4.着色
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水彩ツールを使って着色します。
1.下塗り
下塗りをしておくと、上に色を重ねた時に、発色がよくなり、色に深みが出ます。
今回は配色に統一感を出すため、全体を同じ色で下塗りします。
(1)「線画」レイヤーの下にレイヤーを新規作成し、レイヤー名を「下塗り」にします。
(2)[カラー]パレットで描画色を設定します。赤系の色を多く使うので、薄い黄色を設定します。
(3)[ツール]パレットから[水彩]ツールを選択し、[ツールセット]パレットの「雲にじみ」を選択します。
(4)キャラやその周囲を淡く塗ります。
2.水彩ツールで着色
(1)「下塗り」レイヤーと「線画」レイヤーの間に塗る部分ごとにレイヤーを作成し、「肌」、「髪」など分かりやすい名前にしておきます。塗る部分によってレイヤーを分けておくと、後で色の調整がしやすくなります。
(2)(1)で作成したレイヤーの合成モードを「乗算」にします。
(3)[カラー]パレットで描画色を設定し、各部分を[水彩]ツールで着色します。
作例では[水彩]ツールのツールセット「透明水彩」の設定を少し変更して使用しています。
ツールセットの設定は、[ツールオプション]で変更します。
設定を変更したいツールセットを選択した状態でもう一度クリックし、そのツールセットの[ツールオプション]を表示させます。今回は、[ツールオプション]にある[水彩境界]のチェックを外してオフの状態にしました。
■筆圧による不透明度調整と色延ばし
[水彩]ツールの「透明水彩」は、色や不透明度を変更しなくても、筆圧での不透明度調整によって複雑な濃淡を表現できます。
例えば肌の場合、黄色い下塗りの上に、赤一色で塗り重ねています。
まず大きなブラシサイズで、筆圧を弱くして薄く全体を塗ります。
その後ブラシサイズを小さくし、強い筆圧で濃い影を塗ります。
■グラデーションの付け方
まずブラシサイズを小さくし、強い筆圧で濃い色を塗ります。その後ブラシサイズやや大きくし、極めて弱い筆圧で、濃く塗った部分の色を延ばしなじませます。
「水彩筆」は、筆圧を弱くすることで、色を塗らず、色を伸ばすブラシになります。力を入れず、そっと撫でるようにするとうまくいきます。
IllustStudioはintuos4の2048段階の筆圧に対応しているため、弱い筆圧をより反映しやすくなります。
IllustStudioを2048段階の筆圧に対応させるためには、ペンタブレットのプロパティで[筆圧レベルの互換性]のチェックを外しておきます。
■タッチホイールによるブラシサイズ調整
ブラシ系のツールで着色する場合、ブラシサイズを頻繁に変更します。
ペンタブレットのタッチホイールを使用すると、ブラシサイズの調整をより直感的に行えます。
初期設定では上図のように設定されています。
切り替えボタンで「ブラシサイズ」に切り替え、タッチホイールを操作すると、ブラシサイズを調整できます。
■透明水彩風に塗るポイント
水彩とは、大きく分けて「不透明水彩」と「透明水彩」の二種類に分かれます。
この講座では「透明水彩」を中心に、その再現方法を解説します。
・明るい部分は塗り残す
不透明水彩とは、透明度が低く、塗り潰しが可能なアクリルガッシュやポスターカラーのような画材を使った技法のことです。明るい部分は明るい色、暗い部分は暗い色で覆い隠すように塗り重ねていくのが、不透明水彩技法の特徴です。よく「厚塗り」と呼ばれる塗り方の特徴の一つでもあります。
対して透明水彩は、透明度が高く、下の色や紙の色が透けるという特徴があります。
紙の白色を活かし、薄く塗る、もしくは塗り残すことなどで明るさを表現すると、透明水彩風になります。
左:透明水彩風 右:不透明水彩風
透明水彩は紙の質感や線画、下の色などを透かします。
・色を重ねて塗る
実際の透明水彩は、下地の絵具が乾いた状態ならば、下地にほぼ影響を与えずに塗り重ねることができます。これをIllustStudioで表現するためには、下地の色と塗り重ねる色とでレイヤーを分け、塗り重ねるレイヤーの合成モードを[乗算]に設定します。
塗り重ねる色は、下地の色に重なることを考慮して、色を決めます。
例えば作例では肌を塗る場合、薄い赤に設定しています。
これは下地に薄く黄色が塗られているので、薄い黄色の上に薄い赤を塗り重ね、肌色にするためです。
・ストロークの境界を濃くする
実際の水彩では、塗った面のふちがうっすらと濃くなることがあります。水を多めに含んだ筆で描くと、乾いた時に塗った部分の周囲に絵の具が溜まるためです。
水彩ツールのオプション[水彩境界]を使用すると、これを再現することができます。
処理範囲:線の内側の濃い部分を設定します。数値を大きくするほど、濃い部分のふちの幅が広く表示されます。
透明度影響:線のふちの不透明度を設定します。数値を大きくするほど、線のふちが濃く表示されます。
明度影響:線のふちを黒くする度合いを設定します。数値を大きくするほど、線のふちが黒く表示されます。
ぼかし幅:描画の境界部分をぼかす強さを設定します。数値を大きくするほど、境界部分がぼやけて表示されます。
・紙の質感を付ける
質感レイヤー機能を使用すると、紙のような質感を与えられます。
作例では質感レイヤー機能を利用してテクスチャ画像を作成し、[ソフトライト]で合成しています。
(1)レイヤーパレットで質感レイヤーを作成します。
(2)[質感]ダイアログで上図のように設定し、[OK]をクリックします。
(3)ラスターレイヤーを新規作成し、暗い色で塗りつぶし、質感レイヤーの下に移動させます。
作例では上図のような色で塗りつぶしています。
(4)[質感レイヤー]と(3)のラスターレイヤーを結合し、合成モードを[ソフトライト]に設定します。
こうすると質感が付くだけでなく、ソフトライトレイヤー以下のレイヤーが、色が濃くコントラストが高めで表示されるようになります。
コントラストが高くなると筆圧による不透明度の変化がより強調され、濃淡をつけやすくなります。
■スポイトツールで塗った色を取得する
[スポイト]ツールを使用すると、キャンバス上から色を取得できます。
ただし、合成モードを変更したレイヤーから[スポイト]ツールで色を拾う場合は注意が必要です。
[乗算レイヤー]に塗られた色は、下の色と重なって、実際に塗られた色とは違う色で表示されます。初期設定の[スポイト]ツールは画面に表示されたままの色を、つまり下の色が混ざった色を取得します。
そのため、取得したままの色で「乗算」のレイヤーに塗ると、意図した色とは違う色で塗られてしまいます。
また、筆圧による不透明度調整によって、着色に使用した色よりも薄く塗られている部分をそのまま取得してしまうと、意図した色よりも薄く塗られてしまいます。
このような場合は、スポイトツールの設定を変更することで回避できます。
[スポイト]ツールの[ツールオプション]で、[参照先]を[編集レイヤー]に設定します。
この設定であれば、合成モードや色の透明度、他のレイヤーとの重なり順などに関係なく、編集中のレイヤーのクリックした位置に着色されている色を、そのまま取得することができます。
以上のような要領で、他の部分も着色します。
髪の色をやや緑がかった色にし、艶に黄色を混ぜたかったので、全体のレイヤーの上に乗算レイヤーを作成し、髪の部分に薄い黄色を塗り重ねました。次にキャラクターと同じ要領で、紅葉を描き入れました。「下塗り」レイヤーの薄い黄色を、多少修正しました。
3.ハイライト
髪の艶や瞳の光などのくっきりとしたハイライトを描き込みます。
作例では主線と同じ[鉛筆]ツールを使用し、鉛筆のような描線でハイライトを入れています。
(1)「線画」レイヤーの上に[ラスターレイヤー]を新規作成し、レイヤー名を「ハイライト」とします。
(2)[ツール]パレットから[鉛筆]ツールを選択し、[ツールセット]パレットから「荒い鉛筆」を選択します。
(3)白などを描画色に設定し、ハイライトを描き込みます。
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