第10回 「目パチ」編②
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前回に引き続き、動画の中割の初歩中の初歩「目パチ」を練習していきましょう。
(1)動きの確認と修正
1.モーションチェックとタイムシートの修正
(1)[モーションチェック]で動きを確認してみましょう。[タイムシート]ウィンドウの[モーションチェック設定]ボタンをクリックします。
※[タイムシート]メニューから[モーションチェック]→[設定]を選択しても同様です。
(2)[モーションチェック設定]ウィンドウの[再生対象]を[原画]にして[実行]します。
(3)これでも、間違いではありませんが、何か物足りない気がしませんか?
動きが機械的な感じですね。そこで、実写での動きを見て下さい。
(4)実写の中からポイントになる画像を抜き出しました。
「開いた目」
「閉じた目」
「少し閉じた目」
「半分閉じた目」
(5)「目パチ」の動きは高速なので判り難いかもしれませんが、何度も見ていると「閉じる時は中無し(※)で、開ききる一寸手前に詰まった動き」と云うのが解ると思います。らしく表現するには、意外と「半分閉じた目」は使わない事が殆どです。
※中無し:中割しないこと
では、[タイムシート]上の原画欄に「中割り指示」として、下図の位置にキーボードの「/」(スラッシュ)キーを入力して保存します。原画作業は以上です。
(6)次は動画作業です。
[タイムシート]を開いて[動画番号の転記]ボタンをクリックします。すると、タイムシートの動画欄に転記が実行されます。(確認したら保存しておきます)
タイムシート上のフレームの下地の色がグレーの箇所は「画像が存在する」という意味です。また、動画欄で「数字が太い文字」は「原画」の意味です。この段階では動画はまだ作成されていないのでフレームの色は白色です。
2.動画の準備
(1)ここでは「原画のクリーンアップ内容が動画レベル並に綺麗な仕上がり」と云う事を前提に説明を進めます。(つまり、原画を改めてクリーンアップする作業は省略します。)
[ファイルブラウザ]の[原画]タブで、[Shift]キーを押しながら[A1]と[B1][B2]セルを選択します。この状態で[編集]メニューから[コピー]を実行します。
(2)[ファイルブラウザ]の[動画]タブに切り替えます。
[A1]のフレームを選択して、[編集]メニューから[ペースト]を実行します。
(3)先ほどコピーした内容が[A]レイヤーに全てペーストされました。
(4)元々[B1]と[B2]だったセルを選択し直して、そのまま下の段の[B1]の位置へドラッグします。
(5)[B]セルが移動出来ました。
(6)確認の為に[タイムシート]を開いてみましょう。動画欄の番号でフレームの地の色がグレーなのは画像があるという事はすでに説明しました。残るは[B3]を作画すれば良い事になります。
3.B3セルの作画
(1)[ファイルブラウザ]の[動画]タブ、[B3]にセルを新規作成します。
(2)[B3]セルを開いたら、[ライトテーブル]メニューから[前後の画像を登録]を実行します。
(3)[B3]には「次のセル」が無いので[B2]だけが[ライトテーブル]に登録されています。
(4)参考にしたい画像は[B1]なので[ライトテーブルセット]の[B2]を選択した状態で[前のセル]ボタンをクリックします。
(5)[ライトテーブルセット」が[B1]に切り替わりました。
(6)基本的に[B3]は、[B1]に描いた目の上部分を少し描き変えれば良いだけなので、セルを入れ替えて、[B1]セルの内容をコピーします。
(7)[ライトテーブル]パレットの[編集画像と入れ替え]ボタンをクリックします。セルを入れ替えたら[主線プレーン]と[色トレース線プレーン](赤)にチェックを入れておきます。
(8)[矩形選択]ツールで両目を囲って、[編集]メニューから[コピー]を実行します。
(9)目をコピーしたら、再度[ライトテーブル]パレットの[編集画像と入れ替え]ボタンをクリックします。
(10)セルを入れ替えたら、[編集]メニューから[ペースト]を実行します。
(11)そのまま、[編集]メニューから[変形]→[拡大・縮小]を実行します。
(12)[変形]ウィンドウで、幅を105%、高さを90%くらいで、移動を目の下のラインに揃える様、調整します。
(13)[矩形選択]ツールオプションで、[画像を移動させる]にチェックが入っている事を確認しておきます。
(14)[矩形選択]ツールで、左右の目を個別に選択します。
([レイヤー]パレットで[主線プレーン]と[色トレース線プレーン](赤)にチェックを入れておきます) キーボードの矢印キーで横移動させて[B1]セルに合わせて位置調整します。
(15)[B3]セルも[影指定作成]をします。保存して閉じて動画の完成です。
(16)動画サンプルはありませんが、実際にタイムシート上からモーションチェックで確認して下さい。これで物足りない感じが少し解消されたと思います。
確認の際は、[モーションチェック設定]ダイアログでで再生対象を[動画]に切り替えます。
(2)PaintManへの書き出し
(1)[ファイル]メニューから[書き出し]→[仕上げ]を実行します。
書き出しの設定は以下の通りです。
(3)彩色
書き出した動画をPaintManで彩色していきます。
PaintManを起動します。
1.各セルの彩色
(1)[ファイル]メニューから[開く]→[セル]を実行し、[A1]セルを選択して開きます。
(2)前回の講座などで使った彩色データを色見本として[サブパレット]に登録しておきます。([ファイルブラウザ]から[サブパレット]上に画像をドラッグ&ドロップで登録できます。)
(3)[サブパレット]から色を取得して、[フィル]ツールで[A1]セルをペイントします。
(4)続けて、[B1][B2][B3]をペイントします。
主線プレーンにセル番号が残っている場合は、確認作業の段階で削除しておきます。
2.彩色チェック
(1)全てのセルのペイントが終わったら、[表示]メニューから[彩色チェック表示]で確認作業をしましょう。
(2)[A1]セルに塗り漏れがあります。
(3)[彩色チェック表示]を解除して色を確認します。
(4)[ツール]パレットの[塗りのばしフィル]ツールを使って塗り漏れを修復します。
(5)[塗りのばしフィル]ツールは塗りたい色の近くからドラッグして、透明部分に色を塗りのばすツールです。比較的小さい範囲(ドット単位)の修復に向いたツールです。自動的に色が選択されるので[カラー]パレットや[カラーチャート]から色を取 らなくて良いため、高い作業効率が望めます。
(6)[B]セルの塗り漏れを確認します。
同じフォルダ内のセル移動はキーボードの[<]、[>]キーで移動できるので、[B1]セルを開いたら、後はキーボードを使います。
[B1]セル・彩色チェック
[B2]セル・彩色チェック
[B3]セル・彩色チェック
(7)[B]セルの場合、塗り漏れている色が白色で、地の白色と大変見分けがつき難いです。[塗りのばしフィル]ツールを使用するにも、正しく塗れたかどうかの確認はできません。 このような場合は、[ツール]パレットの[閉領域フィル]ツールを使います。[塗りのばしフィル]と違い、このツールを使用する場合、ポイントが2点あります。
・事前に描画色を選択しておく。(この場合はハイライトの白色)
・塗り潰したい領域を完全に囲みきる。(不要な領域が含まれても良いが、囲みきらないようにする)
(8)[閉領域フィル]ツールは、一度に広い範囲を塗り潰せますが、選択範囲を誤ると戻す手間が増えるので使い方に慣れが必要です。
前述の通り、「塗りたい部分は囲み切り、塗りたくない部分は囲みきらない」という点を意識します。
すべてのセルの塗り漏れを修正したら、彩色作業は終了です。
(4)コンポジット
最後に、CoreRETASでムービーに書き出します。
CoreRETASを起動します。
(1)Stylosで書き出したフォルダには[CoreREATS]用タイムシートも含まれているので、それを開きます。
(2)追加で[BG]フォルダに適当な背景画を入れておいて、CoreRETAS上で登録します。
(3)[ファイル]メニュー→[書き出し]を実行すれば、ムービーの完成です。
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