トーンを使いこなす トーンゆがみテクニック編 3
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※ 使用したバージョン : ComicStudio Ver.4.5.4
今回は丸い場所にトーンを貼るのに便利な[トーンゆがみ]の[周辺ゆがみ]を使ったテクニックを実例を使い更に詳しくご説明します。
※[トーンゆがみ]機能はComicStudio EXのみの機能です。
[1] 球面に合わせてトーンを変形
[2] パースのかかった球面に合わせてトーンを変形
[1] 球面に合わせてトーンを変形
球面にトーンを貼ると球面に見えなくなります。
小さな絵ならば問題ないのですが、大きく描いたものは特に感じます。
こんな時は、[トーンゆがみ]の[周辺ゆがみ]を使うと簡単に球面に合ったトーンを貼れます。
トーンを貼ります。
ここで注意するべき点は、丸くなっているのは上のトーンであれば上、下のトーンであれば下というように、片方しか丸くなっていないという点です。
通常の作業と同じように[周辺ゆがみ]機能を使ってしまうと下図のように、ゆがんでほしくないところまでゆがんでしまいます。
[周辺ゆがみ]機能は選択範囲の端をゆがませる特徴を持っているので、これをうまく利用しましょう。
(1)[レイヤー]パレットの[新規レイヤー作成]ボタンをクリックし[選択範囲レイヤー]を作成します。
(2)[選択範囲レイヤー]が選択されていることを確認し、[塗りつぶし]ツールなどを使い、下図のようにトーンの貼ってある領域と下側に多めに塗ります。
[選択範囲レイヤー]とは、選択範囲レイヤーに塗った場所を選択範囲に変換したり、選択範囲を選択範囲レイヤーに変換して選択範囲を保存できる便利なレイヤーです。
詳しくは、機能解説!トラの巻「選択範囲レイヤーを使いこなす」をご覧ください。
(3)[レイヤー]パレットの[レイヤーを選択範囲に変換]ボタンをクリックして[選択範囲レイヤー]に塗った部分を選択範囲に変換します。
(4)[選択範囲レイヤー]は邪魔になるので非表示にします。
選択範囲の端がゆがむのならば、このようにゆがませたくない場所は選択範囲を大きめに作るとゆがみません。
※選択範囲を赤く表示してあります。
選択範囲が作成できたので、トーンを変形しましょう。
(1)[編集]メニューから[トーンゆがみ]→[周辺ゆがみ]を選択します。
(2)[周辺ゆがみ]ダイアログの[プレビュー]と[点も変形させる]にチェックを入れ、絵に合ったゆがみになるよう設定を変更します。
トーンを球面に合わせゆがませることが出来ました。
同じようにマイクの下もゆがませれば完成です。
[2] パースのかかった球面に合わせてトーンを変形
パースのかかった球面に合わせてトーンを変形するには、[トーンゆがみ]の[メッシュ変形]や[自由変形]などと[周辺ゆがみ]を組み合わせることで、球面に合ったトーンを貼れます。
マイク上部
ではマイクの上部から作業しましょう。まず網点にパースをかけます。
(1)ツールパレットから[矩形選択]ツールを選択します。
(2)一番手前になるところが中心になるように横長の選択範囲を作成します。
[Ctrl]キーを押しながら選択範囲を作成すると、中心から選択範囲を作成できます。
(3)[編集]メニューから[トーンゆがみ]→[メッシュ変形]を選択します。
(4)[プロパティ]パレットの[点も変形させる]にチェックを入れ、パースに合うように変形させます。
パースに合わせ網点を変形することが出来たので、次にマイクの丸みに合わせて[周辺ゆがみ]を適用していきます。
まずは、下図のような円柱形に合わせて変形させます。
(1)下図のように変形してほしくない方向に多めに選択範囲を作成します。
前項の作業のように[選択範囲レイヤー]を作成して選択範囲を作ると楽に作業できます。
※選択範囲を赤く表示してあります。
(2)[編集]メニューの[トーンゆがみ]→[周辺ゆがみ]を選択します。
(3)[周辺ゆがみ]ダイアログの設定を変更します。
[プレビュー][ディザリング][点を変形させる]にチェック
[処理する辺]:[2辺]
その他の数値は画面を確認しながら変更します。
円柱に合わせて変形すると一気に丸みが感じられるようになりました。
円柱の向きが真横でない場合、[軸方向]を変更し対応することができます。
たとえば下図のように斜めの円柱に合わせトーンをゆがめたい場合
この円柱はだいたい45°ほど傾いていると思われるので、[軸方向]を「45」もしくは「225」に設定すると、円柱に合わせてトーンをゆがめることができます。
次にマイクの頭の部分の丸みに合わせて変形させます。
(1)マイクの頭の部分以外は変形しないように、下図のように選択範囲を作成します。
※選択範囲を赤く表示してあります。
ここで変形してほしいのがマイクの頭部分だけだからということで、下図のような選択範囲を作成して[周辺ゆがみ]を実行すると、選択範囲に急な角度がついているため、変形にも影響がでます。
選択範囲の縁は滑らかにさせることが綺麗に変形させるコツです。
(2)[編集]メニューの[トーンゆがみ]→[周辺ゆがみ]を選択します。
(3) [周辺ゆがみ]ダイアログの設定を変更します。
今回は丸い部分なので[処理する辺]を[4辺(重ね)]に設定します。
マイク上部のパースのかかった球面にあわせトーンゆがませられました。
マイク下部
マイク下部の[トーンゆがみ]で気をつけなければいけない所は、最下部が見えていない所です。
マイクの最下部は線が収束している場所です。
マイク上部と同じような作業だけでは下図の左のように、間違った形にトーンが変形してしまいます。
ここでは上図の右のようにトーンを変形させるコツをご紹介します。
(1)トーンを下図のように少し大きめに貼ります。
※トーンの貼ってある場所を青く表示してあります。
(2)[編集]メニューから[トーンゆがみ]→[自由変形]もしくは[遠近法]を選択します。
(3)パースに合わせて変形させます。
(4)トーンレイヤーのアイコンを[Alt]キーを押しながらクリックして、選択範囲を作成します。
※選択範囲を赤く表示してあります。
(5)[編集]メニューの[トーンゆがみ]→[周辺ゆがみ]を選択します。
(6)[周辺ゆがみ]ダイアログを設定し、形に合わせトーンを変形させます。
このままでは線が収束している場所が見えてしまっているので、更にトーンを変形させます。
(7)[編集]メニューから[トーンゆがみ]→[自由変形]を選択します。
(8)線が収束している場所が見えなくなるよう、右に少しだけ拡大します。
この時、トーンが余分に貼っていないと、変形されていないトーンが見えてしまい始めからやり直しになります。
あとは、余分に貼ったトーンを削除し、[線数]や[濃度]をイメージに合うよう変更すれば完成です。
[トーンゆがみ]で変形させたトーンは、[線数]や[濃度]を変えても変形が引き継がれることはもちろん、網点から万線にというように[種類]を変更したり、グラーデーショントーンに変更したり、背景トーンに変更しても引き継がれます。
トーン設定の変更方法は、機能解説!トラの巻「トーンを使いこなす基本編2」をご覧ください。
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