パース定規で透視図を描く -パース定規基本編2-
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使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.3.0
[1]パース定規の操作
[2]部屋の下描き
[3]室内の下描き
[4]完成
2点透視のパース定規を例に、基本的な透視図の描き方を説明します。
[1]パース定規の操作
(1)キャンバスに2点透視のパース定規を作成します。
(2)[オブジェクト]ツールで消失点をドラッグして位置を決めます。
(3)パース定規を作成したレイヤーに下描きをします。[レイヤープロパティ]パレット→[レイヤーカラー]を有効にして、レイヤーに描画する色を変えておきます。
(4)今回は、室内をななめ横から見ている構図で描きます。
描画する際の目安にするため、大まかに描く範囲に合うように、ガイド線を動かします。
[オブジェクト]ツールで[ガイド線のハンドル]の○マークをドラッグすると、ガイド線を動かすことができます。
図のようにガイド線を配置しました。
[2]部屋の下描き
(1)コマンドバーの[特殊定規にスナップ]が有効になっていると、パース定規に沿った線のみ描画することができます。
2点透視の場合は、消失点に収束する線か、垂直の線のみ描画することができるようになります。
(2)床になる四角形を描きます。床は目線より下になるので、アイレベルの下側に描きます。
描きたい方向とは異なる方向に描画してしまった場合は、タブレットからペンを離さずに描きはじめまでペンを戻すと、描画した線をキャンセルして線を描き直すことができます。
この機能は、[ファイル](Mac OSXの場合は、[CLIP STUDIO PAINT])メニュー→[環境設定]→[定規・コマ・単位]の「パース定規スナップ中に描き始めの点に戻ると方向を決定し直す」のチェックをONにしていると有効になります。
(3)四角形の角から、垂直な線を描きます。この線は部屋の壁を表します。
壁は目線の上にまで伸びるので、アイレベルの上にある[ガイド線]に届くまで描きます。
(4)天井の線を一本だけ描きます。
(5)天井の他の線を、天井の線と壁の線の交点を通るようにして描きます。
これで部屋の床、壁、天井の下描きができました。
[3]室内の下描き
続けて机やドアなど、室内にあるものを描いていきます。
(1)まず、パースグリッドを使用して机のサイズを決めます。
物と物の大きさの違いや距離を把握する場合などに、パースグリッドは有効です。
[オブジェクト]ツールでパース定規を選択し、[ツールプロパティ]パレットの「グリッド」の3種類のボタンをクリックします。
消失点から等間隔の、パースグリッドが表示されます。
ここでは、中央の[YZ平面]を有効にします。
(2)格子の大きさは、「グリッドサイズ」で調節できます。
パースグリッドを表示している状態で、[オブジェクト]ツールでパース定規を選択すると、[グリッドの原点]が表示されます。
[オブジェクト]ツールで[グリッドの原点]ドラッグすることで、パースグリッドを動かすことができます。
床の線から天井の線までを、10個のパースグリッドで分割するように、グリッドの原点で位置を合わせ、グリッドサイズを調節します。
(3)日本の一般的な家屋の床から天井までの高さは220~240cmになるので、この場合のひとつのグリッドは、1辺22~24cmに相当するものとします。
グリッドをものさしにして、机のサイズを決めていきます。
机の高さは概ね60~70cm程度なので、グリッド3個分の高さに相当します。
床の線からグリッド3個分の高さで、机の天板の線を描きます。
同様に、幅や奥行きの長さも、パースグリッドを手がかりに決めます。
表示するグリッド平面を切り替えても、グリッドのサイズは同じ間隔=同じサイズになります。机の奥行きは[XZ平面]で計りました。
このように、グリッドのサイズを手がかりにして、物のサイズをおおよそ測ることができます。
定規やパースグリッドが見えにくい場合は、[環境設定]→[定規・コマ・単位]の「定規・グリッド・トンボの不透明度」で定規の不透明度を上げることができます。
(4)同様にパースグリッドを手がかりに椅子や窓、ドアを描き、下描きを完成させます。
消失点の位置関係によっては、パースグリッドが表示されない場合があります。
2点透視の場合は、垂直の補助線で分けられた領域の一方に、2つの消失点が両方とも位置している場合は表示されません。
3点透視の場合は、3点の[消失点]を結んだ三角形に鈍角(90°以上の角)が含まれる場合には、表示されません。
なお、1点透視の場合ではパースグリッドは常に表示されます。
[4]完成
新たにペン入れ用のレイヤーを作成し、ペン入れして完成です。
パース定規を使用したペン入れの際は、ベクターレイヤーの使用をおすすめします。
ベクターレイヤーでは、消しゴムの「交点消去」が使えます。
「交点消去」は、線と線が交わっている部分まで一気に消去できるので、線をはみ出すように描いても簡単に修正できます。
「交点消去」を使うには、ベクターレイヤーを選択している状態で、[消しゴム]ツールを選択し、[ツールプロパティ]パレットの「ベクター消去」にチェックを入れ、「交点まで」をクリックします。
定規が設定されているレイヤーでなくとも、他のレイヤーの定規が表示されていればスナップして描画できます。
[レイヤー]パレット→[定規の表示範囲を設定]をクリックして、定規を表示する範囲を設定できます。
ただし、レイヤーを非表示にしている場合は、ここでの設定にかかわらず定規は表示されません。
すべてのレイヤーで表示……どのレイヤーを選択しても、定規は表示されます。
同一フォルダー内で表示……定規が設定されているレイヤーと同じレイヤーフォルダー内にあるレイヤーを選択している場合に表示します。
編集対象のときのみ表示……定規が設定されているレイヤーを選択している時のみ表示します。
また、すべてのチェックを外すと、図のように「×」印がつき、レイヤーを表示していても定規は常に非表示になります。
次回の講座では、下絵を元にパース定規をあわせる方法を解説します。
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