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パスを使いこなす 実践編3

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30    作家 : 杉山ゆずき
閲覧数 : 6309回 総合評価 : 1件

※使用したバージョン : ComicStudioEX Ver.4.5.4

 

[1]パスの再利用

さて、作成したパスには、どのような再利用方法があるでしょうか。
一例として、先ほどまで作成していた絵のパスを再利用してみたのが、下図です。

この図にある3つの画像は、全て先ほどのパスを流用しつつ作成したものです。

画像①は、髪の毛だけを作り直し、ポニーテールにしたもの。
画像②は、さらにそこから頭と髪の角度を変えたもの。
画像③は、①と①を反転させたものを組み合わせ、表情と髪の毛を少し変更したものです。なお、画像③は線画の完成までの作業を行いました。

主な作成方法は後述しますが、一部のパスを変更するだけで簡単に複数のバリエーションを作成できるのが、パスの利点です。漫画原稿のように、ほぼ同じアングルの顔やモノが複数回出てくる…という時に、予めパスを作成しておくと、イチから絵を描く手間が多少省けるというわけです。

これはベクターレイヤーに描いた絵でも同様のことができますが、線を意図通りに変形させるのはパスの方が容易な面もありますので(後述しますが、不得手な部分もあります)、それぞれの利点を活かしながら素材を作り溜めておくと良いでしょう。

 

(1)パスの保存と配置

初めに、パスの再利用方法をざっと確認しておきましょう。

この講座の方法ではベクターレイヤーにパスの定規を作成していますので、該当するベクターレイヤーを保存しておけばいいことになります。試しに、先ほどの絵のパスを保存します。

なお、保存する際はパスの改変をすることも考慮して、ベクターレイヤーに転写する前の段階で保存しておくと安心です。

この絵のパスは複数のベクターレイヤーに作成しているので、まずは必要なレイヤーをフォルダにまとめてしまいます。

ここではパスのレイヤーだけにしていますが、下書きのフォルダも一緒にまとめてしまっても良いでしょう。

その後、このフォルダを[素材]パレットの「マテリアル」→「ユーザー」フォルダにドラッグすれば、保存完了です。反対に、[素材]パレットからキャンバス上にドラッグすると、保存したデータが配置されます。

上図のように、「ユーザー」フォルダの中にさらに「パス」というようなフォルダを作っておくと、管理がしやすくなります。

 

(2)画像①の作り方

では、画像①の作り方です。

まずは、ポニーテール用の下書きを描きます。
なお、手順としては、ベクターレイヤーに線を転写する前の段階まで遡って作業しています。

先ほどまで作っていた「髪」のベクターレイヤーを選択し、不要な箇所の頂点を[定規選択]ツールで選択して削除します。

「髪」のパスを下書きに沿って作成し直し、新しく髪留めのリボンのパスも「小物」レイヤーに作成しました。

これで画像①は完成です。

 

(3)画像②の作り方

画像②も、まずは下書きを描きます。

この絵のような横顔の場合は、顔と髪の下書き用レイヤーを回転させると、手軽に頭の角度を変えられますね。

パスは、画像①のものを変形させて作成します。

パス定規を回転させるには[定規ハンドル]を使うのですが、たとえば「髪」のベクターレイヤーを選択し、[定規ハンドル]を表示させると下図のようになります。

複数のパスが存在するために、ハンドルもたくさん表示されているのです。これを1つにまとめるには、「髪」にある全てのパスの頂点を[定規選択]ツールで選択すればOKです。こうすることで、表示される[定規ハンドル]は、選択した全ての頂点の中心になります。

ちなみに、この状態で[定規ハンドル]を操作すると、選択している「髪」の頂点だけが回転してしまって、よろしくありません。

それなら、複数のレイヤーを選択して回転すれば良いではないか…というと、これもまた上手くいきません。最初に選択したレイヤーのパスだけ回転するのです。

では、どうするかというと、頭に関係する全てのパーツのパスを、1つのレイヤーにまとめておけば万事解決です。この講座の方法だと、パスはベクターレイヤーにサブ定規として作成されているので、サブ定規レイヤーを1つのベクターレイヤーにまとめれば良いことになります。

これを行うには、まずはサブ定規をレイヤー化します。「顔」「髪」、髪留めがある「小物」の各レイヤーの[プロパティ]パレットで、[サブ定規]の項目[レイヤー化]のチェックをONにします。

[レイヤー]パレットで、「髪」「小物」のサブ定規を「顔」レイヤーに移動させます。サブ定規の区別がつきやすいように、移動させる前に名前を変えておきます。

「顔」レイヤーに頭関連のパスの頂点が全て集まりましたので、パスの頂点をすべて[定規選択]ツールで選択し、下書きを参照しながら回転させます。

「顔」レイヤーにサブ定規を集めたままだと、パスが多すぎて見づらかったり操作しにくくなってしまうので、サブ定規を元のレイヤーに移動させます。[定規ハンドル]も非表示にしましす。

その後は、下書きに沿うように各レイヤーのパスを調整すれば、画像②の完成です。

 

(4)画像③の作り方

それでは、最後に画像③の作り方です。せっかくですので、画像③は線画の仕上げまでやっていきます。

ここでポイントになるのがパスの左右反転のやり方なのですが…残念ながら、パスを左右反転させる方法はありません。ですので、ベクターレイヤーに線を転写してから絵を左右反転させることになります。これが定規の不得手な点ですね。

最初に、下書きを作成します。

左側の女の子は、画像①の下書きを左右反転させて作りました。右側の女の子は、目を閉じるなど表情を少し変更して、髪形もちょっとだけ変えました。

とりあえず、右側の女の子のパスを作成します。

画像①のパスを流用し、「顔」や「髪」の変更点を反映させます。また、右腕のひじから先のパスは不要なので、削除します。

引き続き、左側の女の子です。こちらも画像①のパスを流用します。

まずは、反転して右向きになっている下書きを、もう一度反転させます。この下書きは後でもう一度反転させるので、位置がずれないように単純に左右反転だけを行います。

流用したパスの位置を下書きに合わせ、「髪」の変更点を反映させます。こちらも、右腕(完成図では左腕)のひじから先のパスは不要なので、削除します。

パスの調整が終わったら、下書きを左右反転させて元の場所に戻します。

全てのパーツのパスの線をベクターレイヤーに転写します。

その後、ベクターレイヤーも全て選択して左右反転し、下書きの位置に合わせます。

ここから先は、ベクターレイヤー上の作業になります。

とりあえず、左側の女の子の不要な線を、[交点までを消去]に設定した[消しゴム]ツールで削除します。

同様に、右側の女の子もパスの線をベクターレイヤーに転写し、こちらも不要な線を[消しゴム]ツールで削除します。

さらに、左右の女の子を同時に表示させて、二人が重なっている部分の不要な線を削除します。どちらかのレイヤーをまとめて[カラー表示]にしておくと、作業しやすいと思います。

続いて、線に強弱をつけるために[線幅修正]ツールを、二人に対して使用します。

[線幅修正]ツールの使用を終えました。

目の細部や服のしわなど、パスだけでは描ききれない箇所を[ペン]ツールで加筆します。ベクターレイヤーではベタは塗れないので必要に応じて、ベクターレイヤーをラスターレイヤーに変換します。

これで線画の調整が終わり、画像③の完成です。

以上で講座を終わります。
少しでも参考になったという点があれば嬉しいです!

作者プロフィール:杉山ゆずき  (サイトURL:http://yuzukiya.sakura.ne.jp

ComicStudio暦6年くらいの同人作家。
萌えな娘さんを描くのが好きですが、趣味は戦争ゲームとかエモな洋楽など…なんか萌えじゃないですね。

コメント
hannya_tan 2015/08/05 11:03
(4)画像③の作り方につきまして、転写や反転の方法が不明なためプロセスを再現することが出来ませんでした。可能でしたらもう少し具体的な方法の解説をよろしくお願いします。