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第1回:コミックスタジオってどういうソフト?

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 12016回 総合評価 : 6件

ComicStudio(コミックスタジオ)は、株式会社セルシスが制作、販売している漫画原稿制作ソフトです。略して[コミスタ]とも呼ばれてます。現在(2010.04)の最新バージョンは、Windows、Mac版ともに4.5.1です。
パソコン上で絵を描くための[お絵かきソフト]と呼ばれるものは他にも沢山ありますが、このコミスタは[漫画]を描くことに特化して作られているソフトです。

※ 使用したバージョン : ComicStudio Ver.4.5.1

 

[1] コミスタの便利な機能

コミスタは、コマを割る(枠線を引く)ことが簡単にでき、また複数のページを[作品ファイル]として一つのファイルで管理できます(99ページまで)。作品ファイルでページの入れ替えや増減などもできますし、テキスト(ネーム)をページから他のページに移動させることも簡単にできます。
また、ネームや下描きからペン入れ、仕上げまですべてパソコン上で作業することができます。
でも、ペン入れまではアナログで紙に描いたものを、スキャンしてパソコンに取り込んで、トーンなんかの仕上げだけデジタルでやってみたいと思っている人も多いんじゃないかと思います。
コミスタはこういう人にもお勧めです。
ベタ塗りやトーン貼りなどの仕上げ作業は、コミスタは得意中の得意です。

また、パソコンで描く作業をする場合も、集中線などの効果線や背景パースを描くための定規など便利な機能がそろっています。

 

[2] コミスタで描ける原稿の種類

1.モノクロ二値原稿

 

コミスタが一番得意なのは[印刷を目的にしたモノクロ二値原稿]の作成です。主線がすべて二値化されていて、トーンなどのアミ点も全部二値アミ点になっている、という画像データを作るのが一番得意というわけです。この[二値化]とか[二値アミ点]という言葉は、この後おいおい詳しく説明していくつもりですので、今よく解らなくても気にしなくてOKです。
すごくおおざっぱに言えば、コミスタは[アナログ原稿と変わらない印象の原稿]を作成するのが一番得意というわけです。

 

2.グレースケール原稿

 

最近のデジタル仕上げの原稿ですと、グレーの部分はグレーのままのいかにもデジタルっぽい[グレースケール]仕上げというのもあります。
これももちろん、コミスタで作成することができます。
ただ、コミスタは二値化原稿の作成を基本にしてデフォルトの設定がなされているので、グレースケール原稿にするための設定部分を理解している必要があります。また、エアブラシのような描画をするツールがPhotoshopなどに比べてちょっと使いにくい点があるので、全体的にふんわりぼかす陰影をつけたいような場合などはちょっと作業がやりにくいかもしれません。

 

3.フルカラー原稿

 

フルカラーの原稿も、一応扱うことはできます。
ただしコミスタのカラー機能は本当に補助的なものなので、他のソフトで描いたカラーイラストを読み込んだりするのにはそんなに問題ありませんが、コミスタでカラーイラストを描くのはちょっと色々と不自由な点が多いと思います。色をぼかしたり混ぜたりもある程度できなくはないんですが、本当に[できなくはない]というレベルですので。また、コミスタにも[レイヤー]はもちろんありますが、[乗算]や[オーバーレイ]といった[レイヤーモード]の概念がないので、そういう面でもカラーイラストには向いているとは言えません。
ただ、セル塗り風の、色をぼかさず塗りつぶしていく塗り方は得意なので、そういう塗り方でカラーのカットやカラー漫画などを描くには向いています。

 

[3] 目的に合わせてデータを入出力できる

印刷目的でない漫画というのも最近は多いかと思いますが、Web発表用の漫画というのも、もちろん描くことができます。
ただ、コミスタはいったん作成した[用紙]のサイズを後から変更することはできません。[ページ]という概念のないWeb用漫画を描く場合、どんどん下に用紙を延ばしていって描き足していく、という描き方をする人もいると思いますが、コミスタではこういう描き方はできません。
また、コミスタは印刷物用データの作成が前提なので、基本的に高い解像度(600dpiや1200dpi)の画像を扱っています。Webに使用する画像としては解像度が高すぎるので、最終的に画像データとして[書き出す]際に、適切な解像度(72dpiか96dpi)に下げて書き出す必要があります。ある程度[解像度]とは何かを理解している方がいいと思います。この[解像度]の話も、また改めてご説明していきたいと思います。

もうちょっと突っ込んだ説明をしますと[コミスタ]は画像ソフトの中でもラスターデータをメインに扱う[ペイントソフト]に分類されます。Windowsの[ペイント]や[Photoshop]、お絵かき掲示板なんかと同じです。一般的に[お絵かきソフト]と言われているものは、大抵この[ラスターデータ]をメインに扱う[ペイントソフト]に分類されます。[ラスター]というのは、パソコンが扱う画像の種類のことです。
デジタルで扱う画像には、この[ラスターデータ]以外に[ベクター]という全然別の理屈で描画されている画像があります。ベクターデータをメインで扱う画像ソフトは[ドローソフト]と呼ばれます。[Illustrator]などがこれに分類されます。
でもラスターをメインで扱う[ペイントソフト]でも、Photoshopなどのようにこの[ベクター]形式も補助的に使えるソフトは多いです。
コミスタも、この[ベクター形式]の画像を扱うこともできます
ラスターと同じようにペンでベクター画像として描くこともできますし、Photoshopにあるようなパスの使い方もできます。ただコミスタ上の画面表示がラスターと変わらないので初心者にはちょっと意味が解りにくいかもしれません。またコミスタに限りませんが、ベクターの作図や操作はちょっと人によってとっつきにくかったりもします。
もちろんコミスタのベクター画像も描画したあとに線を移動させたり太さを変えたりすることができますが、コミスタのベクターには[塗り]がありません。また、コミスタ上のベクターデータを、ベクターのまま他形式に書き出すことはできません。他形式ファイルへの書き出しはラスターオンリーで、ベクター部分はすべてラスタライズされて書き出されます。他形式のベクター画像からのベクターのままの読み込みもできません。

この[ラスター][ベクター]に関しては、また後ほど改めてご説明したいと思いますので、今ここを読んで意味が解らなくても気にしなくてかまいません(笑)。
とりあえず初心者のうちは[ラスター画像]がどういうものかがなんとなく解れば大丈夫ですので、この後追ってご説明して行きます。この先のコミスタの使い方のご説明も、主にラスター画像が中心になると思います。ベクターに関しては最初のうちは[ラスター以外に、なんかベクターっていう全然違う理屈の画像形式もあるんだな]と思っていればOKです。

※第1回に掲載している作例画像は、印刷用の600dpiで書き出した後、PhotoshopでWeb用の72dpiに解像度を下げています。

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