アナログ原稿を使う①原稿のスキャン
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CLIP STUDIO PAINTでは下描きからすべてデジタルで作業をする以外に、下描きやペン入れまでアナログで描いた原稿を読み込んで、仕上げの作業や着色をCLIP STUDIO PAINTで行うこともできます。
今回はペン入れまでをアナログで行い、その原稿をCLIP STUDIO PAINTに読み込んで作業する手順をご紹介します。
[1]アナログ原稿の準備
[2]CLIP STUDIO PAINTの準備
[3]アナログ原稿のスキャン
[4]スキャン済み汎用画像データの読み込み
[5]線画の調整
[1]アナログ原稿の準備
まず、CLIP STUDIO PAINTに読み込むアナログ原稿を用意します。
原稿用紙に下描き、ペン入れをして、消しゴムをかけておきます。漫画でもイラストでも、消しゴムをしっかりかけ、キレイな原稿にしておくと、CLIP STUDIO PAINT上で作業しやすくなります。
原稿が完成したら、CLIP STUDIO PAINTに原稿を読み込んでいきます。
[2]CLIP STUDIO PAINT側の準備
完成した原稿をスキャンして、CLIP STUDIO PAINTへ読み込みます。
原稿を読み込む前に、スキャナのドライバをインストールして、スキャナをコンピュータに接続しておきます。
※スキャナドライバのインストール方法については、お手持ちのスキャナのマニュアル等をご確認ください。
※Windowsをお使いの場合、TWAIN対応のスキャナのみご利用いただけます。
スキャナが複数ある場合は、[ファイル]メニュー→[読み込み]→[スキャン機器の選択]で使いたいスキャナを選択しておきます。
原稿の読み込みには、スキャナから直接CLIP STUDIO PAINTへ読み込む方法と、スキャンした汎用データをCLIP STUDIO PAINTに読み込む方法がありますが、いずれもページやキャンバスを作ってから、そこにスキャンしたデータを貼りつける手順です。
最初に、[ファイル]メニュー→[新規]を選択し、原稿と同じサイズの新規ファイルを作成します。
[新規]を選択するとダイアログが表示されますが、以降の工程は作品の用途によって異なります。
イラストなど、単ページの場合
[作品の用途]で、[イラスト]を選択すると白紙の用紙が作成されます。
カラー原稿を作成する場合は、[解像度]を[350dpi]、[基本表現色]を[カラー]にします。
モノクロの印刷原稿の場合は、[解像度]を[600dpi]以上、[基本表現色]を[モノクロ]にします。
複数ページの場合【EXのみ】
[作品の用途]で[コミック]を選択すると、タチキリや内枠などのある漫画原稿用紙が作成され、複数ページをまとめて管理することができます。作品によって、用途を選んでください。
[コミック]を選んだ場合、[複数ページ]をチェックすると、複数のページをまとめて作成、管理できます。
[ページ数]は、右側のプルダウンから選択できるほか、直接数値を入力することもできます。
[ファイル名]を入力し、[参照]をクリックして作品ファイルの[保存先]を決めます。わかりやすい場所に保存しましょう。
設定が完了したら、[OK]をクリックすると、作品ファイルが作成されます。
作品ファイルを作成したら、スキャナを使って原稿を読み込んでいきます。
複数ページの作品ファイルを作った場合は、ダブルクリックで、原稿を読み込みたいページを開いておきます。
[3]アナログ原稿をスキャン
上部[ファイル]メニュー→[読み込み]から、[スキャン]を選択します。
[スキャン]を選択すると、スキャナが起動します。
作品ファイルの解像度に合わせて、グレースケール(白黒)でスキャンします。
※スキャン方法はお使いのスキャナによって異なるためここでは省略します。
画像が読み込まれました。
漫画とイラストの線画
商業誌や同人誌など、印刷するモノクロ漫画は600dpi/モノクロ2階調(2値)、カラーイラストは350dpiが基本です。
解像度が低いときれいなモノクロ2階調の原稿にならないため、印刷用のモノクロ原稿は600dpi以上にしておくようにしましょう。
連続スキャン【EXのみ】
CLIP
STUDIO PAINT EXには、複数ページの原稿を順番に読み込む機能があります。
作品ファイルに連続で画像を読み込みたい場合は、[ファイル]メニューの[連続スキャン]を選択します。
スキャナが起動します。スキャナに原稿をセットし、読み込みたい原稿を順番にスキャンしていきます。
※スキャン方法はお使いのスキャナによって異なるためここでは省略します。
原稿のスキャンが終了したら、スキャナのダイアログを閉じます。
スキャナのダイアログを閉じると、[連続スキャン]ダイアログが開きます。
①スキャンした画像の読み込みを開始するページを設定します。
②読み込む画像の設定を選択します。
[ラスターレイヤーとして読み込む]を選択すると、そのまま仕上げ作業を行うことができます。
[下描きレイヤーに設定する]を選択すると、下描きとして読み込みます。
※このレイヤーの設定は、後で変更することができます。
[4]スキャン済み汎用画像データの読み込み
別のソフトで描いた画像やスキャンしておいた汎用データ(jpeg、bmp、PSD等) をCLIP STUDIO PAINTに読み込んで、任意のキャンバスに配置できます。
上部[ファイル]メニューの[読み込み]から、[画像]を選択します。
読み込みたい汎用データを選択すると、キャンバスに配置されます。
現在開いているキャンバスに画像を配置したい場合には、上記の[ファイル]メニューの[読み込み]で配置するか、または[レイヤー]パレットにドラッグ&ドロップする操作でも配置できます。
※[ファイル]メニュー→[開く]や、キャンバス上に画像をドラッグ&ドロップすると、別の新規キャンバスに配置されます。
読み込んだ原稿の位置やサイズを[操作]の[オブジェクト]ツールで調整します。
また、CLIP STUDIO PAINT EXでは、[ファイル]メニューの[一括読み込み]を選択すると、対応形式の画像ファイルを連続で作品ファイルに読み込むことができます。
※対応形式は、BMP・JPEG・PNG・TIFF・Targa・Adobe Photoshop ドキュメント(拡張子:psd)・Adobe Photoshop ビッグドキュメント形式(拡張子:psb)です。
原稿をCLIP STUDIO PAINTに読み込んだら、次は読み込んだ原稿の調整をしていきます。
[5]線画の調整
読み込んだ画像を使いやすいように調整します。
[ファイル]メニュー→[読み込み]の[スキャン]や[開く]から読み込んだ画像は、[画像素材レイヤー]として読み込まれています。
[画像素材レイヤー]は、通常の[ラスターレイヤー]や[ベクターレイヤー]と違い[レイヤープロパティ]パレットで[表現色]の設定や、[閾値]の調整などの設定はできますが、線を消したり、描き足したり、ベタを塗ったりするなど、レイヤーに直接描画することができません。
そこで、読み込んだ後、原稿に加筆修正したい場合は、レイヤーを[ラスターレイヤー]に変換(ラスタライズ)します。
※[ラスターレイヤー]は、直接描画したり消したりできるレイヤーです。ラスターレイヤーについては、機能解説!トラの巻「レイヤーの種類1 ラスターとベクター」を参照してください。
調整にはいろいろな方法がありますが、ここでは一例を紹介します。
モノクロ原稿の場合
1. [レイヤー]パレットで、読み込んだ原稿のレイヤーを選択します。
2. 読み込んだ画像は、[レイヤープロパティ]で調整します。
3. 印刷する、モノクロ漫画用の場合は、[レイヤープロパティ]で、[減色表示]のチェックのみをONにします。
※表現色[モノクロ]のキャンバスに読み込まれた画像は自動的に[トーン化]されています。[トーン]のチェックがONの状態になっている場合はOFFに変更します。
4. 次に、[表現色]を[モノクロ]にします。
5. [表現色]のアイコンから[黒]をクリックして、[黒]のみが選択されている状態にします。
[表現色]を[黒]のみにすると、線以外の部分が透明になり、線画のみ描画された状態にできます。
6. [色の閾値]で線の太さを調整します。
7. [色の閾値]は、数値を上げると線が太く、濃くなります。
8. 調整が終わったら、[レイヤー]メニューの[ラスタライズ]でレイヤーをラスタライズします。
カラー原稿の場合
1. [レイヤー]パレットで、読み込んだ原稿のレイヤーを選択します。
2. 読み込んだ画像は、[レイヤープロパティ]で調整します。
3. [減色表示]のみにチェックをし、[表現色]で[グレー]を選択します。
4. [表現色]を[黒]のみにすると白い部分が透明になり、線だけを抽出できます。
5. [レイヤー]メニューの[ラスタライズ]でレイヤーをラスタライズして完成です。
透明ピクセルをロック
線画レイヤーは修正と加工が終わったら、[透明ピクセルのロック]をしておきましょう。[透明ピクセルのロック]をしておくと、透明部分に描き込むことができなくなり、うっかり作画レイヤーに描き込んでしまったり、色を塗ってしまったりすることを防げます。[透明ピクセルのロック]は、クリックでいつでもオンオフを切り替えることができます。
スキャンした画像が暗くなってしまっていたり、ぼやけていたりしてキレイに線画にならない場合の調整方法については、「アナログ原稿を使う_原稿の補正・ごみ取り」で解説します。
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