RETAS STUDIO 使い方講座 > RETAS STUDIOでアニメを… > 第11回 撮影-中割り2-

第11回 撮影-中割り2-

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 5163回 総合評価 : 0件
  • サンプルデータダウンロード(2.3MB)
    第11回で使用したRETAS STUDIOのデータをダウンロードしてご確認いただけます。
    ※当サンプルデータに関するユーザー様へのサポートは行っておりません。

 

(1)前回のおさらい

前回はワンコを横移動させてみた。セルを平行移動させるための操作は
[T位置X]
[T位置Y]
の値を操作して行った。

数値を操作する場合は、タイムシートでフレームごとに入力をしていく必要があるが、これでは直感的な操作はできないので

[ステージ]ウィンドウを利用してセル画をどこへ移動させるか、視覚的に判りやすいようにする。さらにA地点からB地点までスムーズに移動させるには、このXとYの値を少しずつ変化させながら入力していく必要があるが、これも自分で数値を計算して入力する必要があるので

[中割り]パレットを使い中割りをする数値を自動計算させる。ここまでが前回の内容だ。
今回は「平行移動」するだけだったセル画の動きのバリエーションを見ていこう。

 

(2)拡大・縮小

では、ワンコを拡大縮小してみよう。前回と同じく、タップは[#01]を選択しておく。

セルの見え方を拡大縮小するのだが、その前に必ず設定しておきたいことがある。拡大縮小をするので、どこを中心に設定して拡大縮小するのかを、あらかじめ決めておかないといけないのだ。

例えば、中心位置が左上の場合、拡大作業を行うとセルは右下に拡大されていく。

この中心を中央に移動させると、拡大する方向はこのように変化する。つまり、セル画を拡大縮小したい場合は、あらかじめ中心位置を設定しておく必要があるのだ。今回は、中心位置を中央に移動させた。

ここで注意しておきたいのは、中心位置はすべてのフレームでセル画の中央に固定したい、ということ。つまり、すべてのフレームで移動した中心位置の位置を設定する必要があるということ。前回の平行移動(スライド)の時と同じく、[ステージ]ウィンドウで中心位置を移動させても、それは1フレーム分に過ぎないのだ。必ず、操作を行うすべてのフレームで[T位置X][T位置Y]の数値を指定しておこう。

中心位置が設定できたら、[ステージ]ウィンドウ左上の[スケール]アイコンを選択して、ワンコを拡大縮小してみよう。

拡大縮小したい時は、[ステージ]ウィンドウ上を左右にドラッグする。拡大したいときは右へ。縮小したい場合は左に。

ここからは前回のセルの平行移動(スライド)と同じだ。スライダーを調整して、まずは1フレーム目を設定して、[非連続キーフレーム]アイコンをクリック、1フレーム目にキーフレームを設定する。今回はスケールを480に設定した。

同じく、288フレーム目はスケールを16に設定した。あとはキーフレームを設定した1~288フレームまでを選択した状態で中割りを行うだけだ。

[中割り]パレットで、スケールを中割りする。

[中割り]パレットの[全般]タブに[X][Y][Z]のボタンがあるが、今回のように縦横比を保持したまま中割りを行う場合は[X][Y]のボタンが有効になっている状態で行うこと。

これでこのような動画ができあがる。

 

(3)回転

では今度はセル画の回転だ。セル画の回転も、拡大縮小と同じように、中心位置を設定しておく。回転の中心だ。

スケールと同じようにステージをドラッグすれば、セル画が回転できる。

回転に入力できる数値は-10000~10000。1周360度の角度に対応するので、例えば361なら1と同じ角度の表示になるのだが、中割りを使っての「回転」としてとらえた場合361は1回転プラス1度ということになる。例えば10回転させたいのなら、0~3600までの数値を中割りすれば良いのだ。

 

今回のタイムシートは288フレーム(12秒)あるので、1フレーム目を0として288フレーム目を8640とした。これで約1秒2回転くらいのスピードだ。中割りは位置やスケールと同じように[中割り]パレットを利用して行う。

 

(4)背景をつける

セル画の移動・拡大縮小・回転ができるようになったら、今度は背景をつけてみよう。今回の背景は[IllustStudio]で描画した。

今回は空を飛んでいる動画なので、この背景も横長に作成しておこう。今回の画像は横6400ピクセル×縦960ピクセルで作成した。セル画1枚は横1280ピクセル×縦960ピクセルなので、ちょうど横に5枚分、つまり5画面分の背景を横にスライドさせることができる。

この横長の背景をセルバンクに登録して、セル画と同じように[CoreRETAS]で利用できるようにする。背景はpng形式やtarga形式で保存しておこう。

まずは[セルバンク]パレットを表示させて、登録ボタンをクリック。

作成しておいた背景を登録する。[選択ファイルのみ登録]のチェックを入れておかないと、フォルダ内にある画像ファイルがすべて登録されてしまうので、注意しておこう。セル画などではフォルダ内の沢山の画像ファイルを読み込む必要があるが、背景など1枚のみ読み込めばよい場合は、このチェック項目をONにすることを忘れずに。

セルバンクに背景が登録された。

セルバンクには左(1番)から順に登録されるのでタイムシート上で[-BG]のセル番号をすべて1にしておけば、登録した背景が常に表示されるようになる。

ステージ上にも背景が表示されるので、確認しておこう。

まず1フレーム目で背景を右端に移動させ、非連続キーフレームを設定。

288フレーム目で背景を左端に移動させ、ここでも非連続キーフレームを設定。ワンコのセル画も回転と移動を組み合わせている。背景がはいると、画像としてもかなり締まりがでてくる。

 

(5)ようやく基本形

ここまできてようやくアニメの基本形ともいえる形になった。セル画とその背景がつき、アニメっぽさもちょっと出てきた。また、[CoreRETAS]のタイムシートがセルの移動、拡大縮小、回転などの情報をすべて司っていることも理解していただけたと思う。

[Stylos]などで利用していた作画用タイムシートと[CoreRETAS]の撮影用タイムシートでは、その役割が大きく違ってくる。しかしその「役割」の違いを理解することで作画作業もどう進めていくべきか、だんだんわかってくるのではないだろうか。
プロの現場ではカメラワーク(カメラフレーム)の指示や、セル画の移動指示なども作画用紙(原画など)に書き入れていく。撮影のことをきちんと理解していないと、作画のときに正しい指示を入れられないのだ。

さて、長らくお付き合いいただいたこの連載も次回で最終回。
ここまで移動、拡大など「動き」を説明してきたが、撮影時に付加できるのは動きだけではない。例えばカメラのピントが合っていないような状態を作画で表現するのは難しいが、[CoreRETAS]ではこういった画面へのエフェクトを簡単に付加することもできる。
ということで、最後は自分のアニメの完成度をさらにアップしてくれるエフェクトを説明していきたいと思う。それではまた次回!

コメント
コメントはありません