第9回 そして撮影へ

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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(1)撮影とは言っても

とうとうここまでやってきた。そう、撮影だ。アニメの作画を行い、彩色をしたたくさんの絵がある。これらはムービーとして動いている状態のものにならなければ決してアニメとはいえない。

絵が動く...
[Stylos]や[PaintMan]でモーションチェックを行えば実際の動きも判るし、アニメっぽいこともできた。では、これと「撮影」はなにが違うのか?まずはアニメの「撮影」のことをよく理解しておこう。

出鼻をくじいて大変申し訳ないが、実は、アニメの現場では「撮影」はもう行われていない。撮影と言えばやっぱり頭に浮かぶのは「カメラのレンズを向けて被写体をフィルムに記録」することだと思うが、そもそもRETAS STUDIOを使っていても実物の「カメラ」なんてどこにも使われない。

昔は、下に向けた大きな撮影機のレンズの下に実際に絵を置いて1枚1枚撮影していた。フィルムは1秒間に24コマ撮影するので、10秒間のアニメを撮るだけでも膨大な労力が必要だった。1コマずつ絵を撮影して、その都度絵を入れ替えていく。絵の上には重いガラスを置いて絵が「浮かない」ように気をつけて...なんて重労働かつ繊細な仕事をやっていた。そりゃあ、アニメなんて素人には作れませんよ...と思ってしまってもしょうがない状態だったのだ。

今はすべての作画情報はPCの中にある。そう、HDD(ハードディスクドライブ)の中だ。ちょっとお金が潤沢にある人ならSDD(ソリッドステートディスクドライブ)かも知れないが、まあともかく手元にある作画情報は「デジタルデータ」なのだ。「セル画」はPC上で描かれ、色を塗られていく。撮影しようとカメラを向けようにも、「被写体」には実体がない。

RETAS STUDIOではこの「撮影」にあたる部分を[CoreRETAS]が担当する。実際には撮影作業を行っているわけではないので、最近では「撮影作業」のことを「コンポジット」と呼ぶことが多いようだ。今回はややこしくなってしまうので、「撮影」で言葉を統一しておこう。

まずは論より証拠、実際の[CoreRETAS]での撮影作業を順番に見ていこう。

 

(2)[CoreRETAS]のパレットを確認

これが[CoreRETAS]の画面だ。撮影で必要になるパレットなどを紹介しておこう。

(1)[タイムシート]ウィンドウ
タイムシートは[CoreRETAS]用のタイムシートを使う。詳細については後述しよう。

(2)[ステージ]ウィンドウ
[ステージ]ウィンドウは実際に作画用紙などをどんな風に重ねているかを確認しながら「移動」、「拡大縮小」、「回転」などを視覚的に行える操作台だ。ここでの作業が撮影作業で重要な役割を担うので、このウィンドウの使い方をしっかり理解しておこう。

(3)[レンダリング]ウィンドウ
[タイムシート]ウィンドウと[ステージ]ウィンドウで細かく設定した内容を実際にレンダリング(書き出し)して画像の合成結果を確認できるウィンドウ。[ステージ]ウィンドウでは確認出来ないエフェクト(効果)の確認なども行える。

(4)[中割り]パレット
中割りはアニメのキモとも言える操作だ。これが判るだけでもアニメの臨場感がグンと増す。中割りについては次回の連載で説明する。

(5)[レイヤー設定]パレット
[レイヤー設定]パレットは、[ComicStudio]や[IllustStudio]でも使われる「レイヤープロパティ」パレットに近い存在だ。RETAS STUDIOでは「Aセル」、「Bセル」...などの「セル」をセルレイヤーと呼ぶのだが、[レイヤー設定]パレットとは、これらセルレイヤーの表示方法などを指定するパレットだ。

(6)セルバンク
複数の作画用紙の内容をセル番号と一致させるために登録するパレット。[Stylos]で作画→[PaintMan]で彩色...と順番に進んできた場合は作画用紙の内容はセルバンクに自動的に登録されている。

まずはこの6つを使って、実際の撮影作業の流れを見ていこう。

 

(3)[CoreRETAS]用のタイムシート

[CoreRETAS]用のタイムシートは、[Stylos]などで利用していた「作画用のタイムシート」とは別物だ。撮影で使用するタイムシートには作画時とは比べものにならないほどたくさんの情報が必要なのだ。

これまでの連載で、[Stylos]から[PaintMan]へカットフォルダの書き出し作業を行ったことを覚えているだろうか。

忘れていたら講座第7回「彩色する」をもう一度読み直しておこう。この「[Stylos]から[PaintMan]への橋渡し」の作業となる[仕上げ書き出し]を行うと出てきたダイアログにオプション設定として「[CoreRETAS]用のタイムシートを書き出す」という項目があったのだ。

そのオプションをONにして[Stylos]から書き出すと[CoreRETAS]用のタイムシートも書き出されているはずだ。では、その[CoreRETAS]用のタイムシートはどこにあるのだろうか。

[ファイルブラウザ]にカット内容が表示されているが、そこにこのようなアイコンがあるはずだ。もしなければ書き出しの設定を間違えている可能性もあるので、もう一度確認してみよう。

そして、これこそが[CoreRETAS]で撮影を行う際に必要となるタイムシートだ。このアイコンを開くと、[CoreRETAS]上にタイムシートウィンドウが表示される。

作画用のタイムシートよりもずいぶんとややこしそうなボタンなどが羅列されている。まあ、最初は気楽に。難しいボタンはまた後で順に説明しようと思う。まず「撮影」とはどんな作業なのかを知ることが先決だ。

 

(4)タイムシートの役割

[Stylos]や[PaintMan]でモーションチェック時に利用したタイムシートは

このような表示がされていた。[原画]と[動画]という欄があることからも作画中に利用しているタイムシートであることが判る。

では[CoreRETAS]用のタイムシートはどうなっているだろうか。まずはタイムシートの上部を確認しておこう。

作画用に利用したタイムシートとは全く内容が違うことが分かるだろうか。まず[原画]、[動画]という分類がない。[原画]は撮影時には利用しないからだ。そして、作画用のタイムシートのときよりも[A]、[B]...以外に[CAM]、[-BG]といったセルレイヤーが増えていることも判る。

(1)の[CAM]はカメラのことを指している。カメラが絵の「どの位置」を「どんな角度で」撮影するのか、などを指定する。自分がカメラをもって撮影するときと同じように考えればいい。カメラが動けば、映る画面も動く。

(2)の[-BG]はバックグラウンドの事でアニメでは「背景」と呼ばれ、背景画像を配置する。[Stylos]、[PaintMan]で作画してきたものは「キャラクター」などの動画で、背景とは違うのだ。
従って[Stylos]から書き出したタイムシートを見てみると、[-BG](背景)部分には、まだ何も入力されていない。

(3)~(5)の[A]、[B]...の各セルレイヤーには作画したセルを配置する。作画時と同様に右にいくほど、絵は上に重ねられていくイメージだ。これは[-BG]と違って[Stylos]から書き出したタイムシートの場合、自動的に配置される。

実は、このタイムシートはグラフィック系ソフトによく見られる「レイヤー」にイメージが近い。

例えばこの図は[ComicStudio]の[レイヤー]パレットだ。様々なレイヤーが「縦」に並んでいることが判るだろう。これらのレイヤーがまとまって「1枚の静止画」を構成している。

そして、これが[CoreRETAS]用のタイムシート。それぞれレイヤーが「横」に並べられている。これは、縦方向には「時間軸」を置く必要があるからだ。つまり、アニメは静止画ではなく「動画」を扱うものなので、レイヤーの重ね具合と同時に、「どのタイミングでそのレイヤーにどの絵を表示するか」などの情報も必要になるということである。[CoreRETAS]用のタイムシートが複雑に見えてしまうのはそういう理由からだ。

撮影時のタイムシートでは、静止画のレイヤーパレットと比べて情報量が格段に増えてしまう。ただし、恐れる必要はない。動画と言っても1コマ1コマは「静止画」だ。その「静止画」がたくさん集まって動画になっているだけなのだから。

 

(5)背景がない!セルはどこだ!?

[Stylos]から書き出したタイムシートを見てみよう。
[-BG]の背景がないのは、まだ描いていないから当たり前だとしても、[A]、[B]...の各セルレイヤーには自分で描いた「作画用紙」が本当に配置されたのだろうか。
動画番号はすでに表示されている。例えばこの図の[A]には123123123123123123...といった具合だ。しかし[A]の1番はどんな絵になっているのか確認ができない。

そこで[セルバンク]パレットの出番だ。メニューから[ウィンドウ]→[セルバンク]を選択して[セルバンク]パレットを表示させよう。

[セルバンク]パレットの左上に[レイヤー切り替え]のボタンがあるので、ここで違うレイヤーに登録されている画像を確認することもできる。
画像を追加したい場合は[画像の登録]ボタンをクリックして、必要な作画用紙をセルバンクに登録させればいい。

このように、[Stylos]から[PaintMan]へ書き出しを行う際に、「[CoreRETAS]用のタイムシートを書き出す」オプションをONにすると、こういった作業をすべて自動で行ってくれるのだ。もちろん、[PaintMan]で色を塗り替えたりしても、[CoreRETAS]上に登録された画像も一緒に更新されるので心配は要らない。

 

(6)まずは動画を確認

それでは、ここで自動入力されたタイムシートの「動き」を確認してみよう。[Stylos]や[PaintMan]でおこなっていた「モーションチェック」と似たようなことを[CoreRETAS]でも行えるのだ。ただし、[CoreRETAS]では「RAMプレビュー」と呼んでいる。

まずメニューから[ウィンドウ]→[レンダリング]を選択して[レンダリング]ウィンドウを呼びだそう。このウィンドウにはレンダリングに関するボタンが用意されている。

[RAMプレビュー実行]ボタンをクリックしてみよう。1回だけスローで動画が再生されると、画面が黒くなり中央に動画がリアルタイムで再生される。これが[RAMプレビュー]だ。

あらかじめ[レンダリング]ウィンドウで画像の大きさを調整しておけば、[RAMプレビュー]で表示される動画の大きさも同様に調整できる。

現在プレビューしている内容では「背景」は描かれていないので、背景がなにも表示されていない。用意した作画用紙が正しく表示されているか確認はできるだろう。

 

(7)ステージウィンドウで絵をスライド

現状のムービーは同じ場所でワンコが機械に乗って飛んでいるだけ。あまり面白みがないので遊んでみたいのだが、そのためには[ステージ]ウィンドウのことを理解する必要がある。次に活用するのは[ステージ]ウィンドウだ。メニューから[ウィンドウ]→[ステージ]を選ぶ。

また何やらややこしそうなものが出てきたが、コイツも[CoreRETAS]のキモとなるウィンドウなのだ。順番に必要な機能を見ていこう。

まずは、[画像]ボタンをONに。これで

[ステージ]ウィンドウにセルに描かれた絵が表示される。今回はまだ背景を設定していないので背景が真っ暗になっている。

 

(8)カメラフレームを意識する

[ステージ]ウィンドウに置かれている絵は、実はどこにでも移動ができる。そんなとき、カメラのフレームを意識しておかないと、カメラに写らないところで一生懸命動かしていた...なんてこともある。カメラのフレームは、特に設定していなければ画像の様に「赤く」表示されているので確認しておこう。

[ステージ]ウィンドウの左上の[タップ編集・レイヤー編集]ボタンをクリックして、[タップ編集]に切り替えておき、

[タップ・レイヤーの選択]を操作して[CAM]にすれば赤いフレームが強調表示される。このカメラのフレーム位置を良く覚えておくようにしよう。そして、この[タップ・レイヤーの選択]で選ばれたものが、ステージ上で操作できるものになるのだ。

 

(9)続きは次回

さて、今回は[CoreRETAS]の主要なウィンドウとパレットの説明を行った。自分で作った動画を実際に[CoreRETAS]に持ってくるまでの方法も理解できただろうか。[Stylos]から書き出すときに必ず「[CoreRETAS]用のタイムシートを書き出す」オプションをONにすることを忘れないようにしよう。

次回は、ワンコを撮影作業でスライドさせてみる。

[CoreRETAS]は絵を描くためのソフトと比較すると、、独特なパレットとウィンドウで構成されている。混乱しないように、今回の内容を良く読み返してほしい。

それでは、また次回!

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