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第3回 ライトテーブルを活用する

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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(1)ファイルブラウザのおさらい

前回の講座でファイルブラウザの使い方が判ってきただろうか。繰り返しになるがRETAS STUDIOを利用する際にファイルブラウザはとても重要な役割を果たす。ここでファイルブラウザのボタンの機能一覧を示しておく。

  • (1)[ブラウザフォルダの編集]

    [ファイルブラウザ]で表示するフォルダを指定する。複数のフォルダの指定もできるので、必要なフォルダを指定しておく。
  • (2)[カットフォルダの再読み込み]

    何らかの原因で[ファイルブラウザ]のサムネイルの同期がおかしくなった場合などに、このボタンをクリックしてファイルブラウザ内のデータを再読み込みする。
  • (3)[新規カットフォルダ]

    [ファイルブラウザ]上で選択しているフォルダに新しいカットフォルダを作る。
  • (4)[新規セル]

    [ファイルブラウザ]上で選択しているレイヤー(セル)に新しいセルを作る。
  • (5)[新規タイムシート]

    タイムシートファイルを作成する。1つのカットフォルダに対して複数のタイムシートを作ることも可能だ。
  • (6)[登録]

    [カットフォルダ]内のセルにRETAS STUDIO以外のアプリケーションで作成した画像ファイルも読み込むことができる。JPEGやBMPの一般汎用的な画像ファイルから、PencilManなどの旧Retasシリーズのファイルも読み込める。
  • (7)[ライトテーブルに登録]

    選択したセルをライトテーブルに登録する。ライトテーブルについては今回の講座で詳しく説明するので、ばっちり頭に入れておこう。
  • (8)[モーションチェック]

    選択したセルレイヤー(Aセルのみ、Bセルのみといった具合)を[ファイルブラウザ]に表示されている順番でモーションチェックを行う。数字の[1]~[6]キーを押下するとモーションチェックの早さを調整できる。
  • (9)[仕上げ書き出し]

    選択しているカットフォルダを[PaintMan]で着彩できるように変換する。着彩については講座の7回目から説明していく予定だ。

 

(2)[ライトテーブル]パレットを使ってみる

それでは、ファイルブラウザをおさらいしたところで、今回は[Stylos]での描画方法について掘り下げていこう。1枚イラストとアニメーションの動画を作画する上でもっとも違うのは、「動画の作画は前後にある絵を参照しながら描いていく」点だ。どんなに優れた描画ツールを利用していても、他の作画用紙を簡単に透かして見られなければ動画は作画できない。RETAS STUDIOでは「他の作画用紙を透かせて見る」ために[ライトテーブル]パレットを用意している。このライトテーブルに登録した画像が、描画中の作画用紙に透けて見える仕組みだ。

[ライトテーブル]パレットへ作画用紙を登録したい場合は、まず描画したい作画用紙を開いた状態で、[ライトテーブル]パレットの[登録]ボタンをクリックする。

[ファイルを開く]ダイアログが表示されるので、ここで必要なフォルダを選び、作画用紙を選択する。ただ、この方法だと作画用紙の内容を確認がしにくくなってしまう。そこで[ファイルブラウザ]を利用した登録方法を紹介しよう。

 

(3)ファイルブラウザからライトテーブルに登録

[ファイルブラウザ]からもライトテーブルに画像を登録することができる。まず[ファイルブラウザ]上で登録したい作画用紙を選択して、[ライトテーブルに登録]ボタンをクリックする。

また、作画用紙のサムネイルを直接[ライトテーブル]パレットにドラッグ&ドロップして登録することもできる。

 

(4)[ライトテーブル]パレットに一般的な画像を登録

[ライトテーブル]に登録出来るのは作画用紙だけではなく、一般的な汎用画像データも読み込み可能だ。

[ライトテーブル]パレットの[登録]ボタンをクリックして[ファイルを開く]ダイアログから必要なファイルを登録することができる。JPEGやBMP、PNGなどの一般的な画像ファイルの他、旧RetasシリーズのPencilManや[Stylos]のファイル、もちろん現バージョンで作成している作画用紙も、このダイアログで登録できるようになっている。

ちなみに、[ファイルブラウザ]上にも画像データは登録できる。[ライトテーブル]パレットに頻繁に登録する画像などは、ファイルブラウザにいったん登録しておいて、[ライトテーブル]パレットに登録しやすいようにしておくのもよいだろう。

 

(5)ファイルブラウザに参照用レイヤーを作成

ただ、参照用の画像を闇雲にAセルやBセルレイヤーに登録していくと、実際の作画に支障を来すこともあるだろう。そこでファイルブラウザに参照用のレイヤーを作成して、そこに単なる参照用の画像をまとめておくと便利だ。レイヤーを追加する方法を覚えておこう。

[ファイルブラウザ]の[メニュー表示]ボタンから[セルレイヤー]-[追加]を選択。

[セルレイヤーの追加]ダイアログが表示されるので、[セルレイヤー名]を「参照用」などの判りやすい名前にしておこう。

これで、参照用のレイヤーがファイルブラウザに追加される。参照したい画像などをここへ追加しておけば、[ライトテーブル]パレットに登録する操作が行いやすくなるだろう。

 

(6)ライトテーブルの透かし具合を調整

ライトテーブルに登録した作画用紙や画像は[不透明度]を調整して利用する。参照したい画像を薄く表示することで中割りを行いやすくするためだ。

[不透明度]ボタンをクリックして数値を調整する。

2枚以上の作画用紙を透かせる必要がある場合は、1枚目と2枚目の不透明度に差をつけておくと中割りがやりやすい。

複数の作画用紙の不透明度を一度に調整する場合は、[全体の不透明度]ボタンをクリックして数値を調整する。

 

(7)透かせた画像を移動する

[ライトテーブル]パレットの[ライトテーブル]ボタンをクリックすると、作画用紙全体の移動・回転・拡大縮小を行えるようになる。

ライトテーブルに登録されている画像を操作するときは[ハンドル]を操作する。[中心点]を移動して、拡大縮小や回転の中心位置を調整することを忘れずに。

拡大縮小、回転は登録されている画像1枚ずつ個別に調整が行える。

[ライトテーブルパレットに登録している作画用紙一覧をダブルクリックし、拡大・縮小などを数値入力で調整することもできる。正確な間隔で移動したい場合は[ライトテーブル表示設定]を利用しよう。

なお、[ツール]パレットにも[ライトテーブル]ツールがあるが、[ライトテーブル]パレットの[ライトテーブル]ボタンと連動している。

 

(8)[ライトテーブル]パレットの操作一覧

その他の[ライトテーブル]パレットのボタン機能一覧を示しておこう。

  • (1)[削除]ボタン

    選択した作画用紙をライトテーブルから削除する。
  • (2)[全て削除]ボタン

    ライトテーブルに登録されている作画用紙を全て削除する。
  • (3)[表示設定]ボタン

    選択された作画用紙の[ライトテーブル表示設定]を行う。
  • (4)[更新]ボタン

    ライトテーブルに登録されている作画用紙の内容を最新のものに更新する。
  • (5)[前のセル][次のセル]

    ライトテーブルに登録されている作画用紙の番号を入れ替える。
  • (6)[セル一覧]

    ライトテーブルに登録されている作画用紙の番号を一覧から選んで入れ替える。
  • (7)[編集画像と入れ替え]

    ライトテーブルに登録している絵に間違いなどを見つけたときに、このボタンで作画用紙を入れ替えて作業できる。
  • (8)[位置と倍率と回転をリセット]

    ライトテーブルの表示を調整した後、リセットして元の状態に戻す。
  • (9)[水平反転][垂直反転]ボタン

    選択された作画用紙の表示を反転する。

便利な機能としては、

(10)[メニュー表示]ボタンで呼び出せるメニューにある[前後の画像を登録]がある。

 

現在描画している作画用紙のファイルブラウザ上の前後にある作画用紙の画像が登録される。

[メニュー表示]ボタンから[設定]を選択し[ライトテーブル設定]ダイアログを呼び出すと、ライトテーブルの設定を行うことができる。[前後の画像を登録]で呼び出す画像の枚数や不透明度を調整できるので、ここはぜひ押さえておきたいポイントだ。

 

(9)実際の作画

それでは実際の作画でライトテーブルをどのように活用するか見ておこう。

この作画ではキャラクターがジャンプしたときに顔の角度が変わっている。この角度の調整は[ライトテーブル]ツールを使って、ライトテーブル上の作画用紙を回転、移動させれば描画が可能だ。

中割りを行う場合も、参照用に細かく表示設定で回転角度を調整することもできる。

波紋は作画用紙上を右に流れていくように作画しているが、これも参照用レイヤーを作って波紋の形を描いたものを、移動させながら[ライトテーブル]上で参照すれば簡単に作画できる。

作画用紙を回転・移動させて中割りすることを「タップ割り」と呼ぶ。実際のアニメ制作現場でもよく利用される方法だが、[Stylos]の[ライトテーブル]パレットを利用すれば、それらを正確に、かつ効率よく行うことが可能だ。

今回は[ライトテーブル]パレットを活用して、このような動画を作成してみた。[Stylos]用サンプルデータをダウンロードして、作画作業をシミュレートしながらライトテーブルの活用方法を試してみよう。

 

(10)ライトテーブルは作画の肝

動画を作画する上で[ライトテーブル]パレットはなくてはならない存在だ。また、[ファイルブラウザ]とも密接に連動しているものでもある。次回はようやく作画について扱うことになるが、それにはまず[ファイルブラウザ]と[ライトテーブル]パレットの機能について理解しておく必要がある。より高度な作画を行うためにも、[ファイルブラウザ]と[ライトテーブル]パレットの使い方を熟知して、自在に扱えるようになっておこう。
それではまた次回!

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