パース定規で透視図を描く -パース定規基本編2-

提供者 : セルシス    更新日 : 2018/12/06   
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使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.3.0

※Debutでは対応していません。

[1]パース定規の操作
[2]部屋の下描き
[3]室内の下描き
[4]完成

2点透視のパース定規を例に、基本的な透視図の描き方を説明します。

[1]パース定規の操作

(1)キャンバスに2点透視のパース定規を作成します。

パース定規を作成


(2)[オブジェクト]ツールで消失点をドラッグして位置を決めます。

消失点をドラッグ


(3)パース定規を作成したレイヤーに下描きをします。[レイヤープロパティ]パレット→[レイヤーカラー]を有効にして、レイヤーに描画する色を変えておきます。

レイヤーカラーを有効


(4)今回は、室内をななめ横から見ている構図で描きます。
描画する際の目安にするため、大まかに描く範囲に合うように、ガイド線を動かします。
[オブジェクト]ツールで[ガイド線のハンドル]の○マークをドラッグすると、ガイド線を動かすことができます。

ガイド線を動かす


図のようにガイド線を配置しました。

ガイド線を配置

[2]部屋の下描き

(1)コマンドバーの[特殊定規にスナップ]が有効になっていると、パース定規に沿った線のみ描画することができます。
2点透視の場合は、消失点に収束する線か、垂直の線のみ描画することができるようになります。

[特殊定規にスナップ]


(2)床になる四角形を描きます。床は目線より下になるので、アイレベルの下側に描きます。

床になる四角形を描く

POINT

描きたい方向とは異なる方向に描画してしまった場合は、タブレットからペンを離さずに描きはじめまでペンを戻すと、描画した線をキャンセルして線を描き直すことができます。

線をキャンセルして描き直す

この機能は、[ファイル](Mac OSXの場合は、[CLIP STUDIO PAINT])メニュー→[環境設定]→[定規・コマ・単位]の「パース定規スナップ中に描き始めの点に戻ると方向を決定し直す」のチェックをONにしていると有効になります。

「パース定規スナップ中に描き始めの点に戻ると方向を決定し直す」


(3)四角形の角から、垂直な線を描きます。この線は部屋の壁を表します。
壁は目線の上にまで伸びるので、アイレベルの上にある[ガイド線]に届くまで描きます。

壁の線を描く


(4)天井の線を一本だけ描きます。

天井の線を一本だけ描く


(5)天井の他の線を、天井の線と壁の線の交点を通るようにして描きます。

天井の他の線を描く


これで部屋の床、壁、天井の下描きができました。

部屋の下描き完了

[3]室内の下描き

続けて机やドアなど、室内にあるものを描いていきます。

(1)まず、パースグリッドを使用して机のサイズを決めます。
物と物の大きさの違いや距離を把握する場合などに、パースグリッドは有効です。

[オブジェクト]ツールでパース定規を選択し、[ツールプロパティ]パレットの「グリッド」の3種類のボタンをクリックします。
消失点から等間隔の、パースグリッドが表示されます。

ここでは、中央の[YZ平面]を有効にします。

パースグリッドを表示


(2)格子の大きさは、「グリッドサイズ」で調節できます。

グリッドサイズ


パースグリッドを表示している状態で、[オブジェクト]ツールでパース定規を選択すると、[グリッドの原点]が表示されます。
[オブジェクト]ツールで[グリッドの原点]ドラッグすることで、パースグリッドを動かすことができます。

グリッドの原点


床の線から天井の線までを、10個のパースグリッドで分割するように、グリッドの原点で位置を合わせ、グリッドサイズを調節します。

グリッドサイズを調節


(3)日本の一般的な家屋の床から天井までの高さは220~240cmになるので、この場合のひとつのグリッドは、1辺22~24cmに相当するものとします。
グリッドをものさしにして、机のサイズを決めていきます。

机の高さは概ね60~70cm程度なので、グリッド3個分の高さに相当します。
床の線からグリッド3個分の高さで、机の天板の線を描きます。

机の天板の線を描く


同様に、幅や奥行きの長さも、パースグリッドを手がかりに決めます。

表示するグリッド平面を切り替えても、グリッドのサイズは同じ間隔=同じサイズになります。机の奥行きは[XZ平面]で計りました。

机の下描き

このように、グリッドのサイズを手がかりにして、物のサイズをおおよそ測ることができます。

POINT

定規やパースグリッドが見えにくい場合は、[環境設定]→[定規・コマ・単位]の「定規・グリッド・トンボの不透明度」で定規の不透明度を上げることができます。

定規・グリッド・トンボの不透明度


(4)同様にパースグリッドを手がかりに椅子や窓、ドアを描き、下描きを完成させます。

下描きの完成

POINT グリッドが表示されない場合は

消失点の位置関係によっては、パースグリッドが表示されない場合があります。

2点透視の場合は、垂直の補助線で分けられた領域の一方に、2つの消失点が両方とも位置している場合は表示されません。

2点透視の場合


3点透視の場合は、3点の[消失点]を結んだ三角形に鈍角(90°以上の角)が含まれる場合には、表示されません。

3点透視の場合


なお、1点透視の場合ではパースグリッドは常に表示されます。

[4]完成

新たにペン入れ用のレイヤーを作成し、ペン入れして完成です。

完成

POINT

パース定規を使用したペン入れの際は、ベクターレイヤーの使用をおすすめします。

ベクターレイヤーでは、消しゴムの「交点消去」が使えます。
「交点消去」は、線と線が交わっている部分まで一気に消去できるので、線をはみ出すように描いても簡単に修正できます。

交点消去

「交点消去」を使うには、ベクターレイヤーを選択している状態で、[消しゴム]ツールを選択し、[ツールプロパティ]パレットの「ベクター消去」にチェックを入れ、「交点まで」をクリックします。

「交点まで」


POINT

定規が設定されているレイヤーでなくとも、他のレイヤーの定規が表示されていればスナップして描画できます。

[レイヤー]パレット→[定規の表示範囲を設定]をクリックして、定規を表示する範囲を設定できます。
ただし、レイヤーを非表示にしている場合は、ここでの設定にかかわらず定規は表示されません。

定規の表示範囲を設定

すべてのレイヤーで表示……どのレイヤーを選択しても、定規は表示されます。

同一フォルダー内で表示……定規が設定されているレイヤーと同じレイヤーフォルダー内にあるレイヤーを選択している場合に表示します。

編集対象のときのみ表示……定規が設定されているレイヤーを選択している時のみ表示します。

また、すべてのチェックを外すと、図のように「×」印がつき、レイヤーを表示していても定規は常に非表示になります。

定規は常に非表示


次回の講座では、下絵を元にパース定規をあわせる方法を解説します。

コメント
hachi758 2018/04/12 13:49
「[2]部屋の下描き」の「(2)床になる四角形を描きます。」で どのツールに切り替えれば、説明のように描けるのかが分かりません。 ガイド線に触るだけになってしまいます。
yco 2017/12/25 19:12
パース定規ですが縦の線と左側の方が全く書けないです。どうすれば書けるようになります?
coldparty 2017/11/07 00:35
机のサイズが高さ60センチ~70センチはいいけど、他のサイズも書いてよ 推して知るべしかよ
白い黒猫 2016/05/08 22:16
困っていた事がよく理解できました。
zacherkuchen 2013/12/26 03:50
参考になりました