第4回 編集1 人物を動かす
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さてはて、講座もついに4回まで来てしまいました。 ここまでいかがだったでしょうか? 作画で、思うように絵が描けなかったり、ちゃんと本や資料を見ながら動きを描いたつもりなのに、動きがぎこちなくって凹んだりすることもあるかもしれません。また、彩色では、同じ作業の繰り返しに飽き飽きしてしまったり。
筆者は、一人で家でずっとアニメーションを作っていると、たまにどうしようもなく辛いというか、寂しくなる事があります。 嫌になって挫折したくなることなんてざらです(笑)
昔人に言われた言葉で、「頭の中にあるイメージが一番素晴らしい。それをそのまま表現するために、絵を練習したり、技術を求めたりするのだ」というのがあります。 何度も投げ出したくなって、それでも作品を作るのは、自分の頭の中にある世界や物語をより素敵な形で多くの人に見て欲しいからかもしれません。
まぁ、いつもはなんてこと考えながら作品なんて作ってないんですが(笑) 作りたいから作っております。
さて、という訳で。 せっかく作画・彩色までこぎ着けたのに、ここで挫折してしまったらもったいないです。 どんなに短かろうが!どんなに動かなかろうが! 編集しましょう☆そうして完成した作品が、次の作品を作って行く力にもなります。
(1)編集する前に
さて、それではお決まりの編集前の準備です。 まず[CoreRETAS]を開きます。
現在[①レンダリング][②書き出しキュー][③エフェクト]の3つのウィンドウがでています。
ですが、この状態では作業が出来ません。 なぜなら、作業に必要なウィンドウの半分すら、表示できない状態にあるからです。 [ウィンドウ]メニューでも、たくさんのパレットがグレーアウトしています。
とにかく、まずは新規「タイムシート」を作成しましょう。
とりあえず、今の所設定などは適当でいいです。 すると、たくさんウィンドウがでました。これで編集の準備が整ってきました。
CoreRETASでは、タイムシートを開いていないと、表示できないパレットがたくさんあるのです。 まずはこれらのパレットを一つ一つ説明して行きます。
①タイムシート
CoreRETASでの編集の要です。 このウィンドウ一つで編集が全て出来ると言っても、あながち間違ってはいないと思います。
一番左の「CAM」がカメラレイヤー。 「-BG」〜「D」までは(セル)レイヤーです。 各マスに数値を入力すると、位置や表示が変化します。
②ステージ
タイムシートに打ち込んだセルが、ここに表示されます。 赤い枠が画面の範囲となっていて、赤い枠の外側は書き出しの際に表示されません。 また、初期設定では別パレットで「エフェクト」を使用しても、使用したエフェクトの効果はこのステージには表示されない設定になっています。
③セルバンク
ここに、セルを登録します。 セルバンクは、画像一枚だけを読み込むのではなく、今まで作ってきた、A0001、A0002、A0003、A0004と、連番になったファイルをまとめて読み込みます。
ここに登録された絵の番号を、タイムシートに記述していきます。
④レイヤー設定
名前通りレイヤーの設定をして行きます。 この場合の「レイヤー」というのは、先ほどのタイムシートに記述のあった「CAM」と「-BG〜D」の事を指します。乗算合成や加算合成など、レイヤー画像の合成モードも変更できます。
⑤中割り
中割りとは、例えばAからBまでキャラクターを移動をさせる時に、間を勝手に埋めてくれる機能です。
このウィンドウと、タイムシートに、数値を入力してセルやカメラを動かします。
⑥エフェクト
このウィンドウで、使用するエフェクトを選び、適用できます。
その他「レンダリング」と「書き出しキュー」は、今はまだ使用しないので、また後で説明していきます。 パレットの詳しい説明は、オンラインマニュアルの17〜19Pにも書いてあります。
今はまだ分からなくても、一通り読んでおくと、後から役立ちます。
(2)人物を動かそう!
さて、いよいよ編集に入ってゆきます。 一応今回の「スペース・スペース」の編集手順としては・・・
①タイムシートを入力し、キャラクターを動かす。
②キャラクターを配置し、背景やテクスチャを合成する。
③エフェクトをかけ、色調を調整する。
の、三段階で作業を行っています。 動画で見てみると、こういう形です。
さて、今回は「①タイムシートを記入し、キャラクターを動かす。」の手順を説明していきます。 早速タイムシートの入力に入りたいところですが、CoreRETASでは、タイムシートに使用する素材を予め[セルバンク]に登録しておく必要があります。
1.タイムシートを作成する
まず、先ほどと同じように[ファイル]メニュー→[新規]→[タイムシート]で新規タイムシートを作成します。 タイムシート名と、作画の際につけた作画のカットフォルダの番号が、同じだと後で混乱しません。
設定は、上から…
・フレーム数
タイムシートの長さです。現在「4+0」となっていますが、これは4秒と0コマという事です。 どのくらいの秒数をとればいいか分からない人は、とりあえず5、6秒と長めの時間を取っておきましょう。(後で長さを変えることもできます。)
・レイヤー数
タイムシートで、セルを何枚重ねるか、の設定です。レイヤーも、多めに作っておくと便利です。 例えばこのシーンの場合、全部で7つのパーツがあるので、レイヤー数も7つ無いと編集の時に足りなくなってしまいます。 「大は小を兼ねる」とも言いますので、フレーム数もレイヤーも、多めに作っておきましょう。
・カメラサイズ
画面の大きさです。今回は、カメラサイズを原画のサイズにあわせましょう。 今まで原画を960×540で描いて来たので、「960×540」と入力します。 この3つを気をつけておけばとりあえずは大丈夫です。 [OK]ボタンをクリックして、画面が現れたでしょうか?
2.セルバンクにセルを登録する
次は、[セルバンク]にセルを登録してみましょう。 まず「A」レイヤーの画像を読み込むので、左上のセルバンクを「A」に設定しておきましょう。 次に、[セルバンクの登録]ボタンを押します。
[開く]ダイアログが表示されます。
①Aのカットの、A0001.celを選択します。
②[選択ファイルのみ登録]のチェックを外します。 [選択ファイルのみ登録]のチェックを外した状態では、Aのフォルダ内にあるファイルが全て読み込まれます。逆にチェックをしていると、選択した1枚だけが読み込まれます。
③ファイルを選択できたら、[開く]ボタンを押します。
絵がちゃんと番号順に読み込まれたでしょうか?
問題なければ、同じ手順でB〜Fレイヤーまで、それぞれのバンクに画像を読み込んでしまいましょう。
(3)タイムシートを打ち込む
1.タイムシートのしくみ
実際にタイムシートを打ち込む前に、ざっくりとタイムシートの説明をしましょう。
①フレーム:時間を表示しています。下に行くほど時間が経過します。
②レイヤー:横に並んでいるので分かりづらいですが、左に行くほど重ね順が下で、右に行くほど上になります。
アバウトに図解すると、こんな感じです。
③セル番号:セルの番号を入力/確認できます。詳しくは、後で説明します。 セル番号以外に位置や透明度のパラメータも入力できます。
④数値:座標の数値やセル番号を入力します。
2.実際の操作
[セルバンク]の画像の下に、数字が書かれていますよね?これを「セル番号」と言います。 タイムシート上で画像を指定する時は、この「セル番号」を入力します。
タイムシートの表示の切り替え
タイムシート下部でタイムシートの表示サイズが切り替えられます。 レイヤー数が多くなる場合は、「小サイズ」にしておくと、タイムシート上に一度にたくさんのレイヤーを表示できます。
基本的にこの講座ではタイムシートを「小サイズ」で表示します。
タイムシートの表示パラメータが「Cel(または「セル番号」)」になっていることを確認して、タイムシートにセル番号を打ち込んでみましょう。
黒で囲まれている、「A」レイヤーの1フレーム目に「1」と打ち込みます。 ステージに絵が表示されましたか?
ここで、ステージに絵が表示されていない人! 私も最初は表示されませんでした。そういう人は…
①[ステージ]ウィンドウ上の表示オプションを確認する
[フロントビュー][画像の表示]この2点をクリックしてオンにして下さい。 また、表示中のフレームが「1を打ち込んだ1フレーム目」となっているかも確認します。 絵は表示されましたでしょうか?
②セルの位置を確認する
それでもまだ絵が表示されない場合は、セルの位置を確認します。 タイムシートで「A」レイヤーの「cel(セル番号)」という項目をクリックしてください。このリストで、タイムシートに表示するパラメータを「セル番号」以外に変更できます。
リストを変更して、[T位置X]が「0」、[T位置Y]が「0」である事を確認して下さい。 ここの数値が違っていると、画面外に絵が表示されている事があります。
3.タイムシートをとにかく打ち込む
さて、絵が表示されたら、とにかくセル番号を見ながら各レイヤーに タイムシートを打ち込んで行きましょう。 作例動画の完成版のタイムシートを見るとこんな感じになっています。
タイムシートは、「何秒に何の何枚目の絵を何秒間表示させるか」を決めるので、感覚的に作るよりも、計算しながら作るのに向いています。
タイムシートの打ち方は…
A:打ちたいフレームを選択して、セル番号を打ち込む。(複数フレームをまとめて選択しても良い)
B:赤丸の部分をダブルクリックし、一気に全フレームを打つ。 この2つが基本の打ち方です。 これは各自色々と思考錯誤しながら打ち込んでみて下さい。 こればかりは、習うより慣れろが一番だと思っています。
さて、画像は表示されたでしょうか?
ステージの[再生]ボタンできちんと動いているのか簡単にプレビューできます。 (ただし、ここでのプレビューは、速度など正確ではありません) ここで確認して、動きが気に入らなかったら、またタイムシートを打ち直しましょう。
それと、今のレイヤーの順番では口が髪の毛の上に来てしまっています。
こういう場合は、レイヤー順を変更しましょう。 レイヤーの並べ替えは、タイムシート上で移動させたいレイヤーをドラッグするだけです。 赤い▼マークの位置に移動します。
このように修正できました!
4.音声を登録する
タイムシートを打つ時に、口パクをさせるシーンもあると思います。 そういう場合は、音声を聞きながらでないと作業しにくいですよね?
音声を登録するには…
①タイムシートの左の方にある▽ボタンを押す。
②すると、中央の図のようにピンクの帯が現れます。
③そこで、右クリックをし、メニューから[登録]を選択します。
音声ファイルを選択し登録すると、このように波形が表示されます。
タイミングを調整したい場合は、+ーで調整できます。
音声を聞きながら、口パクのタイミングを合わせます。
[4]人物仕上げ
1.RAMプレビューしてみる
タイムシートを一通り入力したら、一度[RAMプレビュー]をしてみましょう。 先ほどのステージでの再生とどう違うのか?ということですが、[RAMプレビュー]は、より正式な書き出しに近い形でのプレビューを見る事が出来ます。 音声を確認したり、エフェクトの効果を確かめたり、カメラワークのチェックをするにも、[RAMプレビュー]を使用します。 [ファイル]メニュー→[RAMプレビュー]→[全フレームを実行]で実行してみましょう。
ちゃんと再生されましたか?
▼線が汚い場合
再生はされたけど、なんだか線のふちが汚い…という場合
[ファイル]メニュー→[書き出し]→[レンダリング設定]で、[エッジの二重スムージング]にチェックを入れておけば問題ありません。
また、[ファイル]メニュー→[RAM プレビュー]→[設定]で、[スムージング]の項目で[実行しない]を選択することも出来ます。 この場合、線は元のぎざぎざのままなのですが、書き出しの時間は短縮されます。 動いてることさえ確認出来たらいい、という人はこちらをおススメします。
▼RAMプレビューで絵が表示されなかったり絵の一部が切れている場合
それはカメラの位置の問題かもしれません。 これはカメラの位置で、大雑把に説明すると、カメラが正面を向いていると絵が表示されるのですが、カメラの位置がずれていたり、傾いて他の方向を見ていたりすると、セルがきちんと画面上に表示されない、ということです。
「CAM(カメラ)」の位置を確かめるには、セルの場合と同様に、タイムシートの表示パラメータを[T位置X]と[T位置Y]に切り替えて確認します。 作例の場合は、「CAM」レイヤーのT位置Xが「480」、T位置Yが「270」になっていれば問題ありません。ちなみに画面サイズが違うと、ここの数値も変わります。
カメラの位置は、ステージ上では確認しにくいので、必ず[RAMプレビュー]でチェックを行ってください。
2.保存する
このあたりで、一度タイムシートを保存しておきましょう。 もし万が一間違って消してしまった場合など、心のダメージは大きいです。 保存する場合はショートカットキー[command]+[S](Windowsの場合は[Ctrl]+[S])を押すか、[ファイル]メニュー→[保存]を選択します。 タイムシートも、他の素材と同様に一つのフォルダにまとめて保存しておきましょう。 作業が進んでくると、大分溜まってきます。
3.書き出ししてみる
さて、ここまでできたら[書き出し]をしましょう!
(1)書き出しは、[ファイル]メニュー→[書き出し]で行います。
(2)書き出しの設定画面が表示されたら、保存場所の設定をします。 保存場所は、[追加]ボタンをクリックしてフォルダの指定をしておきます。 (この場合も一つのフォルダにまとめておいた方がわかりやすいですよ!) 保存場所を設定できたら、「レンダリング設定」をクリックします。
(3)レンダリング設定では、以下のように設定します。
スムージング:実行しない
スムージングとは、線にアンチエィリアスをかける事です。 ガタガタしている線が、なめらかになりますが、今回はまだ背景と合成しないといけないので、「実行しない」を選択します。
背景:透過させる
背景を透過させるにチェックをいれておかないと背景が透けないので、後で背景をつける時に不便です。必ずチェックをいれるようにしましょう。
(4)設定が完了したら、[OK]をクリックします。
4.確認する
書き出しが完了したら、きちんと動画が書き出されているかどうか確認して下さい。 この動画ファイルは次の工程で使用します。 問題がなかったら、一つ目のステップはクリアです!
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