第5回 2Dと3Dのコミュニケーション~中編~

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 2815回 総合評価 : 0件

(1)アクターの作成

講座概要
「2Dと3Dのコミュニケーション 中編」ではデータのエクスポート、インポート時における重要なポイントを説明していきます。なお、詳細なアニメーションの動きの演出指示については後編で解説していきます。

アクターの作成

左の絵:設定
中央の絵:中に入るアクターのあたり
右の絵:それを元に作成したCGアクター

作画(2D)とCG(3D)のコミュニケーションをスムーズにするためアクターを作成します。この特撮映像におけるアクタースーツのようなものを作ることにより、初期段階での動きの段取りをチェックできます。また、最終モデルデータが完成する前に作業をスタートさせることも可能です。外装をつけない状態での作業は描画スピードが速く、データの容量も少ないため効率的に作業ができます。

 

(2)Autodesk 3ds Max9作業時の設定


Autodesk 3ds Max9 レンダリング画像

■Autodesk 3ds Max9のBipedとDummyデータでボーンを作成します。外装となるモデルはそれぞれにリンクさせて配置します。

■秒間隔は24コマに設定してください(シーン全体の秒数 8+12秒)。

Autodesk 3ds Max9でのアニメーション作業が終了したら[ファイル]→[書き出し]でファイルの種類をMXOLでシーンデータとして書き出します。シーンデータの方が書き出しの時間が短く、またデータサイズも小さくて済むからです。

コンバートデータ比較 (26フレーム分 出力サイズ950×540)

  JPEG PNG(RGB24ビット) MXLO
コンバート
(レンダリング)時間
28秒 33秒 1秒
ファイルサイズ 3.06MB 4.25MB 1.37MB
備考 レンダリング時間1枚約1秒 カメラのレンズの画角にズレが発生

 

(3)MXOLコンバート時のレンズ画角のズレを比較

Autodesk 3ds Max9 カメラレンズ24ミリ設定


JPEG画像を読み込んだ[Stylos]画面(比較のため色を変更)


MXLOデータを読み込んだ[Stylos]画面


MXLOとJPEGを重ねた画像

画像を重ねてみると中心から外側に広がるにつれて、画角のズレが発生しています。
今回は途中段階の動作指示用の素材なので、書き出し時間が短いMXLOファイルを使用していきます。

 

(4)Autodesk 3ds Max9のMXOLエクスポートの注意事項


Autodesk 3ds Max9 MXOLエクスポートウィンドウ

■MXOLエクスポートウィンドウは上記の画面を参考に赤く囲まれた箇所にチェックを入れてOKを押してください。アニメーションデータもエクスポートされます。

■BipedとDummyはオブジェクトとしてエクスポートされません。
表示した状態でエクスポートしても問題ありません。

 

(5)[Stylos]でエクスポートされたモーションデータに指示を入れる

[Stylos]で指示を入れるための[カットフォルダ]を新規に作成します。
[ファイル]メニューから[新規]→[カットフォルダ]を選択します。

[作画カットフォルダ]の設定画面です。上記の赤く囲まれている箇所を設定していきます。

[ファイルプレビューワー]パレットの[動画]が選択されている状態で[A]セルを左クリックします。

[A]セルの1番目にセルのデータが作成されました。

[ライトテーブル]パレットの[登録...]ボタンをクリックしてAutodesk 3ds Max9からエクスポートしたMXOLファイルを登録します。

[ライトテーブル]に登録したいMXOLファイルを選択して開きます。

[A]セルの動画1にMXOLファイルが登録されました。


セルウィンドウにMXOLファイルが登録された状態

シーンデータが暗くて形状が見えにくい場合はライティングを調整します。

[ライトテーブル]パレットでMXOLファイルが選択された状態で[メニュー表示]をクリックします。

[3D光源設定]をクリックします。

影になる部分を減らすための追加光源オプションすべてにチェックを入れます。それにより、明るくなりすぎるので明るさの倍率を0.8に下げます。


3D光源設定調整前セルウィンドウ


3D光源設定調整後セルウィンドウ

 

(6)修正指示を入れる

ライトテーブルに登録した3DCGデータに対して修正指示を入れていきます。

[レイヤー]パレットの[新規レイヤー作成]をクリックします。

[新規レイヤー]ウィンドウが表示されます。レイヤー名をCG修正指示と記述し、レイヤーの種類は[指示レイヤー]を選択してOKをクリックします。

[レイヤー]パレットに「CG修正指示」という名前のついた指示レイヤーが挿入されました。このレイヤーが選択されている状態で、ペンツール等で修正指示を入れていきます。


修正指示の入ったセルウィンドウ

修正指示を入れ終わったら、修正指示をCGソフトに戻すために画像として書き出します。[ファイル]メニューから[書き出し]→[仕上げ]を選択します。

[仕上げ書き出し]ウィンドウが表示されます。上記の3つを選択してOKをクリックします。

CGソフトが読み込める画像形式(ここではJPEG)を選択して[白背景を合成]にチェックを入れて保存します。

上記のような修正指示のみが書き出された画像ファイルが作成されます。この画像をCGソフトで読み込んで動きの修正を行っていきます。

まとめ
以上がプリントアウトやスキャニングといった作業を行わないワークフローになります。
タイムロスを無くし、アニメーションワークに時間が使えます。3DCGの利点と作画の利点を組み合わせたアニメーションを制作していきましょう。

次回予告
後編は今回のワークフローで制作したカットのアクションの解説をしていきます。プロのアニメーターがアクションを演出する上でのポイントとは何か?その真髄を説明します。

コメント
コメントはありません