第6回 2Dと3Dのコミュニケーション~後編~

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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(1)[Stylos]を使用するメリット



講座概要
前(導入)編、中編と2回に渡って説明してきた講座も今回が最後の後編となります。
作画(2D)とCG(3D)のコミュニケーションツールとしての[Stylos]とはどういったものなのか、という説明とアニメーションの解説をしていきます。

■[Stylos]を使用するメリット

[Stylos]を使用しない場合の3Dアニメーションのチェック方法

チェック方法 ポイント
プリントアウトした紙に修正指示を入れる ●アニメーターが鉛筆で指示を入れるため通常の作業と同じ流れで対応可能
●アニメーションの動きのチェック方法も紙と同じ方法(指でパラパラめくる)で対応
●大量のプリントアウトが必要なためそのコストと時間が必要
●修正指示をスキャニングしてデータ化する時間が必要
レンダリングした連番画像データに修正指示を入れる ●プリントアウトのコストも時間も発生しない
●アニメーションの動きをチェックする場合、撮影用のソフトに読み込む必要がある


[Stylos]を使用した3Dアニメーションのチェック方法

チェック方法 ポイント
[Stylos]で3Dアニメーションに指示を入れる ●アニメーションデータ(MXO使用時)のみのやり取りのためデータの管理がスマート
●アニメーションデータのコンバート時間が短い
●[Stylos]のタイムシートに対応させたアニメーションの修正指示が入れられる


効率的にアニメーションチェックを行う場合には、それ以外の作業にかかる時間(プリントアウト、レンダリング)を短縮する必要があります。また、修正内容を的確に管理する必要もあります。[Stylos]を使用するメリットはコンバート時間の短さと修正内容を統一して管理できることにあります。

 

(2)アニメーション解説

引きのアングルから全体の動きを見てみましょう。

アニメーションを制作する流れは
■ロボットの基本の動き(立ち上がり→剣を抜き→構える)を作成
■その動きに対してカメラワークを作成
■ロボットの動きを調整(動きのタメやポーズの調整)
■その動きに対してカメラワークを調整
になります。合わせてパーツのサイズの変更なども一部行います。

 

(3)各フレームでの解説 1

カメラのアングルやカメラワークの調整次第でとても迫力のある映像になります。

設定したカメラのアングルから完成モーションを見てみましょう。

いかがですか。それでは各フレームごとに解説をしていきましょう。

1フレーム目から18フレーム目まではロボットの顔をしっかり見せていきます。視点と注視点に注意しながらカメラの回り込みの動きを調整していってください。

カメラはゆっくり下がり、ロボットを煽ったアングルで抑えます。そのときカメラのレンズも広角から望遠へ変化させていきます。

38フレーム目から79フレーム目までをスムーズに繋げていきます。背中の剣がせり上がる動きを見せるためカメラは横に回り込みます。

画像では手は握った状態ですが、本番モデルでは開いた状態になります。剣を掴んだ動きをより印象づけるためのアクションになります。


79フレーム指示画像

85フレーム目で剣を掴みます。
この段階で「ガシッ」という音が感じられるようになっていればOKです。

 

(4)各フレームでの解説 2

96フレーム目は剣を一気に引き抜くための動きを見せるアングルです。次のフレームからカメラの前を刃が横切るので、剣の軌道とカメラの位置に注意してください。


96フレーム指示画像

109フレームから114フレームまでは剣の動きに合わせてカメラを密着させて移動させます。
このアクションをワイプのように扱うことで、カメラの位置を勢いよく移動させることができます。

 

(5)各フレームでの解説 3

剣を振り切ったあとのフレームです。バストアップで見せるためカメラを引いた位置にします。

次のアクションに移るための予備動作のフレームになります。剣を引き抜いたアクションの余韻と次のアクションを繋げるための重要なフレームです。


133フレーム指示画像

剣を振り上げる動きに繋がるアクションです。体全体を使った動きをすることによって巨大な剣を無理なく動かしているように見せます。


145フレーム指示画像

 

(6)各フレームでの解説 4

剣を振り下ろすためのアクションになります。
腰の捻りの動きに合わせてカメラを若干回り込ませます。

174フレームから一気に剣を振り下ろしてラストの決めのポーズになります。
このポーズはカメラのレンズサイズだけでは表現できないため、剣の刃のサイズを2倍で作成しました。振り下ろしたあとにクッションのような沈みの動きを加えることによって剣の重さを印象付けます。

 

(7)アニメーションを作り終えて

普段見慣れているはずのアニメの動きをいざ再現しようとしても、何をどうすれば良いかスムーズにはわからないものです。スポーツ選手のフォームを分解写真で見ても、原理を知らないと真似できないのと同じです。
そのような「良く見る動き」の再現に今回の講座が少しでも役に立てばと思います。

また、貴重なチェックの時間を有効活用するためにも今回のような[Stylos]の使い方があることを是非覚えておいてください。

今回の講座ですが本来は元になるモーションのみで終了する予定でした。しかし実際の映像になったものも当然見たいと思いますので、完成を目指して現在モデルデータを制作しています。どこかの機会で最終版を公開できればと思います。


制作中のモデルデータ

次回予告
次回は作画のキャラクターと3Dデータを組み合わせたカットを制作していきます。
今回とはまた違った[Stylos]の使い方を解説していきます。

コメント
ピースワーカーS 2014/09/01 03:02
3Dモデルのアニメーションと2Dとの併用での制作の参考になります。。つづきを期待してます^^