1.ラフの作成

提供者 : セルシス    更新日 : 2018/12/05    作家 : siro
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使用したバージョン:CLIP STUDIO PAINT Ver.1.4.2

[1]ラフの作成
[2]パース定規の設定
[3]立体的に描き起こす

[1]ラフの作成

今回のイラストでは、ファンタジーをテーマにしたいと思ったため、クラシック音楽で有名な『魔法使いの弟子』(作曲家:ポール・デュカス)という管弦楽曲をモチーフに発想をふくらませてみました。

(1) ラフ用のレイヤーを作成します。ラフの時点ではうまく描こうとは思わずに、どういう背景にキャラクターやモチーフを描いていくか、思いつく限りの物を描いていきます。

(2)だいたいの形が決まったら、ラフのレイヤーを複製して「人物」と「背景」にレイヤーを分けます。

▼レイヤーを複製するには、元になるレイヤーを選択した状態で右クリックし、表示されるメニューから[レイヤーを複製]を選択します。作成された「(元のレイヤー名) のコピー」レイヤーは、レイヤー名部分をダブルクリックして任意のレイヤー名に変更できます。また、パレット内をドラッグして重なり順を変更できます。

(2)「人物」「背景」のレイヤーのそれぞれ余分な部分を[消しゴム]ツールで消したり、[レイヤーマスク]を使って非表示にしたりします。元のラフレイヤーは必要なくなるため、[レイヤー]パレットの左側の目のマークをクリックして消し、非表示にします。

▼[レイヤーマスク]はレイヤーに描画された線や絵を全体または部分的にマスク(非表示)にできる機能です。
※[レイヤーマスク]について詳しくは、機能解説!トラの巻「レイヤーマスクを使いこなす1」を参照してください。

(3)ラフのレイヤーは作業に応じて随時[レイヤーカラー]を設定したり、不透明度を変更したりしています。

①[レイヤー]パレットの上部で[不透明度]を変更できます。
②[レイヤープロパティ]パレットの[効果]でレイヤーに[レイヤーカラー]を設定できます。

[2]パース定規の設定

今回はファンタジーがテーマなので、非現実的なイメージをつくるために少し魚眼がはいったようなパースにしようと思います。
グニャッと画面を歪ませられる魚眼パースは、魔法で部屋全体が混沌としている様子をより表現することができます。

イメージ優先でラフを作成したほうが自由に描けるため、ラフでどういうふうに描きたいかはっきりさせてから、そこにパース定規を合わせていきます。

(1)[レイヤー]メニュー→[定規・コマ枠]→[パース定規の作成]から[3点透視]を選択し、キャンバスにパース定規を作成します。

※パース定規の使い方について詳しくは、機能解説!トラの巻「パース定規ツールを使う -パース定規活用編1-」を参照してください。

(2)[オブジェクト]ツールでパース定規の[アイレベル][消失点]の位置を調整します。

今回のイラストでは消失点を複数設定する必要があるため、右クリックで消失点を追加します。
最初に決めたパース定規は線画の最後まで使用するため、削除しないように気をつけましょう。

▼[オブジェクト]ツールでパース定規を選択し、画面内を右クリックするとパース定規に関するメニューが表示されます。

(3)パース定規にスナップさせながら、背景の基本となる線を引いていきます。
ダイナミックな構図したいため、多少無理があってもきつめのパースをかけています。

▼[ペン]や[ブラシ]などの描画系ツールをパース定規にスナップさせる場合には、[表示]メニュー→[特殊定規にスナップ]を選択してチェックを入れるか、または[コマンドバー]の[特殊定規にスナップ]アイコンをクリックして実行します。

(4)パース定規を使用した線を描き終えたら、定規が邪魔になるため非表示にしておきます。レイヤーについている[定規]アイコンを右クリックして表示されるメニューの [定規を表示]を選択してチェックを外しておきます。

[3]立体的に描き起こす

私は線画を描くのが苦手なため、ラフから線画を描き起こすときに、グリザイユ(※)などの単色である程度描きながら試し、デッサンのズレを確認しています。※グリザイユ:グレーや茶色などの単色でデッサンのように立体的に描く技法。
物の形がはっきりしたほうが線を描き起こしやすいので、線画が苦手な人にはおすすめの方法です。

下地として茶色に塗りつぶしたレイヤーをラフのレイヤーの下に置き、ラフやグリザイユで影を描いていくレイヤーの合成モードは[乗算]に設定しておきます。

▼レイヤーの合成モードは、レイヤーを選択した状態で[レイヤー]パレットの上部にある下図赤枠から変更できます。
合成モード[乗算]は、設定したレイヤーと下のレイヤーの色を掛け合わせて表示します。
※レイヤーの合成モードについて詳しくは、機能解説!トラの巻「合成モードを使用する」を参照してください。

ラフの工程の最後に、ラフで作成した複数のレイヤーをひとつの[レイヤーフォルダー]にまとめておきます。
また、次の線画の工程で描く線が見やすいように、ラフの[レイヤーフォルダー]のレイヤーの不透明度を下げ、 [レイヤーカラー]を水色に変更しておきます。

[レイヤーフォルダー]は、 [レイヤー]パレット下部にある[新規レイヤーフォルダー]アイコンをクリックして作成します。
作成された[レイヤーフォルダー]に、レイヤーをドラッグして格納します。

この工程でラフは一旦終わりです。

作者プロフィール:siro  (サイトURL:http://asteblanc.com/

ソーシャルゲーム、カードイラスト、挿絵などを中心にフリーランスのイラストレーターとして活動しています。ファンタジーや、童話のモチーフが大好きです。

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