第10回 デジタル作画の優位性~後編~
閲覧数 : 5843回 総合評価 : 0件
(1)講義概要
今回は前回制作したカットをどのように修正していくかを解説していきます。リテイクがでた場合のワークフローを通常の作画と比較しながら説明します。
(2)修正箇所
チェックムービーを提出して、クライアントからいくつかの修正ポイントがでてきました。
■編集の都合により、アニメーションシーンの時間が10秒から12秒へ変更
■次のカットへ繋げるために、画面を分断するような刀で斬るアクションを追加
■躍動感を強調するため、馬と人の動きを修正
以上のポイントを踏まえて動きのラフ原画を作成して問題がなければ、動画・仕上げ・撮影になります。
左は修正指示をまとめた原画の一部です。上から下に向かった時間の流れになります。
馬の首、タテガミのなびき、鎧の肩の部分の動き、髪の毛のなびき、刀の軌道を追う光のマスクをそれぞれ別々に作画していきます。
(3)デジタルの修正ワークフロー
比較として通常の紙で行う修正のワークフローも表記します。
※カット袋を物理的に移動する必要がないため作業の流れがスピーディーになります。
(4)修正原画
修正した原画ムービーの1部抜粋したものです。
修正原画を元にセル分けを行います。
(5)動画、仕上げ
原画を元に作成した動画、仕上げの最終データです。前回のデータと比べてポーズ、髪のなびき、甲冑の揺れなどが反映されました。
また、より躍動感をだすために馬も別作画にしました。
さらに、カットのつなぎのタイミングに合わせて、エフェクトのマスクを別作画しました。
(6)最終画面
背景とカメラワーク、エフェクト効果を追加してカットを仕上げます。編集でさらに画面をホワイトアウトさせるため時間を長く取っています。
(7)作業期間の集計
トータル作業期間はデザインからチェックまで4日間、修正から再提出まで5日間、トータル9日間の仕事になりました。
最近では、さまざまな人たちがコンピュータを使いアニメーション作品を発表しています。今後はプロの世界でもデジタル作画を使う機会が増えると思います。作業時間やアイディア出しの時間を増やすために、デジタル作画を有効活用していくことが今後の課題となるでしょう。
コメント