同人誌入稿用原稿の基本

提供者 : セルシス    更新日 : 2016/12/01   
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使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.3.4

※EXのみで使用できる機能です。

印刷所に出して製本する場合、原稿を作る段階で守らなければならないルールがありますので、あらかじめよく確認しておきましょう。
ルールに基づいて原稿を作成しておかないと、例えば、大事なシーンのセリフが切れてしまっていたり、トーンが潰れたりしてしまっていたり。
果ては入稿間際になってからページ数が既定のものに満たないことに気づいて、結局締め切りに間に合わなかったり・・・、とせっかくの作品が台無しになってしまいます。
ここでは、マンガ作品の場合を例に、印刷所入稿時にトラブルを起こさない原稿作りについてご説明します。

[1]マンガ原稿用紙の仕組み
[2]ページ数のルール

[1]マンガ原稿用紙の仕組み

実際にマンガを描く前に、まずはCLIP STUDIO PAINT EXの用紙を例に、原稿用紙の仕組みについて覚えましょう。
通常、マンガ用の原稿用紙には、下図のように青い線が書かれています。


この青い線は、印刷するときの位置合わせや、製本をするときの目安など、印刷所の人が正しい位置に印刷、製本するために必要な線です。
描き手側もそれを意識した上で、絵やセリフの配置などに気を配る必要があります。
青い線は下記の5つの役割があります。

(1)基本枠
(2)トンボ
(3)仕上がり枠
(4)裁ち落とし幅(裁ち切り幅)
(5)センタートンボ

それぞれどのような役割をしているのか見ていきましょう。

(1)基本枠(内枠)

原稿用紙の真ん中にある大きな四角い枠を指します。「内枠」とも言います。


セリフや絵などを原稿の端の方に描くと、製本後に切れてしまったり、綴じられて見えなくなってしまうことがありますが、その予防のためにあるのがこの「基本枠」です。
大事なセリフや絵は、基本枠の内側に描くと、製本されても読みやすい場所に印刷されます。


もちろんマンガの見せ方として、ある程度基本枠にセリフや絵を被せたい場合もあると思います。
その場合は、後述の「仕上がり枠」に近づけすぎない程度に配置しましょう。
※市販の原稿用紙によっては、基本枠のサイズが異なるものもあります。
POINT 基本枠からセリフがはみ出す場合は、本の綴じる側に気をつけよう!
下図のように基本枠からはみ出したセリフがあります。
このセリフが本の外側になるか、内側(綴じる側)になるかでこのセリフの読みやすさが変わります。


セリフが本の外側に来た場合問題なく読めますが、本の内側(綴じる側)に来た場合少し読みづらくなります。


(2)トンボ

原稿用紙の四隅にある線の総称です。本を仕上がりサイズに断裁するときの目安となります。


POINT トンボの部分は、ベタで塗らないようにしましょう。
トンボ部分をベタで塗って入稿用のデータに書き出すと、真っ黒になってしまい、トンボ線が見えなくなります。


(3)仕上がり枠

トンボの内側の線の延長線にある枠が「仕上がり枠」です。
印刷され、本になったときに断裁されるラインで、ここまでの絵が印刷されます。(仕上がり時の本のサイズになります。)


例えば、通常A4の原稿用紙でマンガを作成した場合、仕上がり時のサイズはB5となります。


仕上がり枠までは印刷される範囲ではありますが、あまりぎりぎりの場所には大事な絵やセリフを描かないようにしましょう。
セリフが切れたり、綴じられて見えなくなってしまう場合があります。

(4)裁ち落とし幅(裁ち切り幅)

トンボの外側の枠を「裁ち落とし」といい、「仕上がり枠」から、「裁ち落とし」までの範囲を「裁ち落とし幅」といいます。
截ち落しとは、本の周囲を断裁するときに、[仕上がり枠]のラインがずれた場合の予備の領域です。


本は仕上がり枠に併せて裁断しますが、ミリ単位でズレが生じる場合もあるため、予備範囲としてこの「裁ち落とし幅」が設けられています。
そのため、裁ち落としまで絵が入る場合は、必ずこの裁ち落とし幅いっぱいに描くようにしないと、場合によっては微妙な隙間ができてしまいます。

裁ち落とし幅まで絵を描く処理の事を「塗り足し」といいます。この処理を施せば、端まできれいに印刷されます。


裁ち落とし幅は一般的に3mm~5mmですが、印刷所によって幅の指定が異なるため、入稿予定の印刷所のホームページなどであらかじめ調べておきましょう。

(5)センタートンボ

センタートンボとは、原稿用紙の上下左右にある、十字型の線です。
これは印刷所で原稿の中心位置を確認するために必要な線です。マンガ原稿作成時も、中心に絵を描きたい場合などは参考にできます。


[2]ページ数のルール

(1)作品のページ数

さて、もう一点作品を作る前に気をつけなければならないのが、作品のページ数です。
マンガのストーリーを最優先にして、好きな量を描ければそれが一番良いのですが、印刷所で製本するときはページ数の調整が非常に重要になってきます。
試しに、いくつかの印刷所のホームページで、同人誌制作の料金表を見てみましょう。
多くの印刷所がページ数16や20から受け付けており、4ページごと、あるいは8ページごとに値段が加算されている場合が多いです。


これは、原稿4ページ分・あるいは8ページ分を1単位として取り扱っている印刷所が非常に多いためです。
通常、無線綴じで製本をするときは、1枚の大きい紙に数ページ分両面印刷をし、それをページが合うように折ってから断裁するという方法がメジャーです。
そのため、4ページや8ページなど、2で割って偶数になる数字のページ数で一括りとしているのです。
例えば、8ページを1単位としている場合、まず下図のように表裏に4ページずつ印刷します。


これをページ順が合うように折って、断裁をしています。


そのため、「20ページの予定だったけどやっぱり2ページだけ追加したい…」と思っても、上記の方法で製本するため、どうしても余りのページが出てきてしまいます。
もしマンガの本編が中途半端なページ数で終わってしまった場合は、あとがきやおまけページを多く作ったり、目次を入れるなどして帳尻を合わせると良いでしょう。
どうしてもページ数の都合が付かない場合、印刷所によっては対応してくれる所もあるかもしれませんが、手間がかかる分、料金がかさんだり、納品が遅れる可能性があります。
ページ数は、必ず印刷所指定のものに合わせておくようにします。

(2)表紙の扱いについて

印刷物の表紙は、計4ページとして計算されます。
原稿そのものを用意するのは、表表紙と裏表紙のみであることが多いですが、実際はページカウントの都合上、
■表表紙(表1)
■表表紙の裏(表2)
■裏表紙の裏(表3)
■裏表紙(表4)
の4種類がそろって「表紙」扱いになります。
※カッコ内は印刷業界での一般的な呼称です。


CLIP STUDIO PAINT EXの[製本リスト表示]では次のように表示されます。表紙の裏と裏表紙の裏は印刷しないため、グレーで表示されます。


表紙が見開きの場合は次のように表示されます。


表表紙の裏・裏表紙の裏は、基本的には白紙のままです。何か印刷することも可能ですが、印刷所によっては追加料金などかかる場合もあるので、あらかじめ確認が必要です。
印刷所の料金表にあるページ数指定は、ほとんどが表紙込みの表記なので、マンガ本文のページ数を設定するときは、必ず表紙4ページ分があることを前提に調整しましょう。
POINT
CLIP STUDIO PAINT EXでは、下図のような表表紙と裏表紙を1枚に描いた画像を扱うことができます。


その際、本の厚みにより変わる「背幅」の設定をすることができます。


※CLIP STUDIO PAINT EXでの原稿制作については「機能紹介!トラの巻>_同人誌入稿用データー出力を使いこなす」を参照してください。
関連ページも併せてご覧ください
同人誌入稿用語集
同人誌入稿用データー出力を使いこなす
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