RETAS STUDIO 使い方講座 > RETAS STUDIOでアニメを… > 第12回 撮影-最終調整へ-

第12回 撮影-最終調整へ-

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 5811回 総合評価 : 0件
  • サンプルデータダウンロード(1.7MB)
    第12回で使用したRETAS STUDIOのデータをダウンロードしてご確認いただけます。
    ※当サンプルデータに関するユーザー様へのサポートは行っておりません。

 

(1)前回のおさらい

前回までにやり方を紹介した[CoreRETAS]を使っての「動き」は以下である。

●セルの移動

●セルの拡大縮小

●セルの回転

これらの操作ができるだけで、グッとアニメーション撮影の表現が多彩になる。これらの移動・拡縮・回転もすべて撮影用のタイムシートに数値入力を行う。

必要なフレームで少しずつ値の違う数字を入力していくのは大変だが、[CoreRETAS]では[中割り]パレットを使って自動計算を行うことができる。

撮影時に撮影用タイムシートをどのように調整するかを理解しておけば、今回紹介するエフェクトの調整についても同様に行える。
では早速エフェクトのことについて...といきたいところだが、今回の「ワンコの飛行」をより完成に近づけるために、もう少し背景に工夫を凝らしてみたいと思う。

 

(2)Book

前回は背景をつけて、ワンコが空を飛んでいるような表現を行った。

この背景の動きをもう少し工夫してみよう。

「なぜお月様は私たちと一緒についてくるの?」なんて子どもの頃に疑問を持ったことはないだろうか。道を歩いているとき、近くにある木々や建物は動いて見えるのに、遠くにある山、空の月や星はなかなか動いているように見えない。まあ、ここでまた難しい講義を始めるわけにはいかないので、難しい理屈は抜きにするとしても、そんな光景を眼にしたことはあるだろう。

これを利用した背景のスライドを行ってみると、背景に立体感が出てくるのだ。前回は背景を1枚用意して、それをスライドさせただけで終わってしまったので、今度は、2枚の背景を用意して、それぞれのスライドのスピードに変化を持たせてみよう。

1枚目は前回作成したのと同じような「空」の背景だ。横2560ピクセル×縦960ピクセルで作成している。この背景は下1/3あたりまでを白くしている。ここにあとから「海」を入れてみたいと思う。

こちらが「海」の部分の背景。横5120ピクセル×縦960ピクセルで作成している。先ほどの空の背景と較べて横に2倍長くなっている。

赤と白の市松模様になっている部分は透明になっているところだ。この透明の部分が下にくる背景やセルを透かせるために必要なものなので、透明(=アルファ)を扱えるペイント系ソフトを用意しておこう。今回は前回に引き続き[IllustStudio]を利用したので、その場合の注意点も簡単に説明しておこう。

[IllustStudio]で透明部分を残した状態の作画を行うときは[レイヤー]パレットの[用紙]リブで[用紙]レイヤーを非表示にしておく。描き上がった背景は[別名で保存]コマンドでオリジナル形式のxpgファイルではなく、汎用ファイル形式のpngで保存を行う。
[別名で保存]ダイアログの[保存する形式]で[png]を選択し、横にある[設定]ボタンをクリック。

[png設定]ダイアログで[色深度]を[RGBAカラー]に設定しておく。この方法で、透明部分を保持したままpng形式で背景を保存できる。

さて、背景を登録する方法は前回やったとおり。

背景を登録する場合は[セルバンク]ウィンドウで[-BG]に「空」の背景を登録する。「海」の背景はセルレイヤー[-BG](空)の背景と[A]の間に置きたい。つまり

ココ、だ。
ここに後からセルレイヤーを挿入したい場合はまず、[-BG]の一番上の枠内で右クリックメニューを表示させる。

表示されたメニューから[レイヤー]→[挿入]を選択。

[レイヤーの挿入]ダイアログが表示されるので、レイヤー名を入力する。

これで、セルレイヤー[Book海]が挿入された。あとは背景を登録したときと同じ作業を繰り返せばいい。ちなみに背景の上に別の背景を重ねる場合、上にくる背景のことを「Book」と呼ぶ。

横長な「海」の背景を登録した。

 

(3)レイヤー設定

次に必要なのは、透明部分を透過させる設定だ。よく思い出してみよう。セルの色を塗っているときは「白」の部分を透明として透けさせる、という約束事があったハズだ。今度の「海」のBookは「透明」にしてしまったじゃないか。どうなるんだ?!

...なんてことになったら、[レイヤー設定]パレットを表示させよう。

レイヤーは[Book海]が選ばれていることを確認して、[設定]タブを選択するとレイヤーの合成モードや透過指定などを設定できる。[透過指定]で[α透過]を選択すると、透明部分が透けるようになる。[透過指定]は他に

・[白透過]
・[α透過]
・[α(反転)透過]
・[全面不透過]
・[α(カラーマット)透過]

これらの種類が用意されている。背景を使用する[-BG]では[全面不透過]が自動的に選択されたりもするが(背景はその後ろを透けさせることはまずないため)、セルレイヤーは、この[レイヤー設定]を利用して設定するクセをつけておこう。
これで、「空」の上に「海」が表示されるようになる。

表示方法もバッチリになったら、それぞれのセル番号を入力する。今回Bookは1枚なので、セル番号も背景と同じようにすべてのフレームに[1]を入力する。

ステージを確認すると、背景とBookが表示されているはずだ。長さの違う背景は「海」と「空」でスライドするスピードに変化をつけるためのもの。「海」の背景を「空」よりも2倍程度速めに動かすのだ。

 

(4)ブレ

突然だが、ビデオカメラで撮影をしたことはあるだろうか。撮影自体をしたことがないという人も、撮影された映像を目にすることはあるだろう。カメラを素早く動かしてしまった場合によくあるのが「ブレ」というものだ。

このようなブレたように見える効果を、スライドに合わせてかけると、実際のカメラで撮ったような「ブレ」を再現できるのだ。今回は「海」の背景にこれをかけてみたいと思う。

移動や拡縮の時に設定したボタンをクリックして、設定項目を[モーションブラー]に指定する。[Book海]の各フレーム(コマ)の数値を総て20にすると、海の背景をスライドした方向に「ブレ」させることができる。

ここまで設定した状態で

このような動画になる。手前にくる海が素早く動き、向こう側の空がゆっくり動いて、立体感のある動きになったのが判るだろう。モーションブラーの効果も、ちょっぴりだが、あるとないとでは結構雰囲気が変わってくるのだ。さらに、今回は[水面]というセルレイヤーも挿入して、海の水面が光っているようなセルも追加で入れておいた。これで、海の上を爽快に疾走する雰囲気が出てきただろうか。

アナログ作業の頃は、背景マンが透明なセル画の上に筆でBook部分の背景を描いたり、背景を切り取ったり、なかなか手間がかかったらしい。そんな大変な作業もアルファ(透明)情報を使えば簡単に行えるのだ。Bookの活用は構図をより立体的な動きのあるものにできるので、ぜひ研究してみて欲しい。

 

(5)エフェクトも簡単

では次にエフェクトの作業を行っていこう。背景にBookもつけて、かなりかっこいい感じになってきたので、いろいろと調整してみたいと思う。

このように拡大縮小と移動を調整して、セルを描き足すことなく少しだけ派手な動きをつけてみた。さて、この動画をじっくり見て、さらに妄想をふくらませてみよう。

この動画の一番はじめ、ワンコが手前から画面に入ってくるところは、ピントが合わずにぼけたような効果を入れてみたい...。セルをぼかすような効果はどうやっていれたらいいだろう。モーションブラーはスライドさせた方向にブレるだけなので、フォーカスが合わないような「ぼけ」とはちょっと違う。拡大縮小・移動・回転にモーションブラーも設定できるようにはなったけれど、タイムシートで設定できる項目には「ぼけた」表現ができるようなものはもうなかったぞ...。

こういう場合、

セルレイヤーを追加したときと同じように、「エフェクトをかけたいセルレイヤー」上で右クリックメニューを表示させて対応する。今回は[A]に「フォーカスがぼけたようなエフェクト」をかけたいので、[A]上で右クリックメニューを表示し[エフェクト]→[追加]→[ぼかし]→[フォーカス]を選択する。

エフェクトが追加されると[A]の右横に[フォーカス]の設定が表示される。フォーカスのエフェクトは[フォーカス値]の数値が0に近づくほどピントが合った描画になる。今回は手前をぼかしたいので、ワンコが手前にいる状態(24フレーム)のフォーカス値を[100]にし、奥にいる状態(42フレーム)のフォーカス値を[0]にして[中割り]パレットを使って自動計算させた。

エフェクトを追加すると、[A]の横に[フォーカス]のエフェクトが表示される。

[A]の横にある青い三角をクリックすると、この表示/非表示を切り替えることができる。

エフェクトは複数重ねることもできる。より高度なエフェクトをかけたい場合に活用しよう。

 

(6)[エフェクト]パレット

さて、タイムシート上で右クリックメニューを出してエフェクトを追加するのもいいが、エフェクトにはどれだけの種類があるのか少し把握しにくい。そこで、[エフェクト]パレットを使って、エフェクトを選ぶ方法も覚えておこう。

[エフェクト]パレットではカテゴリ(赤い枠)を選ぶと、カテゴリ別に選択できるエフェクトが選べるようになっている。これがまた多種多彩で、すべてを覚えることは不可能だ。[エフェクト]パレットを使ってエフェクトの種類をチェックすることもできるので、あらかじめ確認しておくといいだろう。

[エフェクト]パレットからセルレイヤーにエフェクトを追加することもできる。

タイムシートで[A]などのセルレイヤーを選択した状態で、[エフェクト]パレットの[シートにエフェクトを登録]ボタンをクリックすると、タイムシートの選択したセルレイヤーにエフェクトが追加される。

また、先ほどのフォーカスぼかしなどは、「ぼかし具合」くらいしかパラメータはないが、もっと細かなパラメータを有するエフェクトもある。

さらに細かな設定は、[レイヤー設定]パレットでタブの[エフェクト]を選択して行える。タイムシート上で選べるパラメータ以外の設定などが用意されているエフェクトもあるので、[レイヤー設定]パレットは常にチェックするクセをつけておくといいだろう。

こちらは[レンズフレア]エフェクトの設定だ。プレビュー画面に十字マークがあるエフェクトには、画面上の位置をドラッグで移動できるものもある。エフェクトの操作は[タイムシート]ウィンドウだけではなく[レイヤー設定]パレットを組み合わせることで視覚的にも判りやすくなる。

 

(7)そろそろ完成

さて、エフェクトをかけたらそろそろ動画は完成だ。

ムービーの出だしでワンコにフォーカスのエフェクトが付加されている。

これまでの作業で撮影の設定次第でムービーの雰囲気もずいぶんと違ってくることが判っただろうか。アニメというとどうしても作画マンに目が行きがちだが、同じように彩色や背景・撮影などの作業もとても重要なのだ。動画・彩色・撮影のパートごとにアプリケーションを使い分けるのも、それぞれの操作の独立性が高いという理由もある。

RETAS STUDIOの各アプリケーションでは、起動後[F12]キーを押して[ファイルブラウザ]を表示させて、カットフォルダを管理していくと説明してきた。アニメを作りたいと思ったときに、重要なカットフォルダはRETAS STUDIOの各アプリケーションの中で[ファイルブラウザ]を通じて一元的に管理できるようになっている。[ファイルブラウザ]を活用して、RETAS STUDIOの操作をより効率よく行えるように、何度も好きな動画を作って操作に慣れていくといいだろう。まずは「習うより慣れろ!」なのだ。

約半年にわたってRETAS STUDIOの操作方法の初歩を説明してきたが、アニメの世界は本当に奥が深い。日本ではテレビでも映画館でも面白いアニメ作品が常に発表されている。
この講座を通じてRETAS STUDIOに興味を持ち、自分で作品を作って発表し、さらに本格的にアニメの制作に携わりたいと感じてくれたとしたら、これほどエキサイティングなことはない。ぜひ、自分のオリジナル作品を作ってみんなを驚かせてみて欲しい。

それでは、本講座はコレにておしまい。基本的な内容がわかってきたら、プロフェッショナル講座なども読み進んでいくと、RETAS STUDIOの奥の深さが判るだろう。

それでは、お疲れさまでした!

コメント
コメントはありません