パース定規の使い方 実践編2
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※使用したバージョン : ComicStudio Ver.4.5.6
・パース定規を使いこなすために
前回に引き続きパース定規を利用した実践的な描画方法を紹介しましょう。
[1]アイレベルの回転
[2]スナップする消失点を切り替える
[3]少し角度の違う道を描く
[4]パース定規を使わない
[5]パース定規で斜投影図法を利用する
[1]アイレベルの回転
1点透視のパース定規では、ひとつの消失点に向かう直線+アイレベルと水平な直線+垂直な直線を描くことが可能です。
このときアイレベルを傾ければ、下図のように斜め向きの構図も対応できるようになります。
アイレベルを斜めに傾けるにはどうすればいいのか手順を見ていきましょう。
(1)アイレベルを回転させるときは、[定規選択]ツールを選びます。
(2)パース定規の消失点付近で右クリックメニューを表示して[アイレベルを水平で固定][アイレベルを現在の位置で固定]を両方ともOFF(チェックマークが表示されない状態)にしておきます。これでアイレベルの角度が変更できるようになります。
(3)1点透視パース定規の場合、アイレベル上の(使用されていない)消失点をドラッグしてアイレベルの角度を変更します。
2点透視パース定規の場合、2つの消失点がアイレベル上にあるので、消失点をドラッグしてアイレベルの角度が変更できます。
2点透視のパース定規では、垂直方向(上図縦の直線)の直線を描くことができます。上図の様な構図で2点透視の作画を行うのと同様に…
アイレベルを傾けた状態でパース定規を設定すれば、構図そのものを傾けて作画することが可能です。このように1/2点透視のパース定規では「アイレベル」の角度を調整して、斜めを向いた構図に対応することが可能です。
[2]スナップする消失点を切り替える
パース定規を使っていると、どの消失点にスナップしているのか判りにくくなることがあります。
下図の様に左右どちらの消失点にスナップしているのかすぐには判らない…なんてことも…。
・パース定規スナップ中に描き始めの点に戻ると方向を決定し直す
基本ワザとして、スナップしている消失点を間違えた場合に一度ペンを描き始めの位置まで戻して、違う消失点にスナップし直す方法があります。
スナップのやり直しは[ファイル]メニューから[環境設定]を選択します。
[環境設定]ダイアログから[ページ]→[定規]の[パース定規スナップ中に描き始めの点に戻ると方向を決定し直す]がONになっているときだけ有効です。
・消失点ごとにスナップを無効化
微妙な位置での線画をたくさん描くときはスナップのやり直しだけでなく、消失点ごとのスナップを一時的に無効にしてしまう方法が便利です。[定規選択]ツールを選び、消失点付近で右クリックメニューを表示して[スナップを無効化]を選びます。
意図しない消失点にスナップされて困ってしまう場合は、必要の無い消失点を無効にしておけば作業が効率よく進められますね。
消失点のスナップの切り替えにはショートカットキーも設定されています。[ctrl]+[←][↑][→]でそれぞれのスナップを切り替えられます。
ただし、消失点の位置が入れ替わってもショートカットキーはそのままなので、気をつけてくださいね!
[3]少し角度の違う道を描く
パースに定規を使うと、地平線に向かう道を描くのはとても簡単です。この道に変化をつけて描く方法を紹介しましょう。
1点透視のパース定規を作成します。消失点とアイレベルが離れているので、消失点を移動して、アイレベル上に移動しておきましょう。
水平線にある消失点に向かう一本の道を描きます。
これでまっすぐな道が描けました。この道を途中で角度を変えてみます。地平線まで伸びる道路は、必ず消失点に向かって最後は「点」になってしまいます。パース定規で角度の違う道路を描く時はアイレベルを利用して消失点を地平線上に追加して、角度の違う道を描きます
消失点を追加するには、[定規選択]ツールを選んだ状態で消失点付近で右クリック、メニューを表示して[パース定規の詳細設定]を選びます。
移動した消失点に向かう線を描くと、少し曲がった道路がパースに沿って描けます。アイレベル上を移動する消失点で角度の違う物を描いたりする場合には、[消失点の追加]を利用して消失点そのものを追加してしまうと便利ですよ。消失点へのスナップのON/OFFと組み合わせて使ってみてください。
[4]パース定規を使わない
パース定規で描画すると、パースに沿った描画を行えます。しかし、パース定規を使った描画は「きれいすぎて自分の絵柄に合わない」と感じることがあるかも知れません。
そんな場合にオススメするのが、[平行線定規]を使ったペン入れです。
下描きはパース定規を使ってしまいましょう(時間の短縮にもなります)。いつもの下描きよりも線をまとめておくと後の作業が楽になりますよ。
ペン入れの時は、平行線定規を使います。新しい定規レイヤーを作り、[定規]メニュー→[特殊定規の作成]→[平行線定規の作成]を選択、平行線定規を作成します。パース定規のある定規レイヤーは非表示にしておきましょう。
平行線定規は[定規選択]ツールでドラッグした角度に設定できます。
[ペン]ツールを使っている状態でも、[ctrl]キーを押している間は[定規選択]ツールに切り替わります。下描きの線の角度と平行線定規の角度を[ctrl]キーを押しながらあわせて、[ctrl]キーから指を離してペン入れを行います。
この作業を繰り返します。平行線定規をその都度あわせることで、わずかな「ずれ」が生じます。完璧過ぎる線よりもこんなちょっとした「わずかなずれ」があった方が「手で描いた」雰囲気が出て絵柄に合う場合もありますよ。
「汚し」の線などを描き入れて線画の完成です。自分の作品のテイストにあわせて、ツールを使い分ける工夫をしてみましょう。
[5]パース定規て斜投影図法を利用する
いわゆるパースペクティブとは「透視図法」のことです。ComicStudioのパース定規はパースペクティブ(透視図法)に従った描画を得意としますが、それ以外にも漫画的表現で代表的な「斜投影図法(下図参照)」と呼ばれる図法にも対応します。
斜投影図法に対応するパース定規を設定します。
まず[定規]メニュー→[特殊定規の作成]→[1点パース定規を作成]を選び、1点透視のパース定規を作成します。
1つだけある消失点付近で、右クリックしてメニューを表示して、[無限遠にする]というオプションをONにします。
消失点に向かって収束していたガイド線が、平行線定規のような並び方に変化しました。
もともと消失点だったマークや、ガイドをドラッグすると平行線の角度を調整することができます。この調整した角度に平行な直線と、アイレベルに対して「水平・垂直」な直線がフリーハンドで描けるようになります。
「軸測投影図法」という手法もよく使われる投影図法です。2点透視パース定規を作成して設定することで軸測投影図法に対応できます。
2つある消失点をどちらも[無限遠]に設定します。
軸測投影図法で描けるのは下図の様な構図です。RPGゲームなどでも見かけたことのある構図ですよね。パース定規では「リアルな構図」だけではなく、こうしたデフォルメされた構図にも対応することができるのです!
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