レイヤーの種類1 ラスターとベクター

提供者 : セルシス    更新日 : 2018/12/06   
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使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.3.0

絵を描くとき、ひとまず「新規ラスターレイヤー」で作業してしまっていませんか?
CLIP STUDIO PAINTで作成できるレイヤーの種類とそれぞれの違いがわかると、もっと絵を描くことが便利で楽しくなります。今回は、レイヤーの種類のなかでも代表的な、ラスターレイヤーとベクターレイヤーの違いについて解説します。
※ベクターレイヤーは、CLIP STUDIO PAINT PRO/EXでのみ使用できます。

[1]ラスターレイヤーとベクターレイヤー
[2]ラスターとベクターの違い
[3]ラスターとベクターの仕組み
[4]ベクターレイヤーの便利な使い方

[1]ラスターとベクター

CLIP STUDIO PAINTで新しいレイヤーを作るには、以下の方法があります。

1.レイヤーメニューから作成する

[レイヤー]メニュー→[新規レイヤー]を選択します。


2.レイヤーパレットから作成する

[レイヤー]パレットの左上にある[メニュー表示]→[新規レイヤー]を選択します。

POINT
レイヤーパレットのアイコンからもレイヤーを作成できます。

①新規ラスターレイヤー
②新規ベクターレイヤー
③新規レイヤーフォルダー

[2]ラスターとベクターの違い

「新規レイヤー」といっても、これだけレイヤーの種類があると戸惑うかも知れません。
これらのレイヤーに、どのような役割の違いがあるのかを紹介します。
まずは「ラスターレイヤー」と「ベクターレイヤー」の違いです。

1.ラスターレイヤー

ラスターレイヤーでの描画例を見てみましょう。
ラスターレイヤーでは、線を描く、色を塗るといった絵を描きたいと思ったときに考えられるほとんどの作業が行えます。


フィルターなどを利用して、画像を加工しやすいのもラスターレイヤーの特徴です。


2.ベクターレイヤー

次は、ベクターレイヤーでの描画例をみてみましょう。
ベクターレイヤー上では「塗りつぶし」をしたり、ぼかしたり、といった、線を描く以外の操作は向いていません。
下左図は、ラスターレイヤーで描いた線と同じように見えますが、ベクターレイヤーの線は下右図のようにペンの軌跡を記録しています。下右図に見えているのは「制御点」と呼ばれる線のカーブを決めるためのポイントです。


下図のように、[筆]ツールなどを使用して「塗っている」様に見えるピンク色のほわほわとした描画も、実は「筆が塗っているように見える」線をパスに沿って描画しています。


[3]ラスターレイヤーとベクターレイヤーの仕組み

1.ラスターレイヤーの仕組み

デジタルで絵を描くときに、絵は最小単位の点(ドット)で記録されています。ラスターは「見えない方眼紙」に描かれた点の集まりで構成されいる画像です。

※この図ではわかりやすく解説するため格子模様を付けていますが、実際の画像に格子模様は表示されません。

ラスターレイヤーで絵を描くときは、ほとんど制約はありません。思い通りの作業を行うことができます。
ラスターレイヤーでは線画や塗りなどの作業を全て行うことができます。また、[筆]ツールなどで何度も色を塗り重ねるような塗り方や、瞳のハイライトなどの光の効果の描画などはラスターレイヤーの得意分野です。


色を混ぜたり色を薄く塗り重ねながら色を確かめたり、消しゴムや透明インクを使って線の形を整えていくような使い方はベクターレイヤーではできません。


万能に思えるラスターレイヤーですが、弱点もあります。ラスターレイヤーに描かれた画像は拡大・縮小などの[変形]機能を使用するとジャギー(ギザギザした粗いドット)が目立つようになります。


2.ベクターレイヤーの仕組み

絵を描くときにはペンやマウスで画面上のポインタを動かします。このポインタの軌跡と筆圧の情報(ストローク)をあわせて記録しているのが「ベクターレイヤー」です。


ベクターレイヤーでは、[選択]ツールの[オブジェクト]サブツールを使用すると、描画した線を選択できます。
線の選択中はベクター線の中心線とその中にある制御点を確認できます。


拡大・縮小などの[変形]機能を使用して線画を拡大しても、記録されているストロークの数値で再描画しているため、ラスターレイヤーのようなジャギーが発生しません。


基本的に、ベクターレイヤーは線を描画することが得意なレイヤーです。
ラスターレイヤーのように色を塗りつぶしたり、[フィルター]機能でぼかしたり、描画した線同士の色を混ぜたりすることはできません。

[4]ベクターレイヤーの便利な使い方

ベクターレイヤーは、ラスターレイヤーよりも使用できる機能に制限がありますが、反対に、ベクターレイヤーでのみ使用できる便利な機能もあります。

1.あとから線の編集をする

ベクターレイヤーに描いた線画は、後から線の太さやカーブを替えることができます。


[ツール]パレットの[線編集]ツールを使います。[サブツール]からどんな編集をしたいかを選びます。

編集前の線


[線を太くする/細くする]


[線のカーブを変更する]


[線を移動/回転する]


こういった「線」そのものを編集する機能はベクターレイヤーでのみ使用できます。

2.ベクターで背景線画を描く

もうひとつベクターレイヤーで使用できる便利な機能は、「線単位または線の交点まで」を単位として消しゴムをかけられることです。

下図のようなビル街を描くときのペン入れは、ベクターレイヤーの特徴を有効に活用できます。


ビルを描く手順
①線をある程度はみ出して描きます。


②[消しゴム]ツールのサブツール[ベクター用]を選択し、[ツールプロパティ]パレットで[ベクター消去]を[交点まで]に設定します。


③はみ出した線画部分に一部だけでもふれるように消しゴムをかけます。


④すると、消しゴムでふれた範囲に関係なく「線の交点」まで自動で線画が消去されます。


⑤同じように、他の部分もはみ出しを気にせず線画を描いていきます。


⑥最後にまとめてはみ出した部分を消去します。


ペンの勢いを殺さずに、はみ出しを気にしないでストロークできるため、効率よく作画作業を進められます。
ベクターレイヤーの長所を理解して、うまく活用してみてください。
コメント
sakura_k 2018/09/22 13:45
ありがたい!すっきり!
会津藩士 2017/12/14 11:01
(・ω・)やはりそう言う機能あったんだなあ、ラスターとベクターも理解してなかったわ。 今まで自分が使っていたのは皆ラスターレイヤーか。
yapple 2017/08/13 23:40
これはいい解説!(すっとぼけ)
あふか! 2017/04/09 14:41
ししし知らなかった…
ねぎら 2017/01/22 10:27
なるほど!使い分け方がわかりました!