静止画を動画化します。

 

1.BGとAセルの入力

(1)[CoreRETAS]を起動します。

 

(2)[ファイル]メニューから[新規]→[タイムシート]を作成します。

 

(3)[新規タイムシート]ダイアログで、タイムシート名とフレーム数、カメラサイズを以下の通り設定します。

 

(4)各パレットを表示した状態。
①タイムシート
②[ステージ]ウィンドウ
③[セルバンク]
④[レイヤー設定]パレット

 

※表示されていないウィンドウがある場合は、[ウィンドウ]メニューから、表示します。

 

(5)まず、[BG(背景)]を登録するのですが、背景画像はRETAS STUDIOだけでは制作が難しいので、別途ソフトで制作したサンプル画像を使用します。
事前にエクスプローラ上で「カットフォルダ」内にBG(背景画像)をペーストしておきます。

今回はサンプルデータの「練習-007-002-0004(1)」→「-BG」フォルダ内に「#07-BG.tga」という背景画像を用意しています。

セルバンクの[-BG]を選択した状態で、[登録]ボタンをクリックし、上記の画像を登録します。

 

 

(6)タイムシートの[-BG]レイヤーの[セル番号]を、カット頭からカット尻まで全て選択して、「1」と入力します。

 

タイムシートにセル番号を入力すると、[ステージ]上にプレビュー画像が表示されます。
画像が表示されない場合は、ステージの[画像]ボタンを「オン」にします。

 

(7)セルバンク「A」に「A」セルを登録します。

 

[ファイルを開く]ダイアログで、[A1]を選択します。

 

(8)タイムシートの「A」レイヤーのすべてのフレームを選択し、セル番号「1」と入力します。

 

[ステージ]は、[-BG]と[A]が表示された状態になります。

 

(9)[セルバンク]の「B」にBセルを登録します。
【#07-212】

 

[ファイルを開く]ダイアログで、「B1」セルを選択します。
「選択ファイルのみ登録」のチェックが「オフ」になっていれば、ファイルを1つ選択するだけで同じフォルダにあるファイルは自動的に[セルバンク]へ登録されます。

 

2.Bセルの入力

「BG」と「A」セルは画像を1枚ずつしか登録しませんでしたが、「B」セルは8枚の画像があります。
[Stylos]の原画行程では「タイムシート作成」の説明を省いていましたが、今回も練習なので正式なタイムシートは無しで、「B」セルは単純な繰返しの動きにしましょう。

(1)単純な動きを繰り返すような場合は、まとめて自動的にセル番号を入力する方法があります。
タイムシートのBセルをすべて選択した状態で、[タイムシート]メニューから[セル番号の自動入力]を選択します。

 

(2)[セルの自動入力]ウィンドウで[フレーム配置]の数値を[3]に設定すると「3コマ打ち」となります。
※同じ画像を3フレーム続けて表示する手法

 

[OK]をクリックすれば、タイムシートの[B]セルは「3コマ撮り」のタイミングで入力されています。

 

(3)入力直後の状態では、[ステージ]の表示で影が真っ黒に被さっているため、「B」レイヤーの透明度を調整する必要があります。

 

(4)タイムシートの表示パラメータを[セル番号]から[透明度]に切り替えます。

 

(5)すべてのフレームを選択した状態で[透明度]の値を[50(%)]にします。

 

[ステージ]の表示で影の透明度が「50%」表示になりました。これで完成です。

 

3.確認と書き出し

タイムシートが入力できたら、[RAMプレビュー]で動きを確認しましょう。
[ファイル]メニュー→[RAMプレビュー]→[実行]を選択します。

 

動画「RAMプレビュー」

問題なければタイムシートを保存([Ctrl]+[S])して、ムービーの[書き出し]をします。

 

サンプルはフラッシュムービーで書き出しました。


書き出したムービーは[RAMプレビュー]より画質がきれいになっています。

 

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