第8回 作画のキャラクターと3Dデータを組み合わせたカット制作~後編~
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(1)クリンナップしたキャラクターと背景CGを合成する
講座概要
今回は作画のキャラクターと3Dデータを組み合わせたカット制作の後編になります。
素材ごとに並行して作業を進めながらブラッシュアップしていきます。
クリンナップしたキャラクターと背景CGを合成する
第7回の講座で作画したキャラクター「セルフィー」の表情を若干凛々しくして設定に合わせて彩色します。並行して作業していったコクピットの背景データと重ね合わせます。するといくつかの調整が必要なポイントが見受けられました。
●ポイントA(赤)
角度がずれているようです。グリップのモデルデータを作画に合せて調整します。
●ポイントB(青)
アングルの問題でキャラクターの左腕がほとんど隠れてしまいました。グリップカバーの形状と位置を調整する必要があります。
●ポイントC(緑)
重なり順を考えて素材分けをします。
この3つのポイントを踏まえつつ、全体に対してディティールの調整をしていきます。
(2)作画キャラクターをブラッシュアップしていく
CG背景の調整中にキャラクターの立体感や質感を強調するため、ブラシワークによる作業を行います。
彩色されたキャラクター(バイザー素材外した状態)
ブラシワークによる質感の追加(トレースライン、ブラシのみの状態)
ブラシワークによる質感の追加(彩色状態)
ヘルメットのパーツに対しても質感を追加していきます。ガラスの中に顔が見えるようなブラシを追加していきます。
ヘルメットのハイライトや影の部分にブラシを追加(バイザーブラシのみ)
ブラシを追加することによりバイザーの歪曲感を表現していきます。
キャラクターにブラシを追加した状態
バイザーの素材を50パーセントの透明度で重ね合わせます。またヘルメットの赤い発光箇所にフレアのブラシを追加します。
左:処理前 右:フレア処理追加(緑で囲まれている部分)
(3)背景CGと再度組み合わせる
3つの修正ポイントが更新されたデータです。グリップの角度が修正されて手にフィットしました。グリップカバーの形状も新規で作り直したため左腕も見やすくなりました。
(4)追加ディティールを入れる
[Stylos]のライトテーブルパレットを使用して、背景とキャラクターに線の修正や影の追加、ディティールを描き込んでいきます。
赤で囲まれている部分の途切れた線を繋ぎます。
[Stylos]のツールパレットの[曲線]ツールを使って線を足します。
曲線の太さ0.79で描いた線
書いた線が他と比べると太いので修正していきます。
[Stylos]のツールパレットの[線幅修正]ツールを使って線の太さを修正します。
[線幅修正]ツールオプションの[指定幅で細らせる]を選択します。設定は0.10mmです。
修正後
キャラクターのシートの線と影を追加した背景CG
このように、CGのモデリング段階で不足しているディティールを[Stylos]で作画します。手描きのキャラクターの線と違和感がないように線に強弱を加えていきます。
全てを重ね合わせた最終データ
前後編と2回にわたり作画とCGを並行して進められるカット作業を説明してきました。複雑なデザインに対して有効な手法になると思います。
次回予告
次回は新規のカットでの講座になります。テーマは作画によるエフェクトの作成になります。
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