5.レンダリングで仕上げる(コミスタのみ)
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実は人間だけではなくパソコン君が絵を完成させるにも下絵>本描きというプロセスを行っています。例えば3DCGの世界でもこのパソコン君は、本書きするために時間をかけます。例えば以下の図のような線でできた3D(ワイヤーフレームと呼びます。)をパソコン君ががんばって仕上げて、質感や影の入った綺麗な画像にするわけです。
このパソコン君の考える時間を”レンダリング”と言います。
レンダリング中は、人間は待っているしかありません。いらいらしてパソコンをカチカチやってもレンダリング時間が短くなる事はありません。もちろん、2台目のパソコンで違う作業をしていてもいいのですけどね。
まだまだ発展途上とは言え、このレンダリング時間は近年のパソコンの高速化でずいぶん短縮されてきました。
例えば、20年前は3日間もレンダリング時間が必要なデータもありました。現代では、同じ結果を得るために1分もあれば充分の場合が多いです。
コミスタにはこのレンダリング機能が装備されています。装備されているといっても、3DCG専用ソフトの画質を得るためではありません。3Dを漫画の中の絵として、そのまま使えるような画像にレンダリングする極めてユニークな機能です。この機能があるから、コミスタを使用しているハイエンドユーザーも大勢います。
ではこのコミスタ独自のレンダリングをやってみましょう。レンダリングするのは宇宙から来た「メカ球」さんです。
メカ球レンダリング手順
①新規にページを作成し、[ファイル]→[読み込み]→[3Dファイル]を選択します。
②「第5回用3D素材」フォルダの中の「メカ球」フォルダから、「メカ球.lwo」を選択し,[開く]ボタンを押します。
③[3Dワークスペースプロパティ]からカメラを選択します。
[距離]スライダーを左に移動してカメラを少しよせてメカ球が大きく表示されるようにします。
④[3Dワークスペースプロパティ]の左上に[レンダリング]というボタンがあるので押します。
⑤すると[3DLTレンダリング]パレットが現れます。ここでレンダリングの細かい設定が行えるのですが、まずは何も変更せずに[OK]ボタンを押してみましょう。
⑥レンダリングが開始され、パソコンが少し重くなったはずです。レンダリングが開始されるとコミスタの左下に、レンダリングの進行を示すバーが登場します。
終了するまでの数分間、一息ついていてください。レンダリングにかかる時間ばかりは、みなさんの使っているマシンのスピードによってさまざまです。マシンによっては数分かかるかもしれません。
⑦バーの進行が終了すると、自動的に画面がレンダリング画像に変わります。影の部分がスクリーントーンになったと思います。
⑧パソコンの画面は印刷よりも解像度が低いためにトーンがモアレて見えるかもしれませんが、虫めがねで拡大してみれば、ちゃんとトーンが貼られている事が確認できます。
コミスタの3Dのレンダリングは、3Dに輪郭線やトーンを付けて、漫画で使用した時に違和感のできるだけない画像を実現した素晴らしい機能です。ただ元が3Dのため、初期状態のままレンダリングすると必要な輪郭線が消えてしまう事があります。ではもう少し細かく設定してみましょう。
レンダリングの詳細設定手順
①レンダリングが終了した状態の時は、[プロパティ]パレットのタブが[レイヤー]に切り替わっているため[3Dワークスペースレイヤー]のタブにもどします。
②[レンダリング]ボタンを押します。
③[3DLTレンダリング]パレットが表示ます。まず[陰影]の部分ですが、これは前項でやった[3Dワークスペースレイヤー]の[陰影]とまったく同じです。
④操作も前項といっしょです。少し逆光気味に光が当たるように、球を回します。メカ球は後方から光が当たっているように暗くなります。
⑤[階調化]の70→30に30→5にそれぞれ入力します。数値を入れたあとに[enter]キーを押してください。
メカ球は明るく表示されます。
⑥[トーン化]の項目は、トーンのパターンや細かさを設定します。今回は[種類]のプルダウンメニューから[細さくら]を選択します。
※印刷する場合は少し線数を下げないと柄の区別がつきにくいかもしれません。
⑦スムースボタンをかけると、ポリゴンのガタガタした感じが少し軽減されます。[スムース]のチェックをオンにします。レベルをあげるほど、滑らかさがあがりますが、3Dの形状も少し変わってしまいます。今回は初期状態の4のままでいいでしょう。
⑧最後に、輪郭線を出すための設定をします。まず[輪郭線]の項目に[詳細]ボタンを押します。
⑨[輪郭線の設定]パレットが表示されます。[線幅]で線の太さを変えられます。初期設定は一番細い0.1なので、今回はこのままで大丈夫です。
⑩[検出精度]項目の数値を100に変えます。数値は高いほど、多くの輪郭線拾います。
⑪プレビューボタンを押します。レンダリングほどではないですが、少し待つと輪郭のプレビューが表示されます。
今まで見えなかった線が描画されているのが確認できます。
⑫[OK]ボタンを押して[輪郭線の設定]パレットを閉じます。
⑬[3DLTレンダリング]パレットにもどるので、[OK]ボタンを押してレンダリングを開始します。
⑭”3DLTレンダリングフォルダ内にあるレイヤーがすべて削除されます。よろしいですか?”と確認画面が出ます。これは先ほどレンダリングした画像を上書きしていいかどうかを確認する画面です。[はい]ボタンを押します。
⑮レンダリングが終了し、画面がレンダリングされた画像に変わります。
この先の処理のためにレンダリングされた画像がどこに格納されているか覚えておいてください。
[レイヤー]パレットで[3Dワークスペース]フォルダを展開します。
さらに中にある[3DLTレンダリングフォルダ]を展開します。
すると中に「60L 20%」 「60L 5%」 「輪郭線」 「マット」という4つのレイヤーを見つける事ができます。これらのレイヤーはもう3Dではなく、レンダリングされた2Dの画像です。なので、複製したり、[3Dワークスペース]から別のフォルダに移動したり、画像効果をかけたりといった、2Dの処理が全て可能になります。
また、「60L 20%」 「60L 5%」はトーンのレイヤー、「輪郭線」は輪郭線だけのレイヤー、「マット」はメカ球の背景を透明にするためのマスク画像です。これらそれぞれの要素に分かれているため、それぞれについてのさらなる加工も可能です。
レンダリングされて画像化された、3Dに吹き出しや柄もののトーン、効果線を組み合わせていけば、元が3Dとは思えない画質で、漫画のひとコマとして使用する事が可能なわけです。
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