16.光の効果を入れる
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最後に光の効果を加えて、イラストを完成させます。
ここで作成する各種のレイヤーは、遠景にかける効果であれば遠景の線画の上に、近景であれば近景の線画の上に作成して、線画にも効果が及ぶようにしています。
1.使用する合成モードについて
今回のイラストでは、『どのように色を明るくしたいか』に応じて、以下の3つのモードを使い分けます。
【A】[スクリーン]
[乗算]の逆という感じです。元の色よりも明るくなり、濃い色を塗っても暗くなることはありません。
[加算(発光)]とは違い、光るというよりはぼやけた感じの色になります。
【B】[加算(発光)]
下の色を明るくするだけではなく、塗った色の彩度に応じて、さらにあざやかな色合いに変化させます。
【C】[ソフトライト]
50%のグレーよりも明るい色を塗ると下の色も明るくなり、それよりも暗い色を塗れば暗くなります。
[スクリーン]と比べて、コントラストを保ったまま色調を変えられるという利点があります。
合成モードを設定したレイヤーをレイヤーフォルダに格納すると、格納する前と後で表示が変化します。
これは、レイヤーの合成モードが同じフォルダ内のレイヤーにのみ適用されるためです。
表示を変化させたくない場合には、レイヤーフォルダ自体の合成モードを[通過]に設定します。[通過]に設定すると、レイヤーフォルダに格納する前と同じようにフォルダ内のレイヤーの合成モードが適用されます。
※レイヤーフォルダの合成モードについて詳しくは、機能解説!トラの巻「レイヤーの合成モードの使い方 [4]レイヤーフォルダでの合成モード」をご覧ください。
2.遠景の効果
(1)新規ラスターレイヤーを遠景の線画の上に作成し、合成モードを[加算(発光)]にします。
(2)不透明度を20%程度に下げたオリジナル[軟らかいエアブラシ]で黄色を塗っていきます。
黄色を選んだのは、青い影と対照的な色の方が色彩に幅が出るということと、前述「11.陰影の付加」の「光が当たっている部分は影の部分よりも黄色っぽく見える」という法則に従って選択しました。
[加算(発光)]のレイヤーに彩度の高い色を塗ると強烈な色合いになるので、光らせすぎて下に塗った色が潰れないように注意します。
(3)遠景の中でも、特に踊り場の付近を目立たせたいので、踊り場から離れるにしたがって光が弱くなるようにしています。
(4)空気感を強調したいので、[加算(発光)]レイヤーの上に合成モード[スクリーン]のレイヤーを作成し、オリジナル[軟らかいエアブラシ]で遠景の上部に水色を薄く塗りました。
(5)ちょっとわかりづらいですが、もう1枚[加算(発光)]レイヤーを用意して、下の画像で表示されているあたりにふんわりと薄いピンク色を入れました。光の効果を入れるレイヤーごとに塗る色を変えているのは、色合いに幅を持たせて深みを出すためです。
(6)遠景と中景の間をぼかして距離感を出すために、合成モードが[通常]のレイヤーにオリジナル[軟らかいエアブラシ]で青紫色を塗ります。幻想的な雰囲気を出すために、アクセントとして他の部分では使っていない色を選びました。
3.近景~中景の効果
(1)スズメが目立つように、周りから少し浮き立たせる効果を付けます。
スズメを描画したレイヤーの下に合成モード[通常]のラスターレイヤーを作成し、オリジナル[軟らかいエアブラシ]を使ってスズメの線画の周りを若干黄色っぽく塗ります。
(2)日差しの強さを表現するために、画面下側に赤く焼けるようなグラデーションをかけます。
合成モード[スクリーン]のラスターレイヤーを近景の線画レイヤーより上に作成し、描画色に赤色を設定してから[グラデーション]ツールの[描画色→無色(線)]を使って、下から上に向かうグラデーションをかけます。
強く効果がかかりすぎた場合は、レイヤーの不透明度を下げて調節します。
(3)影のフチも赤くします。ここでは合成モード[ソフトライト]のレイヤーを利用します。
光が当たっている部分から影の部分へ光が漏れているようなイメージで、日差しの強さを強調させます。
赤みを加えることで、水たまりや影の青を引き立たせる狙いもあります。
(4)近景と中景にも、加算(発光)レイヤーで光を入れます。
手前の車止め・階段・屋根・踊り場・畑のあたりへ、遠景と同様に黄色い光を入れ、「15.修正・加筆」で入れた雨あがりの水滴を白く光らせました。
(5)最後の最後に、水たまりにも光を加えます。
ここでは、空の青色を強調したいので、奥の部分に水色を入れました。
水たまりのフチは、光を乱反射してキラキラしているイメージなので、[加算(発光)]レイヤーに白く塗って光らせます。
さらに、細かいコンクリート片が光を受けている感じにしたいので、[ツールオプション]で[硬さ]を上げた[エアブラシ]ツールを使ってハイライトの点を打ちます。
4.完成
これで完成です。お疲れさまでした。
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