パース描写-3点透視でさまざまな脚の形の机を描く
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[1]3点透視のパース定規作成
[2]3Dオブジェクトを使ったパース定規の作成
[3]四角い箱を立体的に描く
[4]机を描く
[5]さまざまな脚の形の机を描く
CLIP STUDIO PAINTのパース定規を使ってパースペクティブを活用した描画をしてみましょう。
今回は、「3点透視」の構図を扱います。机を立体的に描画する方法と、さまざまな脚の形の机を描く方法を紹介します。
[パース定規]の使用方法詳細については、「機能解説!トラの巻>透視図法とパース定規の基本 -パース定規基本編1」を参照して下さい。
[1]3点透視のパース定規作成
上図の様な3点透視のパースペクティブの手法を用いる描画を行うための[パース定規]を作成します。
①ツールパレットの[図形]ツールのサブツール[定規]タブから[パース定規]を選びます。
②左右の消失点の位置を指定します。消失点は2本のガイドラインを使って設定します。
[左側の消失点を設定]
[右側の消失点を設定]
③同様に縦方向の消失点の位置を指定します。見下ろした構図であれば、消失点を下に。
見上げた構図であれば消失点を下図のように設定します。
3点透視のパース定規は[レイヤー]メニューから[定規・コマ枠]→[パース定規]で表示される[パース定規]ダイアログで、[3点透視]を選択して作成することも可能です。
構図(アングル)が下描きなどで既に決まっている場合は、[パース定規]ツールを利用したほうが効率的です。
[2]3Dオブジェクトを使ったパース定規の作成
①[素材]パレットから任意の3Dモデルをキャンバス上に読み込みます。
②[オブジェクト]ツールで3Dモデル以外のエリアをドラッグしてカメラアングルを変更します。
③定規の有効範囲を[すべてのレイヤーで表示]に設定します。
レイヤー上の3Dオブジェクトを削除すると[ツールプロパティ] パレットで[カメラ]→[パース]オプションの項目が表示されなくなります。変更の可能性がある間は3Dオブジェクトはそのままにしておきます。
3Dオブジェクトは[DELETE]キーで削除できますが、その場合、[ツールプロパティ]パレットには[カメラ]などの操作項目が表示
されなくなります。
④必要であれば[パース定規]を他のレイヤーにコピーすることも可能です。[Alt]キーを押しながら定規アイコンをコピーしたいレイヤーにドラッグします。
[3]四角い箱を立体的に描く
基本的な立体物として、3点透視図法を利用して四角い箱を描く方法を確認しておきましょう。
3点透視用の[パース定規]を作成しておきます。今回は見下ろしたアングルの消失点を設定しています。
①まず、底面部分の四角形を[パース定規]にあわせて描きます。これを箱の底面にしてみましょう。
[図形]ツールも[パース定規]にスナップします。サブツール[長方形]を使って作図することもできます。長方形の対角をドラッグしたら、パースに沿った長方形が描けます。
向きが違っていたらマウスカーソルを移動させると長方形がスナップする方向を調整、クリックして決定します。
②[パース定規]のスナップを利用して、四角形の角(頂点)から上方向(縦)に向かって伸びる4本の直線を描きます。
③縦の線を引いたら、そのうち1本を使って、箱の天面の高さを決めます。底面に描いたように、天面部分の四角形の頂点と縦の線に交わるところで[パース定規]に沿わせて線を引けば、正しい四角形が描けます。
④余分な部分を削除して箱が完成です。ベクターレイヤーを利用して[消しゴム]ツールの[ツールプロパティ]パレットから[ベクター消去]→[交点まで]を利用すると効率良く作業できるでしょう。
[4]机を描く
天板と4本の脚のあるこのような机を描画します。パースを利用して描画する場合、脚の位置や長さを揃える必要があります。
①この机は真横から見ると脚が内側についています。
机を立体的に描くために真上から透視した図を用意します。外側の赤い線が天板の大きさ。4つの小さな青い線が脚の位置です。
[表示]メニューから[グリッド]を選択してグリッドを表示、スナップを利用すると描画しやすいでしょう。この透視図はレイヤーを
複製して2枚準備します。
②先ほど描いた四角形の箱の底面に、透視図をはめ込みます。[編集]メニューから[変形]→[自由変形]で変形させ、頂点を
あわせれば、パースに沿って変形できます。
③底面と天面両方に、同じように透視図をはめ込みます。
④新しくレイヤーを用意して、はめ込んだ透視図の「脚」の位置にあわせて、底面と天面を[パース定規]を利用して直線で結びます。
⑤天板を描きます。「四角形の箱」を描いて天板の厚みを描く事を忘れずに。
⑥天板に隠れる部分を消します。[消しゴム]サブツールから[ベクター用]を利用して、線同士が交わる部分までを削除するオプション
[交点まで]を活用すると便利ですよ。
⑦これで机が完成です。脚の長さや位置を正確に描きたい場合に、四角形の箱と透視図を利用してみましょう。
[5]さまざまな脚の形の机を描く
脚の形の違う机にも挑戦してみましょう。単純な形から脚の形を形成する過程を見て下さい。
1. Z脚の机
この様に脚の形がZの形になっている場合の作画手順です。
①真横から見た机の形を確認しておきます。天板のどの位置から脚がついているか注目してください。
②上から見下ろした透視図はこのようになります。
③透視図を四角い箱の底面に[自由変形]で変形して貼り付けます。
④脚は、透視図のマークした場所を手がかりに[直線]ツールで結んでいきます。脚の描画はパース定規にスナップさせた状態の
ままでは描けないので、パース定規のスナップのON/OFFを切替ながら[直線]ツールなどを利用します。
[パース定規]のスナップについて詳しくは、「パース定規で透視図を描く -[パース定規]基本編2- [2]部屋の下描き」を参照して下さい。
⑤天板から線を引き始める位置と
⑥設置面の位置を確認しましょう。
⑦線をクリンナップして完成させます。
2. ハの字脚の机
脚に角度の着いた机の作画手順です。
①ハの字に広がった脚を上から見た様子を透視図にします。
脚の付け根の位置と、床に設置する位置を確認します。
②四角い箱の天面と底面に、透視図を[自由変形]で変形させて貼り付けます。
③脚の付け根から床面の設置位置まで線を結びます。
パースに沿っていない斜めに向いた線は、[パース定規]のスナップのON/OFFを切り替えて描画します。
④天板と脚を清書、着色して完成です。
同じ方法を応用することで、下図のような部屋に並んだ机を描も簡単に描けます。
あらかじめ透視図や平面図などを作画して、パースにあわせて変形することで正確に家具や什器の描画を行うことができます。
単純な形から、複雑な形まで、透視図を組み合わせて作成できるように練習してみましょう。
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